「タスク」の研究

タスク管理における二つの視点

シゴタノ!スイッチVol.1@大阪に参加してきました(前編)」のエントリーで少し触れました「注意」についての三原則とそれにからむ「二つの視点」について考えてみたいと思います。

注意とは

注意という言葉もいろいろな意味合いを持っています。英語で表せばcare and attentionという感じになるでしょうか。

careは「気を配っている」感じで、attentionは「気を一点に集めている」イメージがあります。

まるで相反するような言葉のイメージですが、この二つを使いこなすことで仕事をコントールし、かつ成果を上げることができるようになります。

例えば、軍隊で戦場を見渡す司令官はcareを必要とし、戦闘に望む兵士がattentionと必要とするでしょう。ビジネスパーソンは自分の仕事をコントロールする司令官の立場と、作業をこなしていく兵士の両方の立場を使い分けていく必要があります。

逆にこの立場をごっちゃにしたまま「タスク管理」を行おうとしても、うまくいかないのではないでしょうか。ランボーが司令室に座ったまま、戦闘を行う兵士一人一人に自分と同じ働きを要求したらどうなるでしょうか。あるいは諸葛亮孔明が敵陣のど真ん中で敵に切られる直前まで相手の次の戦略を予測していたとしたら・・・。

タスク管理がうまくいかない理由の大半はこの「立場の混同」にあるのではないでしょうか?

それを踏まえた上で、注意についての原則を三つ挙げます。

・注意(集中力)の使い方上手になること
・時間の制約のない状況では仕事をしないこと
・注意を向ける習慣作りをすること

それぞれについて少しみていきます。

・注意(集中力)の使い方上手になること

集中力はある程度鍛えられます。例えば普通のビジネスパーソンとプロの棋士では明らかに集中できる時間が違います。それはうまれ持った気質というよりもプロの棋士が「集中」して考えることを継続的に行ってきたからでしょう。

集中力が発揮できる環境が合ったとしても、それを使いこなせないのはもったいないので、できる限り自分の集中力を日常的に鍛えておくことです。

例えば毎日5分だけ集中して何か考える、でもよいでしょう。10分集中して本を読むでもよいと思います。これは筋力トレーニングと同じで少しずつでも毎日繰り返すことが重要だと思います。慣れてくれば、5分を2セットとか3セットのように回数を増やしていくとよいでしょう。あるいは朝に一回、お昼に一回、というのも面白いかも知れません。

これが兵士としてのトレーニングとすれば、指揮官としては「環境作り」を意識すべきです。普通の人は大体朝の内が一番仕事がはかどるようですが、人によっては夕方かもしれません。まず自分が効果的に作業ができる時間帯を把握し、そこに妨害が入らないように配慮します。

初めから妨害の入りにくい時間帯に作業をするというのが一番簡単なのですが「朝5時」にカフェに行って仕事するというのは誰にでも勧められる方法ではありません。

現状で、自分の力が発揮できるのはどういった環境なのか、どうすればその環境を守ることができるかを考えた方がよいでしょう。
※加えて休憩からいかに脱線せずに作業に帰ってくるかも重要な要素です。タイマーを使うのが一番適切ですが、それ以外にも何か区切りを設ける方法を考えることはできそうです。

・時間の制約のない状況では仕事をしないこと

まず、この問いから。

問 「一日は何時間ですか?」

答えは24時間で正解です。しかしこれならばどうでしょうか?

問 「一日でタスクをこなせる時間は何時間ありますか?」

さて、何時間でしょうか?まず、睡眠時間を24時間から引かなければいけません。その後生活にかかる時間(食事など)を引き、その後移動にかかる時間なども引きます。付き合いやシステム的に発生してしまう時間吸引器(会議など)もあるでしょう。

それを引いた後の時間が自分がタスクをこなせる時間です。24時間からは大きく目減りしているでしょう。もちろん、家族とのふれあいの時間や友人関係の時間などを確保しようと思えば、ずっと会社に居るわけにはいきません。ますます少なくなります。

そのことを嘆いても仕方ありません。タスクを大量にこなそうと家族との時間を減らしたり自分の趣味を減らしたりすることは、どこかいびつな感じを受けます。

確かに、人生における仕事がしめる割合はとても大きいものです。それは収入の面でも、社会の中での自分の価値を確認する、という意味でもそうです。が、それだけが全てではないでしょう。

今や仕事とプライベートなど完全に切り離すことは大変難しい状況です。だからこそ、本当に大切なものを見失ってはいけません。

まず、大量に仕事をこなすために大量の時間を確保しよう、という考えはとりあえず脇に置いておきましょう。そういった考えは時間の質を薄めるだけです。もうどうしようもない、という時だけは「時間銀行」から家族や友人の分の時間を引き落とすようにして、普段はそういった状態が起きないように「気を配っていく」ことが重要です。

