Sharing is Power!

書評 「プレゼンテーションZEN デザイン」(ガー・レイノルズ)

前回のエントリーで「うまいプレゼンの3つのポイント」を紹介た。それはプレゼン全体像の組み立て方に関するコツと言える。全体の構成ができれば、次に必要になるのはスライドの作成作業だろう。

プレゼンテーション Zen デザイン
プレゼンテーション Zen デザイン Garr Reynolds ガー・レイノルズ 熊谷 小百合

ピアソンエデュケーション 2010-06-25
売り上げランキング : 92

おすすめ平均 star
star複雑なプレゼンこそ、シンプルに!
star続編はデザイン中心。前作と合わせて読むのがオススメ
star価格以上の内容、お金を払ってでも知りたいノウハウ満載

Amazonで詳しく見る by G-Tools

新しいプレゼンのスタイルを提唱した、「プレゼンテーションZEN」の著者が、どのような点に気をつけてスライドを作ればいいのかを解説したのがこの一冊だ。

プレゼンテーションZENとは?

プレゼンテーション Zen
プレゼンテーション Zen Garr Reynolds ガー・レイノルズ 熊谷 小百合

ピアソンエデュケーション 2009-09-07
売り上げランキング : 111

おすすめ平均 star
star頭ではわかっていることができないことがよくわかる
star日本人にとって当たり前の感性の再確認
star全国のMSPPオペレータに告ぐ

Amazonで詳しく見る by G-Tools

「プレゼンテーションZEN」の中心的なメッセージは非常にシンプルだ。

「誰も見ていないスライドなんか、もういらない」

世の中には、パワーポイントの「高機能」に振り回されてごてごてしたスライドを作りすぎている人が多いようだ。

著者はこの本で「望ましいプレゼンの形」を現状からの変化の形で提示している。

長い→短い
退屈→シンプル
最悪なスライド→読みやすい
中身がない→魅力的

私なりに「プレゼンテーションZEN」のコンセプトをまとめれば次のような感じになる。

  • 最も伝えたいメッセージを考え、それを中心にする
  • 一枚のスライドにはあまり要素を詰め込みすぎない
  • プレゼンの主役はあなたであってスライドではない

本書を読むに当たっては、まずこの「プレゼンZEN」の考え方を理解しておく必要がある。

デザインの基礎知識

本書は大きく分けて3つの要素から成り立っている。

構成要素(コンポーネント)

  • タイポグラフィの活用
  • 色彩によるコミュニケーション
  • 写真や動画でストーリーを語る
  • データを簡素化する

デザインの原則

  • スペースを活用する
  • 狙いをはっきりさせ、焦点を絞る
  • 調和を生み出す

プレゼンテーション向上への道

  • スライドサンプル
  • 旅は続く

構成要素(コンポーネント)

これは、「スライドに何を配置するか」についての解説だ。
タイポグラフィつまり文字要素について、色の使い方、写真や動画をどう活用するか、表やグラフのシンプルな見せ方。これらが解説されている。スライドを作ったことがある人ならば、どれも馴染みのものだろう。

デザインの原則

これは、「スライドにどのように配置するか」についての解説だ。
基本的には詰め込みすぎない、の一点に尽きる。詰め込みすぎないためには配置する構成要素について絞り込む必要がある。絞り込むためには「何がもっとも大切なのか」を自らが熟知しておかなければならない。

一枚のスライドごとにポイントを絞り込み、どうすればそれの主張が生きるかを考えて、要素を配置していく必要がある。また、単に配置するだけではスライドを見る人に強い印象を与えない。強調と調和。この二つの意識する必要がある。

プレゼンテーション向上への道

実際のスライドのお手本とデザイン力をどのようにして向上させるかのヒントが詰まっている。デザイン力の向上に関しては、「カイゼン」という日本でおなじみの概念が用いられている。

カイゼンの興味深い点は、大進歩や急激な改革は必要ではないということだ。むしろ、重要なのは向上の足掛かりとなるアイデアを(どんなに小さなものであれ)常に探し続けることである。

デザイナーの視点を持って身の回りを見つめれば、至る所に「デザイン」を見つけることができるだろう。

まとめ

書かれてあるように、この本はプレゼンの技法を学ぶビジネスパーソン向けの一冊だ。デザイナーを志す人ならば一通り知っているはずの知識が大半である。

普通のビジネスパーソンはなかなかデザインの教科書に手を伸ばすのは敷居が高いだろうから、まず身近なプレゼンというものを題材にしてデザインを勉強してみるのもよいだろう。ここで紹介されているデザインの基本は、基本であるがゆえに他のデザインにも使える。

デザインはあるメッセージを伝えるための補助的な装置である。デザインが先にあるわけではない。まずは中心となるメッセージを見つけることが大切だ。「プレゼンテーションZEN」を読めばその重要性が理解できる。続いて、本書を読めば実際のデザインを行うための手がかりがつかめる。本書の効用の一つがこれだ。

効用はもう一つある。
デザインの知識があれば、他人のプレゼンを見たときに、どのような主張をどのような手法を用いて伝えようとしているのか、ということも分析できるようになる。デザインを見れば、そこから逆算的に「こういうデザインを使っているということは、これをこんな風に伝えたいのだな」ということが理解できる。これは、簡単に本質に迫れるための有効な思考方法の一つである。

どのような効用を目的とするかは自由だが、デザインのやり方についてまったく知らない人が基礎知識を一通り学ぶ上で、有用な一冊と言えるだろう。

▼書評企画実施中:
[告知]夏のじめじめとした季節に読書をして書評を書こう!企画概要

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です