R-style

Sharing is Power! / Create your own way.

Menu
  • ホーム
  • About
  • メルマガ
  • 著作リスト
  • Evernoteの使い方
  • Scrapboxの使い方
  • Tools
  • お問い合わせ
Menu

書評 スイッチ!(チップ・ハース&ダン・ハース)

Posted on 2010 年 8 月 26 日 by Rashita

「チップ・ハース&ダン・ハース」という著者名を見れば、買わずにはいられない。なんと言ってもあの「アイデアのちから」の著者コンビである。

スイッチ!
スイッチ! チップ・ハース ダン・ハース 千葉敏生

早川書房 2010-08-06
売り上げランキング : 183

おすすめ平均 star
star変わるためのしくみを考える

Amazonで詳しく見る by G-Tools

前著のタイトルも「ありきたり」という評判だったが、今回の本のタイトルも実にひねりがない。ちなみに、本書の中で「スイッチ」という言葉が出てくるのはあとがきにあたる「さあ、スイッチしよう」の部分だけだ。

印象に残る名前にしたければ、「行動に変化を与えるための9つのフレームワーク」みたいなインパクトを求めても良いのかも知れない。が、こういう名前は記憶に焼き付かない。

なぜだろうか。

答えは簡単で、「ありふれているから」だ。書店の棚を見回してみると、「スイッチ!」のように一見ありふれた名前の本の方が少ない。

短くて、わかりやすく、本の内容が示すものを直感的にイメージさせる。それが「スイッチ!」というタイトルが持つ力である。おそらくこねくり回したタイトルを見慣れた人は見過ごす本だろう。でも、読む人は読む。内容が良ければそれが自然と広まる。広がり始める段階において「スイッチ!」という短い言葉は役に立つ。元々知っている言葉だし、言い間違いが発生する余地もない。こうして・・・とネーミングについて分析するのはそろそろ止めておこう。

本書のテーマは「変われない」を変える方法である。

変化を起こすための3つのフレーム

考えておきたいのは、人間というのは独立した存在ではなく、環境に大きく依存する存在だということだ。言い方を変えれば環境を変数とした関数と言ってもよい。環境によって感情が動かされ、環境によって理性が力を無くす。

私たちは実験室の中で脳波を測定されているわけではない。自分自身の状態や周りの人との関係性の中で行動を決めている。いわゆるソーシャルブレインズというヤツだ。

結局の所、「正しいこと」だけを振りかざしても人の行動に変化を与えることはできない、と言うことだ。控えめに言い直しても短期的な変化しか与えることはできない。

であれば、どうするか。

本書では3つのフレームを立てている。

  • 象使いに方向を教える
  • 象にやる気を与える
  • 道筋を定める

それぞれ見ていこう。

象使いに方向を教える

象使いとは何か。私たちの「理性」にあたるものだ。象使いの強みは

長期的に考え、計画を練り、先を見すえることだ

である。理性が存在しなければ、毎日、衝動的・無計画・短絡的に生きるしか無くなってしまう。要するに気ままライフだ。

行動に変化を与える際に象使いを味方に付ける必要があるのは簡単に理解できる。ではどうすればいいか。「具体的な指示をすること」。これが答えの一つだ。

象使いが「正解」を求めようとすると永遠に悩み続ける羽目になる。世の中において大抵の選択肢はトレードオフだ。明示的に「正解」が見つかる事例の方が少ない。選択肢が多く、しかもそれぞれに良い点・悪い点があり評価できなければ「選択不全」に陥ってしまう。これを避けなければいけない。要は「正解」ではなく「最適解」さえ分かればいいのだ。

本書では「ブライト・スポットを見つける」という方法を提案している。ブライト・スポットとはホワイトベースの艦長席の事ではない。簡単に言えば「お手本となる成功例」の事である。

なぜ出来ないのか、根本的な問題を解決するにはどうすればいいのか、というアプローチではなく、実際に成功している事例はどのようなものがあるか。その事例は他の事例と比べて何が違うのかを考えていくのが「ブライト・スポットを見つける」という方法だ。

また、見つけた事例を人々の行動に落とし込むことも重要だ。そのあたりは、本書で紹介されている実際の事例__ベトナムでのスターニン氏が行った母親の料理習慣の変化__を参考にされると良い。一文だけ引用しておこう。

「知識では行動は変わらないのです。頭のおかしな精神科医、太った医者、離婚した結婚カウンセラーはどこにだっています」と彼は話す。

象にやる気を与える

象使いが理性だとすれば、象は感情にあたる。大きなパワーを持つのはこの「象」だ。感情を無視して、理性だけで行動をコントロールしようとするのは愚かしい。

例えば、私はその日のToDoリストは未だに「紙」だ。タスクを消化したときに、赤のボールペンでそれを消していく感触が好き、というのがその理由である。象と象使いの関係を考えれば、その感覚がバカに出来ないことがわかる。

