世の中には相対する意見というのはいくらでもあります。もちろんノートの使い方についても正反対の意見があります。
- ノートは美しく使いなさい
- ノートは細かいことを気にせず使いなさい
はたして、これはどちらが正解なのでしょうか?
ノートの基本的な役割
まず、なんのためにノートを使うのか、という点を考えてみましょう。
以下は「The21 2010/3」 のノート企画より
・情報の記録
・思考の整理
・アイデアの創造
・脳の活性化
以下は「日経アソシエ 2010 03/02」のノート企画より
・アイデアを出す
・情報を記録する
・タスクを管理する
・思考を整理する
この二つに共通しているのが
「情報を記録する」と「思考を整理する」です。これをノートの基本的な役割と考えてみましょう。
ノートの基本的な役割
- 「情報を記録する」
- 「思考を整理する」
情報を記録する
昨今では大抵の情報は「コピー」で保存することができます。わざわざ情報を手書きでノートに保存するような場面は「スピード」が求められている場面であることが多いでしょう。
例えば、歩いていたときに目に付いた看板のフレーズが面白かった。それを手帳にメモする。会議中に出てくる発言をメモする。
こういったときに「綺麗に」「丁寧に」メモする必要はほとんどありません。それは後から見返したときに書いてある内容が読めればそれで充分です。
思考を整理する
思考を整理するノートの使い方の場合、「スピード」は求められていません。なぜノート+手書きを使うかというと、その作業自体に「思考の整理」が含まれているからです。
デジタル情報をコピペして一つのファイルにまとめたとしても、それは「思考の整理」にはなりません。情報を切り貼りしているだけです。
文章化(あるいは図形化)する作業を行う事で、情報が再構成がされていくわけです。その過程が一種の「思考」といえるでしょう。
高木幹生氏が「予習という病」の中で面白い指摘をされています。
p198
前述の本を実際に読むとわかりますが、あの子たちは板書をただ書き写すという学びには留まっていないのです。授業を聞きながら、自分の持っている知識と結びつけ、何を書く必要があるのかを取捨選択している(その整理する力が「かならず美しい」と表現されているわけですが)。
※引用の中で出ている前述の本とは「東大合格生のノートはかならず美しい」(太田あや)の事です。
これは、綺麗なノートを書いているから学力が上がるのではなく、必要な情報を選択する力があるから結果としてノートが綺麗になっている、ということです。
つまり、授業を受けている学生にも「板書を写すだけ」ノートを「取る」学生と、「板書や先生が言ったことを重要度などで選別・整理した」ノートを「創る」学生の二種類がいる、ということでしょう。
まとめ
結局の所、ノートを綺麗に使う必要もないし、使わなければならない、ということもありません。
ノートを使う上では、綺麗に書くかどうかよりも、以下の二つの機能について意識することが重要だと思います。
- ・情報を転記するため
- ・情報を(自分の頭を通して)整理するため
前者のノートを「暗記型ノート」、後者を「思考型ノート」と呼んでもよいでしょう。
次回はこの思考型ノートについて考えてみたいと思います。
関連書籍:
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ノート企画のこれまで:
- ノート企画:第一回:多ノート派という選択
- ノート企画:第二回:ノートの使い分け方
- ノート企画:コラム:re-collectionの使い方
- ノート企画:第三回:ノートと情報系
- ノート企画:コラム2:二つの雑誌のノート術企画
他Blog関連エントリー:
- これまでre-Collectionを使っていたのだけど、1度Moleskinerになってみることにした[Hacks for Creative Life!]
- [漫筆] 手帳とノートの俯瞰図を作ってみました 20[名言コツコツ]
- ノートを混沌の受け皿として使う[When you were young]
- 手で物を考える[Ideas 4 Life]
- 「仕事ができる人」はノートに何を書いているのか? THE21 2010年03月号[PlusDiary.com 手帳と文房具のレビューサイト 2nd.]
ノートやメモの特集を見るたびに、
そういうのを使っている人が羨ましくなります。
私は事務職ですが、メモもノートも使いません。
書くことが何もない…。
アイデアも浮かばない。
ノートを使うような人には
どうやったらなれんでしょう。
>なべさん
コメントありがとうございます。
ノートを使うというのは、一種の「習慣」みたいなもので、今日ノートを使い出したらそれでいろいろ書けるようになる、というものではないと私は考えております。これはアイデアに関しても同様です。
自転車もある程度練習する間は乗れない期間がありますが、突然乗れるようになる、というのと同じで気がつくとノートにいろいろ書くようになっているという感じです。
もし、「ノート」を使ってみたいな、とお考えならば、お気に入りのノート(できればペンも)を見つけて、日頃から持ち歩くことを実践されると良いと思います。初めのうちは「ちょっと感じたこと、電話の用件、仕事のミス、仕事の成功、同僚からのメッセージ、今日食べたいもの、・・・」となんでも書いてみるのもよいかもしれません。