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書評 「ほぼ日刊イトイ新聞の本」(糸井重里)

Posted on 2010 年 4 月 6 日 by Rashita

昨日紹介した「小さなチーム、大きな仕事」だが、この本を読んでいる時にかなりワクワクしたのを覚えている。それと共に「あれ、この感じ以前どこかで・・・」という感覚を覚えた。ざっと本棚を見回したときに目に付いたのが、「ほぼ日刊イトイ新聞の本」である。そうそうこの本だ。

ほぼ日刊イトイ新聞の本 (講談社文庫)
ほぼ日刊イトイ新聞の本 (講談社文庫) 重松 清

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このブログを定期的にお読みの方ならば私が「ほぼ日手帳愛好家」というのはご存じだろう。もちろん、「ほぼ日」のサイトもほぼ毎日チェックしている。この本は糸井重里という人間が、どういった想いを持って「ほぼ日」を立ち上げたのか、そしてそれがどのような展開をしていったのかを綴った「早すぎる社史」である。

新しいメディア

話は糸井さん(敬意を込めてあえてこう呼ぶ)がインターネットというものに出会い、閉塞感漂うクリエイティブの世界の新たなる展望をそこに見いだした所から始まる。

p85
「クリエイティブがイニシアティブを握る新たなメディアをつくる」

その場となるのが、インターネットであり「ほぼ日」である。

ほぼ日はそのサイトを運営していくために必要なお金の獲得手段を既存の広告モデルからは距離を置いた。経営が苦しくても糸井さんのがんばりで支えていた。多分既存のモデルに寄りかかる事は「超えてはいけない一線」だったのだろう。

ある種ストイックな程に、既存のビジネスモデルから距離を置く姿に私は強い共感を覚える。新しいモノというのはしがらみから離れているからこそ新しいのであって、そこを断ち切れなければ目新しい格好をしていても本質的な差は生まれない。

p149
みんなが自由に自分の歌を歌えるという一点に、これまでのメディアの限界を超える可能性があるのだと思った。

今、本当にそういった意味で新しいメディアの可能性が開かれている。既存の広告モデル_つまりマスに向けた配信を前提としたメディアのあり方_はほぼ機能しなくなってきている。それは、あまりにも「大きすぎる」のだ。大きい事は決して良いことばかりではない。

「ほぼ日」はマスメディアではないかも知れないが、かといって「個人のホームページ」とは呼べない。それはすでに当たり前のように認知されているが「新しいメディア」なのだ。相互性を担保しながら、独自性のある面白いコンテンツを提供している。確かなファンがいるというのは、ほぼ日がすでに「黒字」であることからも分かる。低価格でも、有名ブランド品でもないものがしっかりと売れているのだ。

これは既存のマス・マーケティングが捉え切れていなかった「消費者」の心をしっかりとつかんでいる、と言って良いだろう。こういった「新しいメディア」の一形態が現実的に展開されている事は、ある種の「希望」と言えなくはないだろうか。

p252
テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、、インターネットというように、さまざまなメディアが、意外に自分の世界以外のを見ないで成り立ってきた。ぼくは、このあんまりかわいくない垣根を取り払うのにいちばん働くのが、インターネットだと思っている。

それは、ある意味では正しいのだろうと思う。インターネットの力を最大限引き出せるような仕組みを作ることができれば、垣根をとっぱらうことはできると思う。しかしながら、今の日本社会はどうも垣根を維持するためにインターネットを使おうとしている人たちが多い、ような気がする。

そういうのは良くない、と否定したいわけではない。ただ、「なんだかもったいないな」という思いが湧いてくることは確かだ。その先には今からではまったく想像もつかないような面白い世界が拡がっている(かもしれない)のに、下ばかり向いてずっとそこに佇む。それはやっぱりどこかもったいない感じがしてしまう。

もしかしたら、臆病で自分からは声をかけられないで、友人が「一緒に遊ぼうぜ」って誘ってくれるのをずっと待っている子どものようなカンジなのかも知れない。だったら僕たちはどうすれば良いのだろうか。頑なになってしまった子どもに声をかけても、もしかしたら聞こえないふりをするかもしれない。

だったら、天照大神をうまく誘い出したオモイカネのように「こっち側」の世界でどんちゃん騒ぎをすればいいと思う。なんだか面白そうだな、と自分から垣根を越えて飛び出してくるのを待っている感じぐらいでちょうどいいのではないだろうか。少なくとも「メディアはかくあるべし」と大上段から叫ぶのは、私にとっては「マジメになりすぎている」感覚がある。

p247
こういうことで、マジメになりすぎちゃいけないと思う。マジメはよいが、マジメになりすぎるのはよくない。マジメでない人を責めたくなったりするからだ。

責めたって何にもでてこない。状況が悪化するか、お互いに攻撃的になるか、そんな結末しか待ってはいない。結局、自分たちができることを精一杯、楽しそうにやり続けるしかない。もしかしたら、それが起点となって自分の周りの世界がすこし変わるかも知れない。誰かが変わるかも知れない。何かが起こるかも知れない。そんな「可能性」を純粋に信じることが今の日本の「希望」なのかもしれない。

まとめ

ほぼ日の歴史と糸井さんの哲学は興味深いものがたくさんある。ビジネスモデルって何ですか?というスタートラインは「小さいチーム、大きな仕事」とほとんど同じ感覚だ。

5秒で終わった就活やら、月謝5万円のスタッフ募集などちょっと「常識」では考えられないようなお話がいっぱい詰まっている。こういうエピソードを読むだけで「ほぼ日」という場の楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

目指すべき目標として今や「ほぼ日」は大きくなりすぎた。もちろん糸井さんで無い人間が糸井さんと同じ方向を目指しても意味がない。ただ、こういう事も現実的に起こりうるよということを知っておくのはとても意味があると思う。「ビジネス」の形は多様化し、「市場」は作り出すものであり、何もかもが「コンテンツ」の時代。それが現代、というわけだ。

さて、ブログでも始めてみませんか?ねぇ皆さん。

編集後記:
当エントリーは「「新年度の始まり」に本を読んで書評を書こう!企画」への参加エントリーです。
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2 thoughts on “書評 「ほぼ日刊イトイ新聞の本」(糸井重里)”

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