4-僕らの生存戦略

セルブラをはじめる前の簡単な問いかけ

書店で雑誌をぱらぱらと見ていたら、柳井氏のこんな言葉にぶつかった。

「何を売りたいかではなく、顧客が何を求めているか」

いかにも「ドラッカー」的な言葉である。おそらくユニクロもこの方針で経営されてこられたのだろう。ドラッカーは「プロフェッショナルの条件」で以下のように述べている。

これに対し、知識労働者の生産性の向上を図る場合にまず問うべきは、「何が目的か。何を実現しようとしているか。なぜそれを行うか」である。手っ取り早く、しかも、おそらくもっとも効果的に知識労働の生産性を向上させる方法は、仕事を定義し直すことである。特に、行う必要のない仕事をやめることである。

思考習慣

柳井氏の言葉と、ドラッカーの言葉から何が考えられるだろうか。私はセルフブランディングの注意点が導き出せると思う。

企業を一個人として考える。すると柳井氏の言葉は

「何がやりたいのかではなく、何が必要とされているか」

となる。

「何がやりたいのかではなく、何が必要とされているか」

一人の人間がやりたいと思っていることはいくつかあるだろう。それらを全て実行することはできない。考えるべきは、「必要とされるもの」と「提供できるもの」をすりあわせていく事だ。あるいは必要とされるものを提供するために技術を磨いていくことだ。

問題は、「何がやりたいのか」はおぼろげながらにでも見えてくるが、何が必要とされているのかに関しては直感的に理解できない、という点だ。逆説的だが、それはまず提供していく事からしか見えてこない。提供し、フィードバックを得て、仮説を立て、また提供していく。その繰り返しの中でしか見いだせないものだ。結局の所サイコロを振らなければゲームは始まらないのだ。たとえどんな目が出ようとも一度降り始めればそこからゲームが始まる。

重要な事は、「必要とされるもの」を見つけることそのものではない。むしろ、それを探し続ける・考え続ける思考習慣だ。一時的なものならば、その世界の「権威」に何が必要とされているのかを教えてもらえるかも知れない。でも、それでは意味がない。なぜならばそれは変化していくものだからだ。自分自身の能力も変化し、世界も変わる。結局の所それは絶え間ない最適化の繰り返し行為なのだ。

そしてその問いかけの向こう側には、ドラッカーの次の問いがまっている。

「何が目的か。何を実現しようとしているか。なぜそれを行うか」

先に決心あり

同じ雑誌で経済評論家の勝間氏が、「まず決めて(決心して)、そこから仕組み作りをする」という事を述べられていた。勉強などを行う際の心構えだろう。

以前@shigotanoさんに「Blogを続けている秘訣は?」と聞かれて「毎日更新すると決めることです」みたいな答えを返したが、これとほとんど同じ事だ。私も更新を促すための仕組みは作っている。リマインダーサービスを使ってTwitterに「R-style更新」というDMを送ったり、毎日同じ時刻にスティッキーズがポップアップしてきてその日の日課をお知らせしてくれたり、RTMから日課メールがEvernoteのinboxに毎日入ってくる、という「忘れないでおく」ための仕組みは何重にも設定しておいた。

何か新しい習慣を始める時には、慎重でありすぎた方がよい

というのが私自身の感覚である。

しかし、このシステムがあればBlogを毎日更新できるようになるかと言うと、そうではないと思う。「毎日更新することを決めた」後に、「それに合わせたシステム」を作ったから続いたわけであって、「システムが先にあって」から「ブログを毎日更新しようと決めた」わけではない。

この点が重要に思える。「仕組み」があればそれでいい、というわけではないのだ。

ドラッカーの言葉を再び持ち出せば、仕組みについての

「何が目的か。何を実現しようとしているか。なぜそれを行うか」

これが明確でないとあまり意味をなさい。決心するというのは、これを明確にするということに繋がってくる。以前にも書いたが、自分のブログのアクセス数アップと文章力向上のために毎日更新を決めた。目的と手段だ。そこに工夫として仕組みが入ってくる。

まったく何もないところに仕組みを持ってきても、あるいは別の目的のために作られた仕組みを違う場所に持ち込んでも意味がないのではないだろうか。

まとめ

真っ白なキャンバスの前にいるとしよう。リンゴを描こうと思ってあなたは赤色の絵の具を探す。あるいは象を描こうと思って緑の・・・じゃない灰色の絵の具を探す。すごく自然だ。

「ほら、こんなに綺麗な赤色がありますよ。これさえあれば素敵なリンゴが描けます」と言われて、赤色の絵の具に手を伸ばす。自分がリンゴを書きたいのかどうかわからないまま、筆を赤色に染める。何か不自然ではないだろうか。

こういう不自然さが、どうもちらちらと目に付く。これが、ここ最近の特徴なのか以前からある傾向なのかは私にはわからない。

必要なのは、描きたいものを考えてからそれに合った絵の具を探すことであり、絵の具を取っ手から描きたいものについて考えることではない。もちろん、時に思考の散歩道として絵の具から描きたいものを考えてみるのはよいかもしれない。でも、人生の大部分がそれではちょっと悲しい感じがする。

セルフブランディングについて悩んでいる方は、自問してみるとよいだろう。

「何が目的か。何を実現しようとしているか。なぜそれを行うか」

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