7-本の紹介

書評 まぐれ(ナシーム・ニコラス・タレブ)

書評企画の最後のエントリーということで、最近読んだ本ではなく、印象深かった本を紹介しておく。

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか 望月 衛

ダイヤモンド社 2008-02-01
売り上げランキング : 4715

おすすめ平均 star
starうーん・・・・・まあ、読む人によるのでは(笑)
star運も実力のうち
starすべてはまぐれなのか?

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間違いなく、私が読んだ投資・経済学関連の本の中で一番影響を受けたのがこの本である。これ以来、タレブ的思考は私の頭の中心に位置している。


2009年に発売された「ブラック・スワン」は相当有名になったので、そちらの方でタレブの名前をご存じの方もおられるだろう。

サブタイトルは「投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」である。
かなり強烈なインパクトを持ったタイトルだ。ようするに大抵の投資家は「たまたま」勝っているにすぎないということなのだが、日本ではこの勘違いが横行しているように思える。

この世界に表象している多くの「結果」はたまたまの出来事である、という世界のとらえ方ははあまりに悲壮感あるふれる認識である。しかしながら、現実的はまさにそうなのだ。

ヒーローはまぐれによって登場し、ヒロインはたまたま生まれる。

この本を読めば、大抵の「有名人トレーダーの必勝法」というものがいかに胡散臭いが理解できるだろう。いや、これはトレーダーだけに話しに限ったものではない。
成功した人々があたかも「私はこうして成功してきました」と語っていることに、ほとんど再現性は無い、ということなのだ。

文体は軽く、形式もエッセイ風だがそこら辺の投資について書かれた本よりは遙かに面白いことは保証する。そして、凝り固まった「世界観」をほぐしてくれる事も間違いない。

ただし、一つ問題がある。ヒーローのいない世界で私たちがどう生きていけばよいのか、という問題だ。彼が言うことに従っておけば間違いない、という世界は安定性に満ちている。しかし、現実はそうではない。この世に確かなヒーローはいないのだ。

それに対して、「ヒーロー見つけ出す」というのは誤ったアプローチだ。それは不確実性を克服するという事と同義であり、言い換えれば「不確実性を見て見ぬふりする」事と同じである。それでは何も変わらない。

むしろ、不確実性といかに付き合うか、不確実性がもたらすリスクからどうやって身を守るか、を考えていくことが必要だろう。そのためにはそのシステム(社会、組織、人間)が持つ不確実性の存在を認識していくことが必要だ。

この本が扱う内容は広すぎるし、私に扱いきれる本ではない。とりあえず、「いかに生きるべきか」ということに絞ってみていく。

幸せな人々の特徴

自分が目に見える確実性に人生を最適化していけばいくほど、見えない不確実性(黒い白鳥)の登場に脆くなってしまう。しかも、そうして最適化された人生は果たして幸せなのだろうか。

p310
幸せの研究によると、何かを楽しもうというとき、最適な楽しみ方をしようと自分にプレッシャーをかえるとむしろ苦痛を覚えることになる。

キーワードは「最適化」と「充足化」の違いである。

p310
幸せな人たちは充足化するタイプの人たちであることが多い。自分は人生で何がしたいかを知っていて、満足したらそこで立ち止まることのできる人たちだ。彼らの目的や求めるものは経験とともに変わらない。もっと高いレベルを目指し、いつも消費生活を高めようと努め、自分の中でいたちごっこを始めてしまうことがない。つまり、欲に限りがあり、飽くことを知っている。

人が幸せに生きる形というのはそれぞれあるのだろう。しかし際限なく欲を満たすことを求め続けていればそこに「幸せ」が存在しないことは確かだ。

私自身は、常に過程を楽しむことを心がけている。過程が楽しめていれば結果がどのようなものになっても自分なりの納得感はある。そしてそこには不確実性との付き合い方のエッセンスも含まれているような気がする。

ルーチンをこなしているだけの毎日は確かに効率が良いかもしれない。あとはそこにワクワク感があるのかどうか、だ。

No ワクワク、No Life

をモットーに、経過を楽しみながら人生を生きていくことが、幸せに生きるコツなのではないだろうか。

関連書籍:

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質 望月 衛

ダイヤモンド社 2009-06-19
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star予言者を必要とする僕らとは

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ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質
ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質 望月 衛

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star私の体験
star月並みの国と果ての国 はて私はどちらにすんでいるのでしょう
star下巻に結論めいたことは集中

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編集後記:
これにて、年末年始書評企画の私のエントリーは終了です。締め切りは今日いっぱいですので、興味のある方は書評を書いてみて下さい。

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