象にやる気を与える方法として

  • 感情を芽生えさせる
  • 変化を細かくする
  • 人を育てる

が提案されている。

道筋を定める

最後は道筋。象と象使いが一致団結していても進むべき道がでこぼこしていたのでは歩きにくいことこの上ない。これを変えていこうという事だ。

  • 環境を変える
  • 習慣を生み出す
  • 仲間を集める

の3つの方法が提示されている。

まとめ

新しいことを始めようとすれば、何かしらの「変化」を起こす必要がある。

人は「惰性」で生きている。だから「変化」を起こすのは簡単ではない。
でも不可能な事ではない。
ノシノシと歩みを進める象が急に方向転換をするのは難しい。
でも不可能な事ではない。

象使いが進むべき道を理解し、象がその道の先にあるものに共感し、道自体が適切な傾斜を持ってカーブしていれば、方向転換は可能である。一つずつは小さい事である。というか、私たちは小さい事しかできない。

象と象使いの関係性を理解して、道が持つ力も考慮に加えることができるならば、スイッチを押すぐらいの小さい力でも変化を促せるようになる。本書を読めばスイッチの作り方が理解できるようになるだろう。もちろん、知識だけで充分ではないことは改めて書くまでもない。あなた自身が何かしらの変化を起こしてみる事をおすすめしておく。

関連書籍など:

アイデアのちから
アイデアのちから チップ・ハース ダン・ハース 飯岡 美紀

日経BP社 2008-11-06
売り上げランキング : 1158

おすすめ平均 star
star読みやすい&分かりやすい
starアイデアという素材の調理の仕方
star読み物としても大変面白い

Amazonで詳しく見る by G-Tools

ソーシャルブレインズ入門――<社会脳>って何だろう (講談社現代新書)
ソーシャルブレインズ入門――<社会脳>って何だろう (講談社現代新書)” /></a></td>
<td valign=藤井 直敬

講談社 2010-02-19
売り上げランキング : 4462

おすすめ平均 star
starこれからもっと頑張ってください。
star「つながる脳」の拡張的展開―「認知コスト」と「リスペクト」
star隔靴掻痒の感

Amazonで詳しく見る by G-Tools

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1) マルコム・グラッドウェル 高橋 啓

ソフトバンククリエイティブ 2007-06-23
売り上げランキング : 1539

おすすめ平均 star
star読んで2年後の効果は有り?無し?
star爆発的な拡大現象のメカニズム
star私は途中で飽きました。

Amazonで詳しく見る by G-Tools

機動戦士ガンダムDVD-BOX 1 特典フィギュア付(完全初回限定生産)
機動戦士ガンダムDVD-BOX 1 特典フィギュア付(完全初回限定生産) 安彦良和

バンダイビジュアル 2006-12-22
売り上げランキング : 7467

おすすめ平均 star
star肝心の映像に関して・・・
star最も有名なロボットもの。ファーストは「シャアの復讐劇」。この一言に尽きる。
star画質が悪いです

Amazonで詳しく見る by G-Tools

follow us in feedly Tweet
前の記事 次の記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

有料メルマガ配信中!

サークルもやってます

New Book!

すべてはノートからはじまる あなたの人生をひらく記録術

「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 (星海社新書)

オススメ本

→これまでの著作一覧
  • →SNS:
  • rashita2 さんのプロフィールを Twitter で表示
  • rashita さんのプロフィールを GitHub で表示

Hot Books!

→紹介記事

→紹介記事

→紹介記事

最近の投稿

  • Scrapboxの2 hop search
  • バトルフィールドはどこか
  • 今更何を書くというのだ
  • WorkFlowyのiOSアプリでキャプチャーする
  • 記憶と記録
  • Evernoteのノートリンクとバックリンク

カテゴリー

  • 0-知的生産の技術 (1,592)
    • BlogArts (123)
    • Evernoteの使い方 (179)
    • Scrapboxの用法 (104)
    • Scrivenerへの散歩道 (22)
    • アウトライナーで遊ぼう (89)
    • プログラミング (11)
    • 執筆法 (45)
    • 断片からの創造 (93)
    • 物書き生活と道具箱 (685)
  • 1-情報ツール考察 (81)
  • 2-社会情報論 (109)
  • 3-叛逆の仕事術 (393)
    • 「タスク」の研究 (261)
  • 4-僕らの生存戦略 (260)
  • 5-創作文 (92)
  • 6-エッセイ (219)
  • 7-本の紹介 (465)
  • コレクション (4)
  • 未分類 (2,836)
    • まとめ記事 (516)
    • 企画 (83)
    • 告知 (264)
    • 感想群 (111)
    • 時事ニュース (1,241)

