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「働きやすさ」をどのように求めるか

ブログ「Find the meaning of my life.」さんのうつ病患者が考える「うつ病の人との接し方」というエントリーが非常に印象的でした。

一体うつ病患者本人はどう感じているのか、どうして接してもらいたいものなのかをつらつら書き綴ってみようと思います。

確かにこういった視点で語られている書き物というのは本当に少ないと思います。全く無いわけではないでしょうが、日常的に私たちの目に触れるものの数は極端に限られていると思います。

それほどまでに私たちの社会は「ごく普通に生活している人々」の視点からの情報で構成されているということです。

では、「ごく普通に生活している人々」にとってこの「うつ病患者」の意見や視点はまったく必要ないでしょうか。家族や職場にうつ病の人がいなければ、一生縁のない情報でしょうか。おそらくそうではないでしょう。少なくとも私は「コミュニケーション」について考える上で必要な情報だと考えています。

機能不全としてのうつ

何を持って「うつ病」とするか、については学会の偉い先生に任せておきます。「心の風邪」という例えもありますが、それが正しいのかどうかは私に判断することはできません。
しかしながら、ある程度は的を射ているような気がします。個人的な意見を述べれば、「体の病気」と「心の病気」という分け方には治療上の役割分担以上の意味はないと思います。

「体の病気」とは多くの場合、「体の機能不全」を指します。免疫系がうまく働かなかったり、循環機能が低下していたり、といったことです。そして「心」というのも脳の「機能」です。

以下は養老孟司氏の「唯脳論」よりの引用。

脳はたしかに「物質的存在」である。それは「物」として取り出すことができ、したがって、その重量を測ることができる。ところが、心はじつは脳の作用であり、つまり脳の機能を指している。

こう考えてみると「心の病気」などと大げさに分類する必要もないという考えがでてきます。私たちが日常的に「体の機能不全」を起こす確率があるように、「心の機能不全」に遭遇する確率もあります。

おそらく「うつ病」の方というのは、落ち込んだり、悩みを抱えたり、心配したりといった心の機能の振れ幅が他の人よりも大きいのかもしれません。あるいはそういったことが継続的に起きやすいのかもしれません。

結局のところ何が言いたいかというと、例え「うつ病」の人が身の回りにいなくても「うつ病」患者に対する接し方を知っておくのは悪いことではない、ということです。それは風邪を引かないためにうがいや手洗いを積極的に行うのと同じような意味があると私は思います。

コミュニケーション

先程紹介したエントリーの中では、家族での接し方、会社での接し方の二つの枠組みで「うつ病患者」本人がどのように接して欲しいか、ということが語られています。

今回は「会社編」からいくつか抜粋してみます。

本人にはキツイ話しでしょうが、これは上の人から伝達してもらう事項ではなくて、自分から全員に丁寧に説明して了承してもらう事項です。「お願いします。どうか力を貸して下さい。もう暫く支えて下さい」この一言を本人が言わなかったら、周囲の同僚に伝わることはありえません。

電話を一番に取ったり、価格競争の最前線に配置するのには、無理がありますが、誰もが感謝する後方支援作業にまずは取り組んでもらうというのは、一番無難で効果的な復帰策ではないかと私は思います。

一日中会社にいると、普通の人には何でもないことを、うつアンテナでキャッチして、ヘトヘトになっていることがあるのです。ですから、ふらっと散歩に行って、気分転換するというのを認めてあげてほしいと思います。

本人的には十分苦しんで、十分悩み抜いて、もうこれ以上努力できないところまで来ている気分になっています。現状維持が精一杯。崖っぷちで踏ん張っている感じなのです。

励ますのではなくて、「褒める」方に重点を置いてあげて欲しいと思います。

普通のコミュニケーションにも十分通用する考え方がこの中からはいくつも見つかると思います。もっといえば、「組織のあり方」についてまで考える材料があると思います。

そのあたりについては今回は割愛します。できれば実際にエントリーを一読されてみて自分なりに何かしら考えてもらえたらなと思います。

さいごに

「うつ病患者」も私たちと同じように扱う、という意見(があるのかどうかは知りませんが)を私は疑問半分ぐらいの気持ちで眺めています。

「うつ病患者」の方を普通の人のように扱うには無理があるでしょう。むしろその「普通の人」というのが実際「うつ病患者」に近いものとして考えたほうが良いのでは、という気すらします。

