いよいよ最後の回です。今までの流れは以下の通り。
くどいようですが、四つの分類をもう一度書いておきます。
(1)頻繁に参照する(懇親ファイル)
(2)後で見たい(後顧ファイル)
(3)見るかも知れないし、見ないかも知れない(発掘ファイル) →ココカラ
(4)まあ見ないだろう(保管ファイル)
発掘ファイル
先に紹介した二つは比較的簡単でした。それは「使用目的」や「状態」がはっきりしていたからです。この発掘ファイルはその辺が非常に曖昧です。また、数の問題もあります。ウェブクリップなどをしていれば、前の二つに比べてその数はかなり多くなってくるでしょう。
まず、完璧な管理法から考えましょう。一枚のウェブクリップを例にあげてみます。それはiPhoneのTwitterアプリの紹介記事だったとしましょう。さて、どうしましょうか。
とりあえず、思いつく限りのタグをそのノートにつけます。「Twitter」「iPhone」「iPhoneアプリ」「後で買う」「ブログのネタ」「ニュース記事」「今人気」・・・さてタグはいくつついたでしょうか。5?10?・・・やろうと思えばかなりのタグを付けることができると思います。そうしておけば、ありとあらゆる角度からそのノートを拾い上げることができるでしょう。では、このように実行すればよいのでしょうか。
私の考えでは、これはまったくもってナンセンスです。
例えば、10個のタグを思いついたとします。そのうち7個は既存のタグで、3個が未登録のタグだったとします。さて、そのノートを完全処理し終わるのに「何秒」かかりますか。あるいは「何分」?
一日にEvernoteに取り込むノートの数が少ない、とか極端に時間が有り余っているならばこのような「完璧主義的な分類」あるいは「図書館的分類」をやってみてもよいかもしれません。かなり立派な情報アーカイブが出来上がることでしょう。
しかし、Evernoteを第二の脳的に使うのであればこのような手間はかけてられないのではないかと思います。数の多い「発掘ファイル」だからこそ、ノートの処理自体は最小限の手間で行きたいところです。そのために「重要度」でタグ付けの基準をつけます。
- どうでもよさげ →タグ無し
- やや気になる →1タグ
- これは重要! →ある程度タグ付け
大体「どうでもよさげ」と「やや気になる」ぐらいで全体の8~9割になると思います。それにかかる手間は徹底的に省きます。
手間を省くならば初めからEvernoteに入れなければいいじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、同じ情報を探したくなったときにグーグルを頼るのか、Evernoteから探すのかではかかる手間が大きく違います。Evernoteに入れておくという多少の手間をかけることで、その後の膨大な手間を減らすことができるわけすから、やる価値は十分あると思います。
たとえ何もタグ付けしなくても、例に挙げた記事ならば「Twitter」という単語で検索をかければ見付けることがでるはずです。検索結果の数が多いならば「アプリ」を検索ワードに追加してみてもいいでしょう。それが100のうちの一つなのか200のうちの一つなのかはわかりません。しかし、その程度のノートをざーっと見通していく事はそれほどの作業ではありません。
ここで重要なのは、その情報に対して自分がどう判断したか、ということです。どういう印象を持ったか、と言い換えてもいいでしょう。「これは重要」と思ったことは、自分の中で使い方の方向性がある程度見えている情報ということです。そういった情報は「どうでもよさげ」に分類した情報よりも検索する可能性が高いわけですから、なるべく見付けやすい状態にしておいたほうが良いでしょう。
逆にそのときの自分が重要でないと判断した物は、全文検索を当てにするぐらいで十分だと思います。
ノートを「探す」行為の意味
ある情報を「タグ」を使って引っ張り出すのはかなり快感です。しかし、そればかりだと、「タグ付けされなかった情報」はいつも取りこぼすことになります。これは少し勿体ないなと思います。初めは関連するとは考えなかった情報も後で見たときに関連性が発見できるということはよくあることです。そのためには、一見関係ないノートたちもぱらぱらと見ていく作業が必要です。これはアナログノートだと簡単にできるのですが、タグの一本釣りだとなかなか実現が難しいものです。
このあたりの情報に関する取り扱いは「知的生産」の分野です。その分野の中においはガチガチの効率主義では新しいものや意味あるものが生まれにくいと私は考えています。ある程度大雑把な分類は、ノートを探す作業を発生させます。その作業の過程の中で「ネタ」が見付けられるならば、費用対効果としては悪くないと思います。
たまにはノートを見返すことも必要
保管ファイル
保管ファイルは、別にこれといって効率的な方法はありません。必要なときに引き出せればそれでよいわけなので自分がやりやすい方法で管理すればよいと思います。私は「ワンノートブック・ワンタグ」方式で管理しています。
例えば、私はブログにアップした原稿を全てEvernoteに入れています。「テキストアーカイブ」というノートブックに「R-style」というタグを付けて入れるわけです。あるいは「シゴタノ!」とか。この辺はバックアップ的な意味合いなのでそのタグを頻繁に参照する可能性は低いのですが、万が一ということで「タグ付け」してあります。
フリーソフトの圧縮ファイルなども、「保管庫」というノートブックに「バックアップ」というタグを付けて入れてあります。
私は「ワンノートブック・ワンタグ」。でも、なんだっていい。
まとめ
三回に分けて、私がどのような方針でEvernoteを運用しているのかを紹介してきました。何にでも使えるがゆえに、運用方法がごちゃごちゃしてしまっている方の参考になれば幸いです。
私は、常に「いかに手間を最小化できるか」について考えています。もちろん全ての手間を省いているわけではありません。そうやって単純にコストばかりを削減した先にはあまり実りはないと思っています。
感覚的には一つの工場をマネジメントするように、情報のインプットからアウトプットまでの流れを管理しています。適度な大きさの工場をイメージし、そして問いかけます。
「その工場のボトルネックはどこか」
私が考えるにそれは「情報の整理」です。まともにやり出すと、ここにかなりのリソースが使われることになります。工場に運ばれてくる原材料にはさまざまなものがあるでしょう。釘やねじといった使用方法は明確でかつ汎用性の高い物から、加工された木材のような汎用性の低い物もあるでしょう。あるいは大木がまるまる一本運ばれてくるかもしれません。これらをまったく同じように「整理・分類」する事にあまり意味があるとは思えません。
釘やねじは型番ごとに分けておけばよいでしょう。加工された木材はそれが使用されるラインに直接運ばれるのが便利なのかも知れません。大木はそれを分類することよりも、どんな風に使えるのかを考えることがスタートになりそうです。
Evernoteに作り出されるノートも、それぞれの効率よい「整理・分類」のやり方はあるはずです。ノートの使用頻度からスタートしてノートブックやタグについて考えていくというのが、私なりのマネジメントのやり方です。皆さんも自分なりのEvernoteマネジメント手法を確立してみてください。
参考文献:
Evernoteでの検索について知りたければ以下の記事を
Evernote:Step By Stepで覚える検索文法 – ノートブック、タグ、タイトル編(b2log/p)
1 thought on “Evernoteの実践的なノートブックとタグの運用法(下)”