前回は「綴じっぱなしノート」についてでした。今回は機能別として上げた残りの二つについて。「とりあえず綴じてるノート」と「そもそも綴じてないノート」です。
とりあえず綴じてるノート
形としては綴じているけども、ページ単位でちぎり取ることが可能なタイプのノート。あらかじめ「設計思想」としてちぎり取る事が織り込まれているものもあれば、リングタイプのノートをびりびりと破って使うというのも、一応この範疇に入ると思います。
マルマンの「ニーシネモ」を代表格として紹介しますが、それ以外にもいろいろなノートがあります。基本的に「ミシン目」が付いていればなんでもOKです。
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使い終えたものは、スキャンしてPDFなりjpgでEvernoteに入れておく、という流れが簡単に構築できます。ScanSnapのようなドキュメントスキャナとの相性が良いのも高評価です。
おそらく、現状でのデジタル+アナログという組み合わせではこのタイプのノートが一番使い勝手が良いのではないかと思います。
「そもそも綴じていない」タイプのノートもスキャンには便利ですが、運用上多少問題があります。比較すると「とりあえず綴じてる」タイプのノートの特徴は、
- 持ち運びやすい(ちらばらない)
- 記入にクリップボードなどは必要としない
- 保留がきく
という点があると思います。最初の二つに関しては説明は不要でしょう。三つ目の「保留」ですが、カードや紙辺を持ち運んでいると、「書き始めたけれども、書き切れていない」というカードの処理に困ることになります。カバーやバインダーを持ち運べばその時点で「そもそも綴じていない」タイプの魅力を失うことに繋がりかねません。
その点、「とりあえず綴じている」タイプのノートは途中の物はちぎらなければ良いだけです。特に追加する要素は必要ありません。システムとして非常にまとまっています。
そもそも綴じてないノート
言葉的な意味合いでノートと呼ぶのは難しいですがA4のコピー用紙を折りたたんで持ち歩いたり、情報カードをノートが代わりに使う方法です。
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基本的に持ち運ぶために何かしらのアイテムを必要とします。メリットはいろいろ合って、「身軽なこと」「カスタマイズが自由自在」などが考えられます。情報カードを使えば、スキャンした上でカードそのものも手元に置いて保管することができます。
逆にデメリットは先ほど述べた「とりあえず綴じてあるノート」のメリットの反対になります。
個人的にこのノートスタイルは
- 補助的に使う
- 紙の方も残しておきたい
の二つの使い方に適していると思います。
補助的に使う
何から何までデジタルで行く、書き物も考え事も全てデジタルでやる。こういうスタイルにおいても紙しかない、紙の方が速い、というシチュエーションはあるでしょう。一日あたりの情報に締めるアナログの量が少ない場合は、A4用紙を折りたたんで持ち歩き、一日ごとにスキャンというやり方がよいかもしれません。すくなくとも手間は最小で済みます。
私の場合は、未だにアナログツールにいろいろ&大量に書き込むのでこのスタイルだとスペース不足です。
紙の方も残しておきたい
これはデジタルをバックアップ的に考える方法です。基本的に「とりあえず綴じてあるノート」はスキャンが前提です。ちぎり取り、スキャンを終えた紙はゴミ箱行きになります(行きますよね?)。バインダーを使って保存することもできますが、あまり意味はありません。
そういう使い方ではなくて、例えば情報カードを使ってKJ法を行う場合などは、メインが紙です。デジタルデータで出来なくもないですが、作業全体の効率はアナログでやった方が今のところははやいでしょう。
それを踏まえて、発想のツールとして情報カードに書き出し、バックアップ(データベース化)としてそれをスキャンしておく、というやり方を行うわけです。こうしておくと、カードを使った情報操作と、デジタルベースでの検索の両方が実現できます。
しかし、普通のビジネスパーソンがここまで細かく情報を扱う事はあまりないでしょう。研究者というかややマニアックな情報整理向けのやり方だと思います。
さいごに
ノートを機能別に分類していろいろ考えてみました。デジタルとアナログの融合という点で見れば、「とりあえず綴じてるノート」がバランス面でベストです。
自分自身の足跡を残す、あるいは作品作りとしての綴じノート。あるいは単なる補助のA4用紙や、情報操作に特化した情報カード。これらはやや極端な使い方と言えるかも知れません。
こういうややこしいことを考えなくてもノートは普通に使えます。それがノートの良いところでもあります。ただ、iPadなどのデジタルガジェットが普及していけば、自ずと「なぜアナログノートを使うのか」「使う意味はあるのか」という問題に直面せざる得ません。
単に情報を残しておくという機能だけみれば、アナログノートはデジタルノートに勝つことはできません。しかし、最先端のガジェットを使いこなしている人でもアナログノートを好んで使っている方はたくさんおられます。
そこには、アナログノートならではの「何か」があるからでしょう。
電子書籍がバブルになってしまうのを危惧するように、時代がアナログノートに価値を見いださなくなるのは、私にとっては残念な事です。
環境がデジタル化していけばいくほど、私たちの「アナログ感」を受け止めてくれるツールが必要になってくると思います。そこを上手く使い分けることが「クラウド時代のアナログ力」です。
皆さんは日常的に、どんなノートを、どんな目的で、どんな思いを持って、使っておられるでしょうか。
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突然すいません。通りすがりのものです。
頭の中のもやもやがすーっと解けたような気がしたのでコメントさせていただきます。
私もlife huck系のことが結構好きで研究しつつ実践しています。
最近のモレスキン流行を横目で見つつ、どうしても一番しっくり来るのがRHODIAのA5リングノート(ミシン目入り・マス目仕様)なのです。
なぜこのノートに惹かれているのかがこの記事を拝読して氷解しました。そういうことだったんですね!
ありがとうございます。
>bunbunさん
コメントありがとうございます。何かのお役に立てていれば幸いです。RHODIAのA5リングノートはいいですね、私も結構好きです。