タグ

#365日の書斎 #AppleScriptでEvernoteを操作する #「目標」の研究 #わりと身も蓋もない話 applescript blog BlogArts CategoryAllegory Dynalist Evernote GTD iPhone・iPad・Mac Logseq Scrapbox Scrivener Workflowy 〈学びの土曜日〉 「本」の未来 『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』 うちあわせCast ささやかな質問 ほぼ日手帳 アウトライナー アナログ道具あそび ショートショート セミナー・オフ会・イベント セルフ・ブランディング タスク管理 ノート ノート術 ポッドキャスト 哲学 思想 思考の技術 情報カード 情報摂取の作法 手帳術 政治・社会 文房具 文章の織り方 新しい時代を生きる力 書評 発想法の探求 経済・金融 電子書籍

アーカイブ

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
  • Links
    • シゴタノ!
    • Lifehacking.jp
    • Word Piece
    • gofujita notes
    • 23-seconds blog
    • iPhoneと本と数学となんやかんやと
  • my favorite articles
    • 1に満たないものを繰り返し足していく
    • 冷蔵庫の裏のほこり

My Works

著作リスト

著作リスト

アーカイブ

カテゴリー

アーカイブ

  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月
  • 2018年4月
  • 2018年3月
  • 2018年2月
  • 2018年1月
  • 2017年12月
  • 2017年11月
  • 2017年10月
  • 2017年9月
  • 2017年8月
  • 2017年7月
  • 2017年6月
  • 2017年5月
  • 2017年4月
  • 2017年3月
  • 2017年2月
  • 2017年1月
  • 2016年12月
  • 2016年11月
  • 2016年10月
  • 2016年9月
  • 2016年8月
  • 2016年7月
  • 2016年6月
  • 2016年5月
  • 2016年4月
  • 2016年3月
  • 2016年2月
  • 2016年1月
  • 2015年12月
  • 2015年11月
  • 2015年10月
  • 2015年9月
  • 2015年8月
  • 2015年7月
  • 2015年6月
  • 2015年5月
  • 2015年4月
  • 2015年3月
  • 2015年2月
  • 2015年1月
  • 2014年12月
  • 2014年11月
  • 2014年10月
  • 2014年9月
  • 2014年8月
  • 2014年7月
  • 2014年6月
  • 2014年5月
  • 2014年4月
  • 2014年3月
  • 2014年2月
  • 2014年1月
  • 2013年12月
  • 2013年11月
  • 2013年10月
  • 2013年9月
  • 2013年8月
  • 2013年7月
  • 2013年6月
  • 2013年5月
  • 2013年4月
  • 2013年3月
  • 2013年2月
  • 2013年1月
  • 2012年12月
  • 2012年11月
  • 2012年10月
  • 2012年9月
  • 2012年8月
  • 2012年7月
  • 2012年6月
  • 2012年5月
  • 2012年4月
  • 2012年3月
  • 2012年2月
  • 2012年1月
  • 2011年12月
  • 2011年11月
  • 2011年10月
  • 2011年9月
  • 2011年8月
  • 2011年7月
  • 2011年6月
  • 2011年5月
  • 2011年4月
  • 2011年3月
  • 2011年2月
  • 2011年1月
  • 2010年12月
  • 2010年11月
  • 2010年10月
  • 2010年9月
  • 2010年8月
  • 2010年7月
  • 2010年6月
  • 2010年5月
  • 2010年4月
  • 2010年3月
  • 2010年2月
  • 2010年1月
  • 2009年12月
  • 2009年11月
  • 2009年10月
  • 2009年9月
  • 2009年8月
  • 2009年7月
  • 2009年6月
  • 2009年5月
  • 2009年4月
  • 2009年2月
  • 2009年1月
  • 2008年12月
  • 2008年11月
  • 2008年10月
  • 2008年9月
  • 2008年8月
  • 2008年7月
  • 2008年6月
  • 2008年5月
  • 2008年4月
  • 2008年3月
  • 2008年2月
  • 2008年1月
  • 2007年12月
  • 2007年11月
  • 2007年10月
  • 2007年9月
  • 2007年8月
  • 2007年7月
  • 2007年6月
  • 2007年5月
  • 2007年4月
  • 2007年3月
  • 2007年2月
  • 2007年1月
  • 2006年12月
  • 2006年11月
  • 2006年10月
  • 2006年9月
  • 2006年8月
  • 2006年7月
  • 2006年6月
  • 2006年5月
  • 2006年4月
  • 2006年3月
  • 2006年2月
  • 2006年1月
  • 2005年12月
  • 2005年11月
  • 2005年10月
  • 2005年9月
  • 2005年8月
  • 2005年7月
  • 2005年6月
  • 2005年5月
  • 2005年4月
  • 2005年3月
  • 2005年2月
  • 2005年1月
  • 2004年7月
  • 2004年6月
  • 2004年5月
  • 2004年4月
  • 2004年3月
©2023 R-style | WordPress Theme by Superbthemes.com