一日のうちのタスクをこなせる時間を意識できれば、一日24時間という枠が小さくなります。これを更に進めて、午前と午後に分けます。午後も3時で前後に分けます。こうして時間の枠組みをどんどん小さくしていきます。
※別に3時という時間にこだわりがあるわけではありません。

司令官たる自分は一日分の地図を持っていてもかまいません。しかし兵士は自分の戦場の地図だけ持っていれば充分でしょう。なるべく集中できるように時間の枠組みを狭めていく事を意識しましょう。

・注意を向ける習慣作りをすること

これは振り返り点を設けるとも言えます。
例えば、GTDのシステムの幹でもある「週次レビュー」は全てのタスクに注意を振り分けるタイミングを週に1回設けることです。

私は朝一に朝の棚卸しを行っていますが、これも一日の単位でやるべきタスクに注意を振り分けているということになります。
また、作業が一区切り付くごとにタスクリストに目を向けてさらに注意を振り分け直すこともやっています。

週次レビューや朝の棚卸しは「指揮官的」視点で、作業毎のレビューは「兵士」的視点です。作業が10設定されていても、どうしてもできない事はあります。体調が悪かったり、やる気が起こらなかったり、緊急的な要件に忙殺されたり、不測の事態はどこにでも転がっています。

10個のタスクの内5個しかこなせそうにないなら、まずできそうなものをピックアップします。残った物と一週間での「やるべき事」と見比べて明日以降に振り分けられそうな物は先送りします。この作業後残るのは、「できそうにないけど」「やらなくてはならないもの」です。この場合の「できそうにない」は大抵やりたくないという気持ちが裏に眠っています。

指揮官が要求するけども、兵士はやりたくない仕事。

こればかりは「やるしかない」です。指揮官がご褒美を用意するのでもいいですし、罰を準備してもよいですが、なによりも真っ先にそのタスクをこなすことです。自分が知っているありとあらゆるハックを活用しましょう。そのためにライフハックは存在しています。

それをこなせば残りは楽なものです。10個のうち5個を片付けたら案外6個目、7個目ができたということになるかもしれません。そうならなくても、他のタスクは折り合いが付いているので、フラストレーションがたまることはありません。

とりあえず注意を向ける習慣ができれば最悪の状況でも何らかの対応が打てます。そうでなければやる気が起きないから、とちょっとウェブサーフィン(orTwitter)をぶらぶらしている内に一日が終わってしまうかも知れません。

まとめ

注意というキーワードを元にタスク管理に必要な二つの視点について考えてみました。大体端から見て「自分を律している」ように見える人はこういう二つの視点をきちんと使い分けている人が多いと思います。

以下、さらに突っ込んで考えるための参考になる本を挙げておきます。

参考資料:

職場環境編

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「『割り込み』の多い職場環境を変えていく」(p118)の章で紹介されている職場システムを変えていくためのステップは集中できる環境作りに参考になりそうです。

やる気編

やりたくないけど「やるしかない」仕事にぶつかるために。本来は「やる気ハックス」を紹介すべきなのでしょうが、読んでないのでこちらの本を紹介。

脳と心を味方につける マインドハックス勉強法
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第二章p44~の「ストレスをパワーに変える「やる気」術」にやる気を高めるハックが紹介されています。

朝の棚卸し編

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「自分との対話の時間」を持つことの重要性が語られています。またこの本の「最優先の課題出し」が私の朝の棚卸しの基本になっています。

マニャーナの法則 明日できることを今日やるな
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その日やる仕事を「タスク・ダイアリー」に記入してクローズドするという方式は私も使っています。朝の棚卸し時に「デイリータスクリスト」(DTL)という名前でメモに書きつけていましたが、現状は改良を加えて、DTLをほぼ日カズンのウィークリーページに書き込み、一週間の動きも見えるようにしています。

週次レビュー編

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なんども紹介していますが、GTDについての基本の本。まるまるGTDのシステムを使わなくても、考え方の基本はかなり重要だと思います。

その他

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非常に直線的なタイトルですが、単なるテクニック本ではありません。「公私混同」ではなく「公私融合」という言葉を使い、仕事とプライベートが対立した概念からの脱却を提案されています。

編集後記:
参考文献で紹介した「仕事術」ですが、この本は古本屋でみつけました。1999年発売の新書なので普通の大きさの本屋ではなかなかお目にかかれないかも知れません。カバーなどの汚れは一切無かったのですが、空けてみると重要と思えるところには赤線が引いてあり、欄外にはおそらく辞書で引いたのであろう単語の意味が書かれてありました。

私も読みながら傍線を引くことはしますが、さすがに単語の説明までは書いたりしません。この本の以前の持ち主には感心します。

しかし当たり前ですが、時間をまたいだこの本の所有者が重要と思うところは結構違いますね。

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