7-本の紹介

書評 パーソナルブランディング(ピーター・モントヤ)

前回は、ドラッカーが説く知識労働者の仕事術あるいは心得を紹介しました。

その中でも「自らの強みを知る」「もっとも重要なことに集中せよ」この二つは、パーソナルブランディングを行う上でも重要なポイントになってきます。

パーソナルブランディング 最強のビジネスツール「自分ブランド」を作り出す
パーソナルブランディング 最強のビジネスツール「自分ブランド」を作り出す ピーター・モントヤ ティム・ヴァンディー 本田 直之

東洋経済新報社 2005-06-01
売り上げランキング : 10326

おすすめ平均 star
star頭に入りにくい非常に辛い本でした。 評価が高くなければ・・・時間が勿体無かった。
star信頼感を得るためには必須です
star翻訳が下手すぎて納得がいかない

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日本社会の変革

これからのビジネスパーソン、特に知識労働者を志す人々にとってパーソナルブランディングの手法は必須の技術の一つとなっていくでしょう。これからどのような政党が与党の座につこうとも、桃源郷の日本が再生されることはありません。市場や日本を取り囲む環境が一変してしまった今、劇的な変化が起こるのは避けられないでしょう。あとは時期の問題だけです。

「終身雇用」「年功序列」システムの功罪の指摘は置いておくとして、今の20代はそれに寄りかかるように生きていくことは極めて困難、と言わざる得ないでしょう。もしかしたら、スピードクジの一等に当たるぐらいの幸運さがあれば、一つの企業のシステムに寄りかかって生きていくことができるかもしれません。しかし、それを当てにするのはいささか馬鹿げているでしょう。

また、企業そのものが存続していても、規模が縮小することはいつでもありえます。すでに「リストラ」というのが「人員調整」と同じ意味合いで使われている日本社会において、社員の数を削減することに躊躇を覚えない経営者はすくなからずいることでしょう。

今の日本社会ではそれほど切実なものではないかもしれませんが、これからの日本社会においてパーソナルブランディングの手法は「覚えておいて損はない」というレベルではなく「ぜひ知っておくべき事」に入ってくるはずです。

ブランディングの必要性

なぜ、それほど「パーソナルブランディングの技術」が大切なのでしょうか。「自分ブランド」を作り上げれば何が得られるのでしょうか。以下の三点が考えられます。

  • 働き方を変えられる
  • 自身の強みを尖らせられる
  • 居場所を得られる

働き方を変えられる

「ブランド」が確立されていれば、あなたと仕事が結びつきます。これは

・副業ができる
・転職がしやくなる
・独立の可能性がでてくる

といった、変化をもたらすことになります。

企業に依存しない「働き方」あるいは、「生き方」といったものが選択できるようになるでしょう。

自身の強みを尖らせられる

ブランドが確立されれば、あなたの元にブランドに関係した仕事が回ってくる確率は、梅雨明けの気持ちよく晴れた日の気温のようにグンとあがります。

仕事をこなすことで実勢経験を積むことができます。また関連する情報が集まりやすくなるというメリットもあります。

自分が作ったブランドが、状況を作り、あなたを次の階段へと導いてくれる、というような事が起こる可能性は普通に生きているよりも遙かに高くなるでしょう。

居場所を得られる

本業をやりながらでも、別のこと__例えば趣味の分野__でブランディングしていくこともできます。その場合、「会社」と「趣味」の世界で持ち場を得ることができます。

これは精神的な意味でかなり大きな支えになるでしょう。もし持ち場が一つしかなければ、その場所で失敗をしてしまったときアイデンティティは大きく傷つきます。しかし複数の場所で自己を確認することができれば、アイデンティティの傷つき方は少なくて済むはずです。

それ以外にも「気持ちのメリハリを付けられる」「複数の視点を持って、柔軟に物事に接することができる」というメリットも考えられます。特に動きにくい日本の社会の中では、複数にまたがる場を持っているのは、メリットの方が多いのではないでしょうか。

パーソナルブランディングのバイブル

ピーター・モントヤの「パーソナルブランディング」は、タイトル通りそれを行うための技術を丁寧に解説している本です。日本語訳の初版は2005年であり、実際使われるツールは現状に対応しているとはいえません。しかし、なぜパーソナルブランドが必要なのか、それがどのように重要なのか、いかに人の心に訴えかけるのか、という基礎を知るには最適な一冊です。また古いツールであっても、どこにポイントを置いて使うべきかという指針が解説されているで、今のツールを使う上でも役に立つ点は多いでしょう。

私があなたに約束できることは、本書全体の中でパーソナルブランディングの創造、維持、マーケティング、ターゲットの設定に関して知りたいことをすべて見つけ出すことができるということである。本書は、企業やショップのオーナーあるいはサービスのプロフェッショナルとともに作成する気持ちで書き上げており、繰り返し手にとって読み返せるよう、使い勝手のいい参考書を意図して作ったものだ。

引用部分にもあるとおり、これは一冊の参考書です。文章自体は平易なものですが、その分内容をじっくりと読み込んでいく必要があります。そして受験勉強用の参考書と同じように実際に自分の手を使って、頭を絞って考える必要があります。

本書を読んで「エンジンに火が付いた、早速はじめてみよう」と動き出せる人は、それでかまいません。そのまま進んでいけばよいでしょう。しかし、「こんな事が自分にできるのだろうか」という疑問が湧いた方は、すこし立ち止まった方がよいと思います。確信を持ってその道を進めないのならば、進まない方が賢明でしょう。

パーソナルブランディングには熱心な取組みが必要とされる。この熱心さなしにパーソナルブランディングは機能しない。

なぜでしょうか。

一つには、ブランドを構築するには時間がかかるということです。それは「今日作りました、明日から機能します」といったインスタントなものではありません。ブランドが機能している状態とは、ロゴやデザインが出来ている状態の事ではないのです。それは、一つの世界あるいは一つのフィルターを他人の心の中に作り上げる作業の事です。

「ブランドは相手の心の中で起こる」

そのような作業が一朝一夕で出来るはずはないでしょう。

もう一点が、それは作り上げた後も維持し続ける必要があるからです。システムを作ればそれでおしまいというわけには行きません。自分自身のブランドですから自分自身がコミットメントを持ち続ける必要があるのです。

自分がやろうとしていることが、本心から好きといえなければ、そのような努力を続けていくことは難しいでしょう。世界で一番有名なコカ・コーラでさえ基本的なコンセプトは維持したまま、パッケージのデザインや味についての見直しを行っています。それと同じ事がパーソナルブランディングの領域においても必要なのです。

まとめ

本書を読めば、そもそも「パーソナルブランディング」とは何なのか、どんな機能があるのか、どのように作るのか、を体系的に知ることができます。

ただし、この知識はスタートのスタートでしかありません。実際に自分のブランドイメージを固めていく作業が必要になってきますし、ブランディングの活動も必要です。前述しましたが本書内で紹介されているツールはすでに古いといっても差し支えありません。現代ではブログ、Twitter、動画、Facebook、を融通無碍に活用していく必要があります。

しかし、初めの一歩としては悪くない一冊でしょう。何を始めるにしても、まずは全体像をつかむところから始めてみるのがよいと思います。

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