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売文生活にあこがれて

Posted on 2010 年 9 月 18 日2017 年 5 月 5 日 by Rashita

こういう文章をどこから書き始めるべきなのか、という事については未だに自分の中では明確な指針はない。簡単に言えば「有料メルマガ」の告知であるし、もっと正確にいえば告知のその前段階、と言ったところだ。

ともかく、まあ始めるとしよう。

売文生活とは?

文章を書き、それを売った報酬で生計を立てること。「―業」

___「デジタル大辞泉」

私が「売文」という言葉を目にしたのは、日垣隆氏の本のタイトルだ。

売文生活 (ちくま新書)
売文生活 (ちくま新書) 日垣 隆

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この本は、近代日本の作家がどの程度収入を得てきたのか、どのような生活をしてきたのか、というデータを積み重ね、さらに今の日本の原稿料の事情もあけすけに公開し、その上で「ビジネスモデルとしての売文生活」について考えられている。

これは今を生きる作家ならば__超売れっ子の作家でない限りは__誰しもが考えている事だろう。物の書き手にとって「お金か自由か」というのはかなり切実な問題であろうことは、容易に推測できる。そしてそれは一歩引いてみれば、単に物の書き手だけではなく今の日本社会全体において切実な問題ではないか、という気すらしてくるのだ。

今の社会の生きづらさ

今の日本には「職業選択の自由」というものが保証されている。近代国家としてすばらしい達成だ。しかし、辺りを見回してみると「すばらしい社会」が達成できているようには見えない。

問題の一つは、「職業を選択するための手段」というものがあまりにも限られている事だろう。義務教育を終える、高校に行く、大学に行く、新卒生として就職活動をする。基本的にこれ一本だ。もちろん高校を出た後に、就職する人もいれば、どこかの時点で職人に弟子入りしたり家業を継ぐような人もいるだろう。しかし、割合で言うとそれは少ないのではないだろうか。もっとも深刻なのは、「仕事へ至る道」が実際には複数ありながらも、多くの人の脳の中ではあまり認識されていないことだと思う。

問題のもう一つは「流動性の低さ」にある。はっきり言って「新卒一括採用」というのは軽い博打である。それは雇う側も雇われる側も同様だ。

マルコム・グラッドウェルの「採用は2秒で決まる!」に”クォーターバック問題”が紹介されている。実際にその仕事をやらせてみないと力量を正確に把握することができない、という問題だ。仕事が複雑化するホワイトワーカーにおいても同様の問題が発生してもおかしくはない。

マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選3 採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか? (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選)
マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選3 採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか? (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選) マルコム・グラッドウェル 勝間 和代

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しかし、この無理を企業は押し通そうとしている。今までは「学歴」というものが一つの印籠になっていた。今でもそれを強く採用しているところはあるだろう。雇う方が新卒生を判断するすべを持っていなかったから、というのがその理由だ。

もちろん、大学生の方も自分にどのような適正があるのかを理解している人間は少ない。理解しているとしても勘違いしている場合も多いだろう。しかも、「自分の興味が持てる業界」よりも「安定な大企業」で就職先を選ぶような傾向もあるかもしれない。

かくして、「その仕事に適正のないビジネスパーソン」ができあがる、というわけだ。

流動性の低さ

その構造自体にも大きな「無駄」が潜んでいると私は思うが、それ以上に「転職の難しさ」の方がより大きな問題のように思える。

当たり前かも知れないが、今の社会で転職に有利なのは「仕事がこなせる人」である。しかし、上の場合を考えてみると「能力はあるがその仕事に適正がない人」はその会社にいる限りは「仕事がこなせない人」だ。そういう人の行き先の選択肢はかなり限られてしまう。

本来「雇用の流動性を高める」といった場合、優秀な人がより良い待遇の場所で働く事だけではなく、うまく能力が発揮できていない人がそれを発揮できる場所に移動する、という部分までを含めて語られるべきだと思うが、あまりそういった事例は耳にしない。ハローワークで列に並ぶしかない。

もともと、軽い博打のような面接を経て仕事に就き、たまたまその仕事に適正があれば社会でうまく立ち回れ、適正が無ければ苦労を強いられる。これが生きづらい社会でなくて一体なんなのだろうか、と言うことを強く感じる。

多様さを生み出す

しかしながら、その「生きづらさ」の多くは「思いこみ」かもしれない。職業として「会社員」だけが選択肢ではない。他のさまざまな仕事の形がある。ただし、問題はある。「お金か自由か」という問題だ。

自分の好きなことを仕事にしたいと考えてはみるものの、「それでは食っていけないだろう」という判断で立ち止まる。それはリスクを考える人間ならばほとんど当然のことだろう。

