4-僕らの生存戦略

「電子書籍の衝撃」企画:第一回:ソーシャル・コミュニティーについて

最近何かと私が話題に上げている「電子書籍の衝撃」。読んでいて思うところ・考えるところが多すぎ、一つの書評ではとても書ききれないので、いくつか分散化して文章化しておくことにする。

今回は、コミュニティーについて。

「電子書籍の衝撃」の中ではミュージシャンのまつきあゆむさんの事例が多く紹介されている。多分、20代、30代の人には彼の生き方にあこがれを感じる人が多いのではないだろうかと思う。

彼がネット上の活動だけで(マスなしで)生活できているのは、彼の楽曲を好み、彼を応援するファンの存在のおかげだ。

そして、このようにソーシャルメディアによって作りあげられる「まつきあゆむさんと、その楽曲を愛する人たち」というコミュニティは小規模だけれども、とても親密な空間となっていくでしょう。

この部分が随分引っかかった。何が重要な示唆が秘められているような感じが読了後にもあったのだが、書評を書いている際に読み直して、ハッと気がついた。

これは、小売業におけるコンビニとまったく同じポジションなのだ。業界外の人にとっては「?」な話かもしれないので、まずどのように「同じ」なのか見ていく事にしよう。

ソーシャル・コミュニティー

作品を発表する場、そしいてファンとつながる場としてのソーシャルメディア。そこから生まれるコミュニティーをソーシャル・コミュニティーと、呼んでおくことにしよう。

それはコンテンツを発表する「アーティスト」(あるいは発信者)を中心とし、それを取り囲むようなファンのつながりによって形成されるだろう。

おそらく、実際はこんな単純な構図で説明できるものでは無いと思うが、今回は簡略化しておく。これについてはまた別の機会に詳しく考えてみたい。

このソーシャル・コミュニティーの特徴をよく表現している部分を「電子書籍の衝撃」より引用する。登場するのは再びまつきあゆむさんだ。

「(楽曲を)買ってくれた人の名前を僕は全員わかっているわけです。『つながっている感』とは言いますけど、お互いの名前をフルネームで知っているのは、すごく良いことだなと。

ここでは、マスネットワークの中で形成されてきたアーティストとファンの関係性とはまったく違う関係性が構築されている。ミリオンセラーの作品を生み出すアーティストが、そのファン一人一人の名前をフルネームで知っている事などは考えられない。あくまで一方的な関係性であったと言えるだろう。

ソーシャル・メディアから生み出されるコミュニティーは、「相互的」であり「親近感」があり、「醸成」されていくものだ。

おそらくそこには「流行しているから、なんとなく参加している」という人はほとんど混じり込んでこない。そのかわりに確かなファンが存在する。

コンビニ

コンビニの業態を一言で表現すれば、「小商圏高頻度来店型」の店舗となる。

あえて説明するまでもないが、くどく説明すれば「小さい商圏で、何度も来店してもらうことを前提としている小売業」ということだ。立地によってはそういう前提とは別に成立している店舗も存在する。しかし、住宅立地などでは基本的な前提である。

一日500人〜1000人ほど来店があるコンビニで平均的に80%以上は「常連客」である。
※この数字はあくまで私の「体感」的なものではあるが、業態から考えても大きな差異があるとは考えにくい。

百貨店などは、大商圏低頻度来店型となるし、大型スーパーはその中間ぐらいの存在と考えてよいだろう。

ネットの世界での「コミュニティは小規模だけれども、とても親密な空間」が指し示すものは、まさにコンビニ的である。

少ない人員で店を運営するので、レジに立つ顔は大体なじみのもの。そしてお客さんも近所の人で何度も来店する。店員がお客の顔や好みを覚え、お客が店員の顔や名前を覚える。そういった事がごく自然に発生するのがコンビニという場所である。

「人気のコンビニがある」からという理由で近所に引っ越ししてくる人はいないだろう。しかし、地元の人間に愛用され、頻繁に足を運んでもらえるコンビニは存在する。

これは上に挙げたコミュニティーが志向するものと類似しているといってもいいのではないだろうか。

まとめ

今回は、ソーシャル・コミュニティーとコンビニが近しいものではないか、という事を考えてみた。

もちろんこれは単なる前振りである。次回は「成功しているコンビニ」から特徴を抜き出し、それがソーシャル・コミュニティを作る上で参考にできる要素はないかを考えてみたい。

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