「主体性」を取り戻すたった一つの冴えたやり方

雀鬼・桜井章一氏が語る「ツキの正体」という本がある。学術論文でもなければ、HowTo本でもない。エッセイでもあり人生哲学でもある。いくつか印象深い点があったのだが、今回は「努力する」と「楽しむ」ということについて考えてみたいと思う。

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気分良く生きればツキが回ってくる

風が吹けば桶屋が儲かる、みたいな話に感じられるかもしれない。しかし、ちょっと考えてみて欲しい。例えば「仕事」を誰かに任せたい、あるいは発注したい場面にいるとして、「楽しそうに仕事をしている人」と「陰鬱そうに仕事をしている人」のどちらに仕事を頼みたいだろうか。能力が全く同じならば、あるいは多少の差があったとしてもやはり「楽しそうに仕事をしている人」に気持ちが動くのではないだろうか。

楽しんでいれば、気分はよくなってきます。自分だけではなく、周りにもいい空気が生まれてくるものです。いい空気は、ツキを呼びます。

楽しんでいる空気は伝播し、楽しい人の元に仕事や依頼があつまる。自分が楽しくして、他人も楽しくしていれば幸運やチャンスが巡ってくる可能性は高くなる、と考えるのはそれほど極端な考え方ではないだろう。

「努力」から「楽しむ」へ

では、どんな風に「楽しめ」ばよいのだろうか。その楽しみ方は「努力」とはまったく逆の方向性だという。

まずは、純粋に楽しむことです。仕事でも勉強でも、苦しんだ末に得るものなど、たいしたものではありません。苦しまず、極力楽しみならが物事を進めていくための工夫をするのです。

これは、「練習をしない」「仕事をしない」「勉強をしない」ということではない。そういった事を「努力している」という感覚から切り離す、ということだ。

「努力」とか「がんばる」という言葉の裏側には「自分はこれだけ努力したんだから」「がんばったから認めて欲しい」という欲求が潜んでいることが多い。

「楽しむ」という感覚には、他者の評価は入ってこない。人の目を気にして何かをするのではなく、自分がそれとどのような関係を持つのか、作る感覚を持つということだ。

タスクをゲーム風アプローチ(制限時間を決める、カードを使うなど)で処理するというハックもこの発想に近い。

問題は、タスクをゲーム風に処理することが「楽しむ」事ではない、と言うことだ。それは「楽しみ方」の一つの方法でしかない。

もし、誰か”エライ人”が「この方法でやれば、仕事が楽しく片付けられるようになります」と言ったことを鵜呑みしてやっただけでは、何一つ「楽しめ」ていないだろう。それは、形を変えた「努力」でしかない。そこには主体性もなければ、積極性もない。本当に変えるべきは、仕事のやり方ではなく自分と仕事の関係性であるはずだ。仕事と努力を結びつけたままでは、状況の改善は難しいだろう。

「努力する」から「楽しむ」へ感覚スイッチを切り替える事は、とても大切なことだと思う。

主体性と時間

「努力する」感覚で物事を続けている間は、短期の成果や評価を気にすることからは逃れられない。そして、それは私に言わせてみれば「今を失っている」事になる。

「5年間頑張りましたから、これだけの結果を下さい」
「10年下積みをしたら、成功するはずだ」

こんなくだらない要求や希望を抱くために、その時間をゴミ箱に投げ込むのは馬鹿げている。「楽しむ」という感覚のフォーカスは「今」であり「自分」だ。

山登りで考えてみよう。まだ誰も登ったことがない山だ。Aさんは必至になってその山の頂上を目指す。この山に登れば歴史に名前が残る。歯を食いしばって山頂にたどり着くとそこにはすでに別の登山者が。彼は途方に暮れるだろう。「この山を登るのに費やした時間を返してくれ」と嘆くかも知れない。

Bさんもその山を登った。道ばたに咲く花々や美しい風景を愛でながら。あるいは、どうやったら楽に歩けるかを考えたり、歩きやすいルートを探したりしながら。

Bさんが山頂に登り着いたときには、すでに多くの人々がその場所にいるだろう。でも、Bさんはそのことに悲しみもしなければ、時間を失ったような感覚もないだろう。誰からも結果を評価されなくても、山登りを楽しんだはずだ。きっとBさんは別の山にもチャレンジしてみるだろう。

まとめ

他人の評価ばかり気にしたり、結果だけを追い求めたりする事は、行動の動機を他人に全面委任しているのに等しい事になる。それは「今」という時間の放棄であり、「自分の意志」という主体性の放棄でもある。「楽しむ」感覚は、それとは逆だ。

「楽しむ姿勢を持って物事に取り組むこと」

それが「主体性」を取り戻すたった一つの冴えたやり方かもしれない。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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