7-本の紹介

書評 ゲイリーの稼ぎ方(ゲイリー・ヴェイナチャック)

前回はパーソナルブランディングについて紹介した。現在ではブランディングのメインストリームはソーシャルメディアにある。そのソーシャルメディアを徹底的に活用した男がゲイリー・ヴェイナチャックだ。

~Twitter、Ustream.TV、Facebookなど、ソーシャルメディアで世界一成功した男~ゲイリーの稼ぎ方(ソーシャルメディア時代の生き方・考え方)
~Twitter、Ustream.TV、Facebookなど、ソーシャルメディアで世界一成功した男~ゲイリーの稼ぎ方(ソーシャルメディア時代の生き方・考え方) ゲイリー・ヴェイナチャック 岩元貴久

フォレスト出版 2010-07-06
売り上げランキング : 141

おすすめ平均 star
starソーシャルメディアの時代の役立つ実用書♪
star「ソーシャルメディア」を最大限ビジネスに活用する実践的な方法が学べる!
star「楽して稼ぐ」ではなく「好きなことをして稼ぐ」方法

Amazonで詳しく見る by G-Tools

ソーシャルメディアとは

ソーシャルメディアとは、簡単に言えば、ポストマスメディアである。

その性質自体は、驚くほど単純だ。つまり「フラット」「口コミ」「ラピッド」この3点だ。

今の日本では、ソーシャルメディアの中核は「Twitter」だろう。Facebookも徐々に認知度を上げつつある。そういった「つながり」を生み出すツールに、Blog、Youtube、Padcast、といったコンテンツを提供するツールが組み合わさっている。その全体像が「ソーシャルメディア」だ。

フラット

それはとても「フラット」な構造だ。まず参入障壁がほぼゼロだ。すくなくとも開始するための金額面でのコストはパソコンとネットワーク環境への投資だけですむ。つまり現代では追加投資などほぼ必要ない、ということだ。フラットな構造は、参入の容易さだけではない。既存のマスメディアでの有名人と、そのへんの一般人との扱いもフラットである。

もちろん、有名人の方が多くの人間にフォローしてもらえる確率は高い。というか、現実をみればそうなっている。しかし、タイムライン上ではその有名人の発言と、そのへんの一般人の発言はまったく同質に扱える。勝○さんや○江さんのアイコンやつぶやきが他の人よりも10倍や20倍のサイズで表示される、ということはない。

また、有名人と一般人がかんたんにつながれるというフラットさも、ソーシャルメディアの中にはある。誰しもが、有名人が持つ伝播力の大きさによって有名人に引き上げられるという可能性がソーシャルメディアには眠っている。

口コミ

既存のマスメディアは、いわば中央集権的な情報伝達の構造である。対してソーシャルメディアは個々のつながりによって情報が伝達されていく。

こういった世界では、情報の「受信者」と「発信者」に明確な区別はない。めまぐるしく攻守が入れ替わるサッカーのようなものだ。もちろんひたすらゴールを守るキーパーのような存在、あるいは決して守備をしないFWのような存在はいるだろう。しかし、フィールドプレーヤーの大半は攻守を切り替えながら動き回る。ソーシャルメディアもまったく同質の構造を持っている。

ある人が何かのサイトを見て面白いと思ったとする。Twitterで「このサイト面白かった」とURL付きでつぶやきを流す。その瞬間「受信者」が「発信者」に変わる。発信者は別に何かをクリエイトしなければならない、ということではない。そういった簡単なコメントでも一つの付加価値と言える。あるいはフィルタリングとも。

「口コミ」というのは、そういった性質を持つ。アップル製品を使う人は経済学からみれば消費者であるが、その行動をじっくりと観察すれば、大抵はアップルの営業マン(営業ウーマン)であることが多い。

ソーシャルメディアでは、情報の伝わり方がマスメディアとは根本的に異なっている。興味が近い人同士がつながっているので、コアな情報が凄い勢いを持って広がっていく。もちろん、それはマスからみれば局地的な量かもしれないが、マーケティングとしてみれば「見込み客」率は圧倒的に高いだろう。

はやさ

既存のマスメディアに比べて、ソーシャルメディアでは情報の伝達が恐ろしく早い。もちろん、そこから導き出されるのは、廃れるのも早い、という現実だ。

はやい、と言うことの問題は検証されないまま情報が広がる可能性がある、ということだ。もちろん「情報はしっかり検証しましょうね」とお題目を立てるのは簡単だ。しかし、基本的にソーシャルメディアは一度広がれば簡単に収拾できるものではない、という認識を持っておく必要がある。もちろん、それは時間が経てば勝手に廃れていく。3日前の話題を引きずるというような事はTwitterにおいてはほぼ見受けられない。炎上するのは、その瞬間だけか、あるいは場所をブログに移して、ということになる。

もう一点「廃れるのが早い」というのはコンテンツ提供者にとっては大きな問題だ。これがあるが故にTwitterだけでブランディングするのはかなり難しい。「流れてくる」「流れてゆく」のがTwitterの面白さである。従って、有益なコンテンツはしっかりと残る形で出していく必要がある。現在ではBlogや電子書籍ということになるだろう。

必要なものは、情熱

さて、ゲイリーはソーシャルメディアを使って成功するための秘訣をなんと言っているだろうか。

  1. 家族を大切にする
  2. 鬼のように働く
  3. やりたいことをやる!

この3点だ。ちょっと拍子抜けした方もおられるかも知れない。これは彼なりの「成功」の表現なのだろう。つまり

やりたいことを鬼のようにやって、残りの時間は家族を大切にする。

という人生を送ることがゲイリーの人生における「成功の形」なのだろう。

だから、もし「ちょちょっとTwitterを使って有名になってやるぜ」という方がこの本を読んでも何一つ得るものはない。

むしろ、この本はソーシャルメディアが一般化する社会でどのように生きるのかという一つの人生哲学の本である。共感できない人も(今の日本では)多くいるだろう。それはそれでかまわない。

要するにゲイリーはこういっているのだ。

「人生が短いことを知っているのに、なんで自分の大切な事のために時間を使わないんだい?」

と。

まとめ

本書はゲイリーの生い立ちから成功までの流れであり、彼なりの思想を表現した本だ。
前回紹介した「パーソナルブランディング」では鍵は「熱心な取り組み」にあると語られていた。本書もほとんど同様のことが語られている。

伝達のスピードが速く、誰でもが発信者になれるソーシャルメディアにおいて、際立った存在になるためには「情熱」を土台にブランドを組み立てて行くしかない。一体誰が、中途半端なやる気しか持たない人間に興味を持つだろうか。世の中は本当にたくさんの人がいて、そのたくさんの人とつながれる世界にいるのだ。「特別な人」になるためには、相当の積み重ねが必要になってくる。

もし本の内容やゲイリーについて興味がある方は、
http://crushit.rocknoble.com/
をチェックしてみるとよいだろう。動画を見れば彼がどのような「情熱」が伝わってくると思う。

▼方向性の近い本など:

Me2.0 ネットであなたも仕事も変わる「自分ブランド術」
Me2.0 ネットであなたも仕事も変わる「自分ブランド術」 ダン・ショーベル 土井英司

日経BP社 2010-04-29
売り上げランキング : 5518

おすすめ平均 star
starなんでこんなに騒がれるんだ?
star覚悟必至!これはかなり時間のかかる本。
starパーソナルブランディングが一般人にどれだけ浸透するのか?

Amazonで詳しく見る by G-Tools

▼書評企画実施中:
[告知]夏のじめじめとした季節に読書をして書評を書こう!企画概要

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です