一応まとめ的なエントリーを。これまでの流れは以下の通り。
- ノート企画2nd:第一回:機能別アナログノート(上)
- ノート企画2nd:第二回:機能別アナログノート(中)
- ノート企画2nd:コラム:DIME2010年10月号「今あえて、紙の手帳を使う理由」
- ノート企画2nd:第三回:機能別アナログノート(下)
- ノート企画2nd:第四回:アナログツールのメリットあるいは魅力
企画の意図
今回は「アナログ」という事に着目してノートについて考えてみました。
私自身はまだ導入していませんが、iPadの存在はアナログノートに大きな影響を与えると考えています。iPad+Evernoteの組み合わせは、従来の「ノート的なもの」の大部分をまかなってくれるような気がします。
それはiPhoneが手帳機能を代用していったような感覚です。
しかし、iPhoneを使っていても、アナログ手帳を使う人はいますし、電子書籍が登場してもアナログの本が良いという人もいます。
おなじように、高機能なノートして使えるiPadが合あったとしてもアナログノートの存在余地はあるのだと思います。むしろ積極的にアナログの良さを意識して使うことができる分、相互の補完的な関係が生まれてくるかも知れません。
いつごろ導入するかはまだ未定ですが、iPadを導入する前に徹底的にアナログノートについて考えておきたい、というのが今回の企画の意図です。
ツールについての考察からうまれたもの
考えていくうちに見えてきた事がいくつかあります。
それは、
- 「アナログ」が得意な事、「デジタル」が得意な事は違う
- 「情報的」に同じように見えても実は違う事がある
- 好き嫌いの感覚は重要
こういった事です。
二つの得意分野
デジタルの技術的な向上で今までアナログでないと・・・と言われてきたことが問題でなくなりつつあります。例えば起動時間の向上などがそれにあたるでしょう。
つまり、この境界線ははっきりしたものではなくてグランデーションと言えます。現在の技術、自分の置かれている環境や使えるツールによってそれぞれが「得意なこと」のバランスは変わってきます。
異質な情報
一枚の紙に書いてあることと、プレーンテキストに書いてあること。情報という点では同質でも私たちが受ける感覚は異なっています。
字の大きさや色、余白や紙のサイズ、紙質やその質感、手に取れる場所にある、よく目に付くある場所にある、・・・そういったもろもろの要素が私たちの感覚に与える影響はゼロではありません。
例えば、A4サイズの紙に赤ペンでデカデカと「禁煙」と書かれた紙を机の前に貼っておくのと、プレーンテキストに「禁煙する」と書いてデスクトップに保存してあるものを比べてみれば一目瞭然でしょう。これはかなり極端な例ですが、情報に付随する要素もまた一種の情報として私たちの脳は処理します。
感情を利用する
私たちは「感情」を持つ動物です。まあ他の動物も持っているでしょうが、理性で行動しているように見えて、その裏側に感情の影響が色濃く出てしまうというのが「人間らしさ」というものです。
その部分を無視するのは、円形の方にそれよりも大きい四角を埋め込むようなものです。
例えば、人気のツールが合ったとしても「なんとなく使いたくない」「使いにくい」と感じていれば、そのツールが使えるようになる可能性は低いと思います。逆に「使いやすい」とか「おもしろい」とか「楽しい」と感じられるならば、使いこなせる確率は高まります。
結局の所「使い続けてナンボ」なのがツールというものです。
私が毎年ほぼ日手帳を選択している理由の一つは、「書き心地の良さ」であることは間違いありません。
※それ以外にも理由はありますが、機能よりは感覚的なものの方が多いです。
使いにくい、使い心地が悪いツールは「使えるようにならない」と言うわけではありません。ただ、「使いやすい」と感じるツールに比べてハードルが高いだけです。その点を踏まえたとしてもやはり、「自分が好感触」を持てるツールを使うというのはツールを使う上で重要な選択だと思います。
さいごに
もともと「紙」のツールが好きです。学生生活で使ったノートは一冊もありませんが、それ以降に書いたノートが数十冊あります。ちなみに仕事用のノートは換算されていません。原稿用紙もいっぱいありますし、メモ帳もやまほど使ってきました。
パソコンの導入でノートの使用頻度は減り、iPhoneの導入でメモ帳の必要性は低くなりました。それでも、文具店に行けばノートを漁りますし、日常的にメモ帳(手帳)も持ち歩いています。
それはなぜか?
いくつかの「機能めいた」説明をすることはできます。でも、基本的にそれは「後付け」の理論です。最大の理由は、やはり「好き」だからでしょう。例えばとても個人的ですが、私は紙のメモ帳(手帳)を持っていると安心します。
去年にiPhoneを導入して、一週間ほどいっさい紙の手帳やメモ帳を持ち歩かないという実験をしたことがあります。メモは過不足無くとれるし、荷物は減る。問題はまったく無かったのですが、どこかしら「不安」な感じが抜けませんでした。
その不安をたとえるならば、脇差し一つ持たないでサムライが外出するような感覚といえるかもしれません。
考えてみれば、18歳ぐらいの時からいつも紙のメモ帳を持ち歩いています。今30歳として12年間その習慣が続いてきたわけです。すると私の脳には「それを持っていること=日常」という刷り込みが生まれていてもおかしくありません。おそらく、その不安感にあらがいながらiPhoneだけの生活をしていれば、いずれそちらが日常に変化していくのだと思います。
しかし、「紙の手帳」の方が良い点もあるし、Evernoteを使えばデジタルとアナログの橋渡しができるし、ということで今でもリコレクションのポケットサイズを持ち歩いています。これがモレスキンに変わる日がくるのかどうかはわかりませんが、この習慣そのものはしばらく続いていくでしょう。したがって、このBlogでもアナログとデジタルの両方の話題が出続けると思います。
▼こんな一冊も:
ほぼ日手帳 公式ガイドブック 2011 いっしょにいて、たのしい手帳と。 |
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モレスキン 「伝説のノート」活用術~記録・発想・個性を刺激する75の使い方 |
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