「認識」が作る世界と自分

「思考の補助線」(茂木健一郎)という本の中で茂木氏が以下のような事を書かれている。

p22
問題の総量は減らないにしても、見え方が変わるということはある。ちょうど、幾何学の問題で、たった一本の補助線を引いただけで、解答への道筋がみえるように、「思考の補助線」を引くことで、私たちは今までとは少し違った態度で、世の中の謎に向き合うことができる。

物の見方というのは大きな意味を持つ。それは難しい言葉を使えば「認識」と呼べる。認識は世界を作る。多くの哲学者が人間の認識と向き合ってきたことからもわかるように、それは複雑な問題を秘めている。

アインシュタインは

いかなる問題も、それをつくりだした同じ意識によって解決することはできません。

という言葉を残している。

何かがわからない。うまく理解できない時には、視点を変えてみる事が必要ということだ。思考の補助線というのはそれを助けるものということだろう。

さて、認識の違いで問題の見え方が変わるとはどういったことだろうか。

例えば、数式で

例えば以下のようなごく簡単な足し算があったとする。

問:5+2+2+3+2=

答えは14だ。

ここにたどり着くためにどのような道のりが考えられるだろうか。

順番に

一番ストレートな計算のやり方だと、5+2を求めて(7)、そこに2を足して、さらに3を足して、最後に2を足す。

数式に促されて答えを求める。今回示した計算自体が簡単なのでこれでも特に問題はない。しかし、これだけが答えの求め方、というわけではない。他のパターンをいくつか示してみよう。

同じものをまとめる

足し算の場合は順番を入れ替えても問題はないので、例えば以下のような並び替えを行ってみる。

2+2+2+3+5=

(2×3)+3+5=

この場合掛け算が一つ増えて足し算が二つ減っている。効率化、というやつだ。同じ値の数が多ければ多いほど効率があがる。

脳に適応

やや大げさな表現だが、計算式を簡略化するというよりも、計算しやすい形にするというやり方。よく使われるのが10を作るという方法。

5+2+2+3+2=

以上で5、2、3を合わせれば10になるのは直感的に分かる。あとは残った2+2を処理すればできあがり。この感覚を式で表すと

(5+2+3)+2+2

10にしておけば下一桁を記憶する必要がなくなるので、短期メモリの節約になる。

基準を作る

同じ値でまとめるに似ているが少し違ったやりかた。
問題の式をすこし置き換えてみる

5→2+3
3→2+1
と置き換えて、全ての数を2を基準で統一してみる。

(2+3)+2+2+(2+1)+2=

すると式の中で2が5個の足し算になるから

2×5+3+1=

となる。

まとめ

簡単な数式の足し算場合でも見方によってさまざまなアプローチが考えられる。同様に「思考の補助線」の引き方も幾通りも存在するのだろう。

我々という存在があって、それに対面する世界というものがある。両者をつなぐのは「認識」であり「解釈」だ。幾通りもの「認識」を持てる人は、同じ数だけこの世界の可能性を持っている事になる。

とてつもなく大きな困難にぶつかったら、まず「認識」を変えてみる事だ。それは困難に対する「認識」かもしれないし、自分に対する「認識」かもしれない。もし、うまく「認識」変える事ができれば困難の姿もまた変える事ができるだろう。

それは、もちろん簡単な事ではない。自分の認識を変えるという事は、その世界を変えるのと同義なのだから当然だ。しかし、ちっぽけな我々は世界を変えられなくても、自分の認識ならば変えることができる。

手の付け方もわからない大きな問題に直面して焦るよりも、まずできる事に注力していく。それが重要なのではないだろうか。

以下にガンジーの言葉を引用して終わりにしておく。

「世界にとって変化を望むのであれば、自らがその変化になれ」

参考文献:

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