ビジネスパーソンにおなじみの「日経ビジネスアソシエ」。最新号を購入したのでちょっと紹介。
新・整理術 日経ビジネス Associe (アソシエ) 2010年 12/7号 |
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日経ビジネスアソシエ
日経BP社 2010-11-16 |
今回の企画は「新整理術」。
「”断捨離”&シンプル収納でスッキリ!」がサブタイトル。整理術と聞けば一応チェックしたくなる程度の好奇心は持ち合わせている。
が、個人的に読みたかったのは「桜井章一 インタビュー」である。
Twitterのタイムラインで雑誌の発売を知り、そのままウェブページをチェックしたら、桜井章一さんのインタビューを発見、勢い込んで購入という流れだ。インタビューで語られている事はそれほど目新しい事はない。なんたってほとんどの著作に目を通しているのが私である。
とりあえず、今回はメインの企画「新整理術」についての感想をざっくりと書いておくことにする。
※桜井氏のインタビューについてはまた別エントリーにて。
飯田式整理術
このセクションで注目したいのが収納カウンセラーの飯田久恵さんの『「捨てる整理」の極意』である。
まず飯田式の「モノが片付く5ステップ」を紹介しておく。
- STEP1 モノを持つ基準を作る
- STEP2 不要品を取り除く
- STEP3 置く位置を決める
- STPE4 置き方、入れ方を決める
- STEP5 快適収納の維持管理
この五段階。詳細は直接本書を当たっていただくとして、この一連の流れを見て感じたことがある。それは「これってGTDのワークフローに近いよね」という事。
1〜2は収集と処理だし、「置く位置」というのはまさに「リスト」を作るのと同じ事。維持管理はレビューだし。
収納の目的を
「使いたいモノが使いたい時にすぐに取り出せる」
という部分からも、なにかしら近いものは見て取ることができる。
あと、面白かったのは「収納指数」という考え方。これは、
収納指数 = 歩数 + アクション数 +α(そのほかのストレス要因)
という式で表される。
よく使うモノであればあるほど、この収納指数を小さくしていくことが望ましいわけだ。まあ目から鱗というほどではないが、定量的な指数があれば比較することが可能になる。問題はそのほかのストレス要因が簡単には数量化できないことだろうか。
文具王の整理術
あと、文具好きの方ならば誰でも知っているといっても過言ではない文具王こと高畑正幸氏もデスクまわりの整理術を紹介しておられた。
毎回思うのだが、文具王はとても「合理的」な発想をお持ちだ。時に奇抜に見える発想も、奇をてらったものではなく、あくまで「合理的」な結果を求める故に必然的に導かれているものである。
たとえば、氏の掲げるデジタル整理の三箇条は次のようなものだ。
- 終わった仕事の書類はスキャンして捨てる
- スキャンデータの管理に手間をかけない
- 保存はビューワーの表示が速いJPEGで
どうだろうか。いかにも合理的ではないだろうか。
文具王の最後の言葉が、おそらく整理術のもっとも重要なポイントではないかと個人的には思う。
無理のない方法を考えて気負わず続けていけば、『気がついたら片づいていた』という状態に持っていけます
おそらく最高の整理というのはこういうスタイルだろう。しかしまあ、それが簡単にできる人とそうでない人がいることは確かだ。たぶん、それはちょっとしたきっかけとか考え方の差なんだろうけども。
そういう意味では次に紹介する企画が参考になるかもしれない。
整理本マトリックス
この手の企画には必ずといっていいほどあるビジネス本マトリックス。
「並べる・捨てる」の軸と「理論・実践」の軸で整理本を分類してある。
※プラスアルファでそうじゾーンというのもあった(2冊)
ちなみに私が読んだことがある本は16冊中7冊。まあまあと言ったところ。
記事末に読んだ本はまとめておくが、個人的に整理初心者は
必要なものがスグに!とり出せる整理術! |
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池田 暁子
メディアファクトリー 2008-06-18 |
片づけられない女のためのこんどこそ!片づける技術 |
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池田 暁子
文藝春秋 2007-04 |
この二冊から攻めてみるのがよいと思う。一言でいうと「実践的解説書」という感じ。漫画形式で読みやすいが、かといって内容が薄いわけではない。むしろ必要な要素はしっかりと押さえてある。読みやすい点はそれがストーリーの形(フロー)になっているからだろう。私自身「どこから読んでも使えます」的な本よりも、全体が一つの流れを作っている本の方が読みやすい(理解しやすい)と感じる。まあ、このあたりは好みの問題である。
野口悠紀雄インタビュー
整理といえば「超」整理法、とまでは言えないだろうが「押し出しファイリング」は整理界隈では有名であろう。
情報整理は「重要ではない」。整理などという面倒なことに時間も労力もかけるべきではない。
とても力強い言葉だ。しかしまったく何一つ整理をしないというのでは作業効率が落ちるから、必要最低限の整理だけをする、というのが基本的な方針となるわけだ。
あと、
ためらいなく情報を捨てられる人とは、ある意味、”野蛮”だと思います。人間は、どんなにつまらない情報もため込んだからこそ進歩した。知の蓄積に対する畏敬を忘れてはいけません。
こういうセリフ。さすがに私はここまで”大上段”な発言はできないが、それでも本をポイポイ捨てることには、心の底の部分から抵抗感の声を感じてしまう。それは単なるモノに対するこだわりなのか、それとも「本」という文化に対する畏敬の念なのかはわからないが、実質的必要に迫られるまでは本を処分するという事はないだろうと思う。
▼こんな一冊も:
思考の整理学 (ちくま文庫) |
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外山 滋比古
筑摩書房 1986-04-24 |
なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣 (PHP文庫) |
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ケリー・グリーソン 楡井 浩一
PHP研究所 2003-04-02 |
整理HACKS!―1分でスッキリする整理のコツと習慣 |
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小山 龍介
東洋経済新報社 2009-06 |
脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める (生活人新書) |
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築山 節
日本放送出版協会 2006-11 |
「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書) |
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野口 悠紀雄
中央公論社 1993-11 |