『すべてはノートからはじまる あなたの人生をひらく記録術』が出版されてちょうど一年が過ぎた。
ノートは情報を扱う装置であるし、また、時間と付きあうための装置でもある。
皆さんはこの一年で、どんなことノートしてきただろうか。言い換えれば、どんな対象に注意を向け、どんな決意を抱き、どんな思索を展開して、どんな情報を保存しようと決めただろうか。
それを振り返ることができるのが、まさしくノートの力である。
自分の足跡を確認すること。
そこから、また次の一歩が始まるのであろう。
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だから、本当にたまにでいい。自分が書いたノートを読み返してみることだ。昨日、今日というのではない。一ヶ月や半年、そして一年くらい前に書いたことを。
世間的な基準では「非生産的」だと評されるような、そんな行為によって発見できるものはある。むしろ、そのような遅々とした手つきでないと掬い上げられないものがあるのだ。
ノートを読み返す。日記を読み返す。手帳を読み返す。ブログを読み返す。タイムラインを読み返す。
なんでもいい。一年前に読んだ本を、再読するのでもいい。
一つの情報に、もう一度触れること。
現代の私たちが圧倒的に忘れつつあるその行為の価値を自分で感じてみて欲しい。
わざわざ手間をかけて、自分の手を動かして情報を残すことの意義は、その価値にこそある。
立派な情報バンクを作るためではない。他者に誇れる宮殿を造るためでもない。
一つの情報に、もう一度触れること。
そこにある変容とそこから生まれる展開、そしてたとえ変容があったにしても変わらない感触。
そうした言い様のない感覚の中にこそ、豊かさは眠っている。
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もう一度言うが、ノートは情報を扱う装置であるし、時間と付きあうための装置でもある。
書き留めて、読み返す。
そんな小さなアクションに秘められたパワーは絶大である。
さて、皆さんはこの一年でどんなことをノートしてきただろうか。もちろん、それを振り返ることができなくても、あなたの人生はきちんと存在している。よかれ、あしかれ。