Logseqでは、階層構造による情報の「ブロック化」と、個別ページにおける情報の記述の二通りの方法がある。これらはどう使い分けるのか。
簡単に考えれば、「それか、それについてか」だ。
たとえば、上記は、私が「Textboxの改造」というプロジェクトについて考えたことが「ブロック化」されている。どの記述も、そのプロジェクトを進めるために有用であるが、「それ」の記述ではない。「それについて」の記述である。
しかしもし、私が「Textboxの改造」プロジェクトとは何であり、その理念や目指すべき点を記述したくなったら、それは下位項目ではなく、個別ページを作って記述するのがよいだろう。なぜならばその記述はまさしく「それ」(そのもの)についての記述だからだ。
基本的に「プロジェクト」というのは、「それ」に関する記述と、「それについて」の記述の両方を必要とする。簡単に言えば、「それ」は北極星のように定位置で輝きプロジェクトの方向を示すものであり、「それについて」はプロジェクトの進捗や記録、あるいはアイデアについて書き留めるものである。どちらも共にそのプロジェクトのタグをつけられる情報だが、その性質や扱いが異なっているのだ。
敷延して言えば、個別ページはその対象の「定義」を書くことになる。一方で下位項目のブロックは、その対象にまつわることを全般に書くことになる。
こういう使い分けができるのが、リンク+アウトライナーのLogseq(あるいはRoam Research)の魅力である。
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「定義」は普段は使わないが、かといって見失いたくない情報である。「定義にかえれ」とは、ポリアの教えであるが、プロジェクトマネジメントにも同じことが言えるだろう。
定義はいつでも参照できなくてはならない。そしてそれはログとはまた違った位置づけを持つ。だからこそ、別の場所に記述しておくのだ。
「混ぜるな危険」は、リストの運用だけに言える話ではない。ドキュメント全般に通じるコツなのである。
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では、あなたがもし「大化の改新は日本においてどのような意味を持っていたのか?」という着想を得たとしよう。そのとき、どんなページングを行えばよいだろうか。
一つのアイデアは、[[大化の改新]]だけをリンクにして、その行の下に自分なりの考察を付け加えていく方法だ。これは上記のプロジェクトマネジメント同じアプローチである。
別のアイデアとしては、[[大化の改新は日本においてどのような意味を持っていたのか?]]全体をリンクにして、その個別ページに自分なりの考察を書き足していく方法がある。
どちらも実にまっとうなやり方であり、「間違い」は存在しない。
Scprapboxにおいては、基本的に後者のやり方がベターである。むしろ、そうした着想一つひとつをページ化(カード化)し、操作可能な単位にしておくことが重要である。
一方で、Logseq(やRoam Research)には、そこまで強い要請はない。その上、「操作可能な単位」で言うならばブロック化した項目の方が操作可能性が高い。
その点を考えれば、Logseqの「良さ」を最大限発揮させるならば、前者のアプローチの方が「それっぽい」使い方と言えるだろう。というか、後者の使い方をするならば個別ページが主体的なツール(つまりScrapboxやObsidian)を使う方が適切であるように感じられる。
もちろん、デジタルツールなのでそういう使い方が不可能というわけではないし、効率が悪いということでもない。十分に運用可能である。
だから私は「こう使え」と言いたいわけではない。単に悩んでいるならば、前者をオススメするだけである。後者の運用で十分に賄えているならば、あえて方法を変える必要はない。それくらいの重みづけである。
ちなみに、Logseqではリンクをマウスでホバーすると、そのページが小さいウィンドウで開かれる。この点も、個別ページには「定義」を書いておくのが便利な理由である。ちょっとやってみたら、すぐに実感されるだろう。
ちなみに、[[大化の改新は日本においてどのような意味を持っていたのか?]]全体をリンクにした上で、記述はそのブロック内に行う、という手もある。存外にこのやり方が良いのかもしれない。