「うつ病患者」の方がプレッシャーを受けるようなことは、普通に生活している人でもプレッシャーを受けているはずです。しかし、それを心の機能でうまく処理できているだけにすぎません。それは体内に入ったウィルスをたいていは免疫機能が問題なく処理しているのと同じことです。だからといってどんなウィルスでも対応できるわけではありません。免疫機能が低下しているときならば、日常的に問題ないウィルスでも大きな症状をもたらすこともありえます。

もし今日本の職場で「うつ病」というものが増えてきてるとするならば、それは職場の環境がそういったプレッシャーを日常的に与え続ける環境になっているという事なのでしょう。それは上司と部下の対人関係であったり、労務管理だったり、仕事の割り当てだったり、責任と権限のバランスであったり、といろいろな可能性が考えられます。

「うつ病患者」の方が感じておられるプレッシャーというのを極力少なくした職場というものができたとしたら、それは普通の人が「働きやすい職場」になるのではないかと思います。

▼こんな一冊も:
今回紹介させてもらった「Find the meaning of my life.」さんが引用されているのが以下の一冊。

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3 thoughts on “「働きやすさ」をどのように求めるか

  1. 初めまして。
    時々拝見させていただいております、朱雀と申します。
    私は何年も精神的病に苦しみ、今年1月に
    休職していた会社から、事実上の解雇となりました。
    明らかに排除・・・でした。
    ただ、もう「仕方ない。多少なり退職金はいただけたし、
    丸1年休職させてくれたんだから、良い会社だったんだ。
    会社も利益を追求しないといけないんだから」と、
    ようやく思えるようになりました。
    精神的な病にかかるなど、「本人のもともとの気質」
    「本人の弱さ」など、担当総務部長や係りの方にも
    言われていたので、復帰できても再発したかも
    しれませんし・・・。
    私は実父からも「キチガイ」といわれたくらいですから、
    他の“普通”の方々が関わりたくないと考えるのも
    仕方ないんだろうな、と考えています。
    自分のペースで物事が進められないだけでツライなんて、
    社会的にキビシイでしょう?
    今は通院もせず、服薬もせず、別の会社でのんびり
    働いています。ありがたいことに正社員です。
    人生のペースを考え直すきっかけだったのかもしれません。
    “普通”と言う名の方々の中にも、精神的な病では?と
    感じる方もたくさんいらっしゃいますが、
    一度病名が付いてしまったら、もう駄目な世の中ですから、
    生きづらいのはみんな同じかもしれないですね。

    長文で失礼しました。

  2. >通りすがりの朱雀さん
    コメントありがとうございます。本来は「自分のペース」で仕事を進められて当然という環境ができれば一番よいのでしょうが、
    今の日本企業にそれを望むのは難しいのかもしれません。
    正直なところ「普通な人」というのは、ただそのときに「健康な人」なだけだと個人的には考えています。
    誰しもが生きづらさ抱えているにもかかわらず、「普通でなければ」と強い人間のフリをしなければならない今の社会は
    けっこうきついと思います。

  3. こんばんは。
    お返事、ありがとうございました。
    甘えてる・・・とお叱りを受けてるかもしれないな、と
    見に来るのが正直こわかったです。
    だったらコメントしなければいいわけですが・・・。
    鬱と言う人が増えた、詐病、思い込み・・・、
    自分自身でも未だに
    「大丈夫大丈夫、私はもう治った、普通に働けてる、
    障害者でも弱者でもない、病気じゃない・・・」
    と、鬱病などの精神病について語られるとき、
    言い聞かせていることに気付きます。
    役に立てているのか、自問自答したりもします。
    みんなが安心して働ける、生きられる世の中であって
    ほしいですよね。
    久しぶりに泣けてきました。情けないですね。

    ありがとうございましたm(__ )m

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