最近いろいろドラッカー周りの本を読み返しています。何度読んでも学ぶことが見つかるのがドラッカー本なので、周りの人にも勧めたいなという気持ちが少しだけあります。そういう時に役立つのが「入門本」ですね。
さて、「ドラッカー入門」というタイトルが付いた本が2冊あります。今回はこの二冊の簡単なレビューをしてみたいと思います。何がどう違うのでしょうか。
図解で学ぶドラッカー入門
図解で学ぶ ドラッカー入門 |
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藤屋 伸二
日本能率協会マネジメントセンター 2009-05-30 おすすめ平均 |
著者は藤屋伸二さん。図解でわかると書いてある通り、それぞれのトピックスごとに図解が入っています。1テーマが見開きでまとまっており、しかもそのうち1ページが図解に当てられているので、非常に読み進めやすい構成になっています。
主な章立ては次のような感じ。
ドラッカーの基礎知識
- 環境
- 戦略Ⅰ
- 戦略Ⅱ
- 組織
- 目標管理
- 狭義のマネジメント
- イノベーション
- 自己実現
ざっとこの本を読めば、誰かにドラッカーの話題を振られてもうまく対応することができると思います。言い換えれば手早く「ドラッカー」の知識を手に入れることができる一冊になっていると思います。
ドラッカー入門 万人のための帝王学を求めて
ドラッカー入門―万人のための帝王学を求めて |
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上田 惇生
ダイヤモンド社 2006-09-23 おすすめ平均 |
著者は上田惇生さん。ドラッカーの翻訳といえばこの人ですね。というか、日本のドラッカーと呼んでも差し支えないような気すらします。
その上田さんがドラッカーについての総ざらいをしているのがこの本。最初に上げた本が「ドラッカー学」の本であるとするならば、この本はまさに「ドラッカー」についての本といえます。
彼の歴史の流れ。そしての中で視点はどこにあったのか。彼の興味の中心はなんだったのか。彼は何を考えていたのか。そういった事を上田視点で解説していくというのがこの本です。
正直なところ、私たちが身につけるべきはドラッカーが考え出した理論とその現実的適用事例ではないと思います。確かにそれは有用です。即効性があるかもしれません。
しかし、本当に必要なのはその理論を導き出した「基本と原則」です。もっと言えば、「基本を原則」を追い求めるその姿勢です。そういう姿勢を身につけるには、こちらの「ドラッカー入門」のほうが適しているでしょう。
さいごに
「図解で学ぶドラッカー入門」は要所を抑えつつ、それを分かりやすく解説している本で、知識を得るためには最適な一冊でしょう。
「ドラッカー入門 万人のための帝王学を求めて」はドラッカーという人間を知るために最適の一冊です。ひとりの人間の歴史を追いかけるわけですから、読み込むのにも時間がかかります。ただし、そこで何か得られるものがあるとすれば、長期的なスパンで役立つものになるはずです。知識ではなく考え方・物事に対する姿勢、そういったものが手に入ると思います。
どちらの本にせよ、「人は教えるときに、もっとも学ぶ」の理屈を使えば、読んだあとに誰かに教えたり、読書勉強会を開いてみるのがよいかなと思います。あるいは自分であとで読み返すためのまとめノートを作ってみるのもよいかもしれません。
▼こんな一冊も:
プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編)) |
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P・F. ドラッカー Peter F. Drucker 上田 惇生
ダイヤモンド社 2000-07 おすすめ平均 |
マネジメント – 基本と原則 [エッセンシャル版] |
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P・F. ドラッカー 上田 惇生
ダイヤモンド社 2001-12-14 おすすめ平均 |