でも、社会は変化している。

「電子書籍の衝撃」という本の中で”まつきあゆむ”というアーティストが紹介されている。まつきあゆむさんは、ネットを最大限に活用されているシンガーソングライターだ。以下はウィキペディアより。

2009年12月1日に28曲入りのダブルアルバム「1億年レコード」発表と、まつきあゆむへの寄付金を募るシステム「M.A.F」(Matsuki Ayumu Fund)の設立を宣言した。「1億年レコード」は既存のレコード会社やこれまでの音楽流通を一切通さずにweb上のみでまつき本人が直接販売。楽曲の著作権も本人が管理している。支払い方法には銀行振込とPayPalが使用され、zipファイルには28曲分の歌詞をデザインしたファイルやアートワークが添付されている。

彼は一切合切を自分でやりながら、お金を得ている。つまり「お金も自由も」というわけだ。

これは限定された才能による特殊な事例なのか、それともこれからの日本の「職業」の一つの選択肢になっていくのか。それは今のところは分からない。しかし、仮に後者だとすれば息の詰まるような日本社会にすこしばかり風穴を開けられるのではないかと思う。

それは自らの適正に合わせた生き方であり、自由と共に責任を負う生き方でもある。

私の作る階段

以前「「階段職人」という生き方」というエントリーを書いた。私の有料メルマガもその階段作りの一環である。

この有料メルマガは自分で作る雑誌__同人誌__的なイメージを持っている。企画立案から原稿書きまで全て自分。本当は配信も自分でやりたかったのだが仕組み作りに時間がかかりそうだったのでとりあえずは「まぐまぐ」を使うことにした。締め切りはあるが、企画に制限もない。当然スポンサーも気にする必要もない。こういう自由な媒体でいろいろと書いてみたいというのが始めた動機の一つだ。

もう一つは、「お金をもらって文章を書く」というステージに立つ、ということ。すでにブログの毎日更新は私にとっての「負荷」では無くなっている。筋力トレーニングも少しずつ負荷を上げていく必要があるように、文章力トレーニングも一つ上の段階に進める必要があると感じたのだ。

最後に付け加えると、中期的な連載を重ねて行くことでもう少し土俵の大きい書籍や電子書籍への下地作りにしよう、という思いもある。実際どのようなコンテンツがあるのかについては、メルマガの告知のエントリーに譲るがまあいろいろと考えている。

どんな思惑があるにせよ、

「本を読んで、物を考えて、文章を書く」

という適正がある(あるいはそれしか適正が無い)人間が収入を得ていくための手段として有料メルマガを始めるということは間違いない。

最新情報や秘密の情報を「こっそり」伝える事の対価としてお金をもらうのではなく、私の文章を読むのが好きだったり、あるいは考え方に興味がある人が、ある種の「応援料」としてメルマガを購読してくれる、そういう「形」を私自身は想定している。

つまり、ソーシャルで繋がっている人々が少しずつ応援してくれる形、言い換えればマイクロパトロンとして存在してくれる事で「ビジネスモデルとしての売文生活」を成り立たせる事ができたらいいなと考えている。

もし、そういう事が可能ならば、これから「オトナ」になっていく人たちに、生き方として「会社員じゃなくても、起業しなくても、家業を継がなくても、なんとか生きていくことぐらいならばできるよ」と示すことができるのではないかと思う。

さいごに

私自身びっくりするぐらい「出世欲」というものがないので、企業の中で働くのは本当に向いていない。成果主義が強く打ち出されるようになった企業は、「出世 or not to be」の世界観が出来上がってしまう。権力闘争が好きで好きで仕方ない、という方ならば絶好の機会なのかもしれないが、私自身はそういうのとは距離を置きたい心情で一杯である。多分、そういう気持ちを感じている人は私と同じぐらいの年齢か、それよりも若い人にもきっといるだろうと思う。

ソーシャル・メディアが機能し始めている社会において「今までと違った生き方」が実現できる可能性は大きくなってきている。そういう世界では「お金も自由も」を成し遂げる事ができる。しかし、それは大量のお金ではないし、自由といっても好き勝手な生活を送れるわけではない。福祉厚生も無ければ、ボーナスもない。「それでもいいっすよ」と笑いながら、やりたいことにとことん執着する事ができる人だけがとれる選択肢かもしれない。

そんな選択肢でも、無いよりはマシだろう。

少なくとも、私はそう思う。会社員が多い社会では、会社員であることがあたかも当然のように語られるがそれに向かない人だってたくさんいるはずだ。しかし、あまりにそれ以外の選択肢が目に付かない。そういうのってちょっと「不健全」だなと思う。

そういう事を考えながら有料メルマガを始めることにした。「ビジネスモデルとしての売文生活」ではなく「ロールモデルとしての売文生活」。これが私の階段である。

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