書評 「どこでもオフィス」仕事術(中谷健一)

まずは、献本御礼。
※出版社様よりご献本いただきました。ありがとうございます。

サブタイトルは”効率・集中・アイデアを生む「ノマドワーキング」実践法”

「どこでもオフィス」仕事術―効率・集中・アイデアを生む「ノマドワーキング」実践法
「どこでもオフィス」仕事術―効率・集中・アイデアを生む「ノマドワーキング」実践法
ダイヤモンド社 2010-06-04
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ノマドワーカーって何?という方は「仕事するのにオフィスはいらない」を参照していただければ良いが、要するに「オフィスに縛られずに仕事をしている」ビジネスパーソンの事だ。

ノマドワーカーという言葉が示す物は二つある。それは

  • オフィス以外の場所でも仕事ができる人
  • 組織から距離を置き、自分を仕事の中心に置いている人

この二つだ。本書ではこれを「ロケーションフリー」という言葉を用いて説明している。ロケーションという言葉に置き換えれば、上の二つは

  • 働く場所に拘束されない働き方
  • 所属や肩書きに縛られない仕事のやり方

という事になるだろう。本書は前者の「実践的解説書」である。

ノマドの何が凄いのか?

まずはノマドスタイルを実践することにどんなメリットがあるのか押さえておこう。それは

・隙間時間を使える
・場所の力を最大限利用できる
・意外な出会い

この3点だろう。

オフィスでなければ仕事ができないという環境はまったく効率的ではない。もちろん仕事の内容によっては仕方がない部分も出てくるだろう。しかし、一度真剣に問いかけてみるべきだ「これはオフィスでないと、できない仕事なのだろうか」と。

この問いかけから仕事を見直せば、多くのメリットを得ることができるはずだ。上に挙げた3つの詳しい内容は実際に本書を参照してもらうとして、今回は「場所の力」というものを少し考えてみたい。

場所が持つ力

私自身も、よく仕事場(自宅)以外で仕事をする。そういう意味ではノマドワーカーの端くれと言えるだろう。様々な場所で仕事をするためには単にノートパソコンを持ち歩けば良い、というものではない。ある程度の準備や知識というものが必要になってくる。

著者はこの点を3つに上手くまとめている。

・「基本ツール」をそろえる
・「オフィス環境」を整える
・「デジタル管理」を行う

この3点だ。これは私もまったく同意できる。

最低限の仕事をするには、ノートPCとネット環境は持っておく必要がある。そしてスマートフォンも。これさえあれば、オフィス空間の可能性は飛躍的に広がる。

それに加えてクラウドサービス。これも欠かせない。
最近は、EvernoteやDropBoxがいかににノマドワーキングを支えているかを日々実感する毎日である。「これがないと始まらない」とはまでは言わないが、一度使えば手放せなくなるサービスである。本書にはこういったクラウドサービスについての簡単な解説もある。

オフィス力

そして、オフィス。これが重要だ。著者は14のオフィスを想定し、その特徴や運用上の注意を挙げられている。私自身もいろいろな場所で仕事をしているうちに「場所が持つ力」というものに注意を払うようになった。

それは、電源のあるなし、という事だけではない。空調・照明の光度・BGM・他のお客・店の雰囲気、こういった要素が自分のテンションや仕事の進み具合にかなり影響してくるのだ。「あの客うぜぇーな、はやく帰らねぇ~かな」という店員の空気を感じながら集中して仕事をするのは難しいだろう(よほど精神的M属性をお持ちならば話は別だが)。机の大きさや椅子の座り心地も考慮に加える必要がある。

  • 広い机、明るい照明、電源
  • 狭い机、心地よいクッション、ほの暗い照明

どちらも居心地良い環境ではあるが、作業効率があがる仕事は当然違う。多分オフィスワーカーは職場に行けば「仕事スイッチ」が入ると思うが、ノマドワーカーはこういった場所ごとに細かく「仕事スイッチ」の種類を分けている事が多い。そして、私の実体験からいっても、その方が効率が良いと言える。

著者が示す14のオフィスで、私もよく利用するのが「オフィス・マクドナルド」と「オフィス・ファミレス」である。マクドナルドにも、ファミレスにも店ごとにいろいろ特徴があるので、それをチェックして回るのもノマドワーカーの楽しみの一つである。

「どこでも仕事ができる」→「仕事をする場所を選ばない」→「仕事をする場所を選べる」→「快適な場所で仕事をする」

これがノマドワーカーの「オフィス力」レベルアップの道のりであろう。

まとめ

これから、ノマドワークスタイルを目指す人にとっては「入門書」として読めるだろう。最低限必要な投資金額も見えてくるだろうし、どこに気をつけて”オフィス”を選べばよいのか、そもそもどんな選択肢があるのかを知るにもベストの一冊である。

また、実際にノマドを実現している人にとっては「共感の一冊」とも言える。「あぁ、それあるある」というポイントがいくつも見つかるだろう。もちろん知らなかったトピックスに巡り会える可能性もある。私はレゴブロックのトピックスが面白く読めた。個人的にはもう少し「クラウド活用」について突っ込んだ内容があれば嬉しかったが、それは著者の次回作に期待するとしよう。

何はともあれ、「ノマド」始めてみませんか?

ひとりの人間にとっての最大の発見、最大の驚きはじぶんにはできないと思っていたことが実はできるのだと知ることである。 _ヘンリー・フォード

▼参照文献:

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)
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