最近、日々のタスクの進め方を1からチェックしなおしている。
以前仕事を変えたときは、根本的なワークフローの改変を迫られた。ある程度の枠組みの中でタスクを処理するのと、自分の裁量だけで仕事を進められる(進めなければいけない)のとでは、進め方のアプローチはまったく変わってしまう。少なくとも、変わらざるえない。
一冊目の本を書いている時は、コミットメントを限りなく削減していたので、手探りのタスク管理でもなんとか回っていた。ドラッカーの指示通り作業ログも2週間程度残していたので、作業あたりの見積もり時間もある程度は把握できるようになっている。
これでボツボツ行けるかなと考えていたのだが、最近徐々にコミットメント量が増えてきている。ある程度は自覚的なもので、残りは「成り行き」だ。
やるべきタスクが少ない状況と多い状況ではタスクに対するアプローチもやはり変化する。たとえば100曲ぐらいしか入っていないiPodと、1万761曲入っているiPodでは同じプレイリスト管理を使うことはできないだろう。
前者であれば「適当に見繕う」事ができるが、後者はスマートプレイリストを使わないといささか厳しいものがある。当然、「検索」が出来ることも重要だ。そんな感じでボリュームによってアプローチというのは変化せざる得ない。
まずは簡単に、自分のタスクリストの経緯を振り返ってみる。
タスクリストの変移
一番最初にタスクリスト的なものを使い始めたのは18才ぐらいだっただろうか。その時は「物覚え」のためのリストだった。作業中に別のやるべき事を思いついたら、とりあえず紙に書き出しておく。作業終了後に書き出したリストから次のタスクを選択。
要するに「Doingリスト」というわけだ。そして、限りなくオープンなリストであった。アルバイトの仕事ぐらいでは、このぐらいの管理で何一つ問題なく回っていた。特にプロジェクトと呼べるものは抱えておらず、降りかかってくるタスクをいかに捌くか、というのがこのころの目的だった。
しかし、さすがに一店舗を管理する立場になると、このやり方ではうまくいかない。一ヶ月ベースの計画、一週間ベースの計画というプラニングがあって、それぞれの日ごとのタスクリストが必要になってくる。
最初はまるっきり紙ベースで管理していた。A4の紙に月単位と週単位で仕事を書き出し、それを日ごとに割り振るというやり方。そこから徐々に月単位と週単位はデジタルベース、日ごとのタスクは紙(ノート)に書き出して処理するというやり方が定着してきた。
一日をノート1ページに割り当てるタスクリストの効用は、それが自然に「クローズド」になるからだ。書ける文章が限られているというのは、時としてメリットにもなる。
今でも、トータルはデジタル、デイリーはアナログというやり方を通している。しかしながら、それも一度考え直してみようかな、というのが今進行している「タスク管理を改める!」計画だ。
その計画に本格的に着手する前に、一度考えてみたい事がある。
それは、なぜ「タスクリスト」を作るのか、だ。あるいはなぜ一ヶ月、一週間ベースのプランニングを行う必要があるのか、だ。
デイリータスクリストを作る目的
一日分のタスクリスト(デイリータスクリスト)を作る目的は次の3つが考えられる。
- その日のタスクの全体像を捕まえる
- 途中で道を見失わないようにする
- 臨時事態でのバランスを取る
この3つ。
プランニング
基本的にデイリータスクリストはその日の朝、あるいは前日の夜に作るパターンが多い。一日の中頃とか終わり頃に作るモノではない。ということは、これは一日のプランニングとして捉えても差し支えないだろう。そしてプランである以上、実行可能性を含んでいなければいけない。「こうなればよいだろうな」という願いではなくて、「実際にできる」リストでなければいけない。
だからその日の行動を始める前にデイリータスクリストを作るというのは、実際に自分が持っている作業時間内に作業を当てはめられるかどうか確認する「作業」と言える。「これだけやれば終わり」、という道筋を立てる、というのがその目的の一つである。
チェックリスト
計画を立てて道筋を明らかにしたらそれで終わり、というわけではない。一日の進行の中で作業を「理想的」に進めていける日などまれだろう。何かやっている内にやるべき事を見失う事はよくある。
そういう時に「リスト」があれば、脱線からの復旧が可能だ。もし頭の中だけでリストを描いていれば、そんなものは3時間もすればすぐに消失してしまうだろう。つまり、こういう事だ。地図を開いて出発地点と目標地点を確認する。そして「経路」も確認する。その時に、たどるべき道を赤のラインで引いておく。重要なチェックポイントには丸をして、曲がる方向を間違えてはいけない交差点名を記入しておく(もちろん、どちらに曲がるかもセットで)。これがタスクリストだ。
エマージェンシーレスポンス
また、予定外の仕事が割り込んでくる事もある。そういうときに、その日に突っ込めるスペース(時間的余裕)があるのかないのか。突っ込めないとしたら、次の日にその仕事を回すのか、それとも「今日の作業」を次の日に回すのか決めなければならない。
そういう時にタスクリスト(その日のタスクの全体像)が無ければ、頭の中だけで判断をしがちだ。優先順位や締め切りなどはまったく無視して、「気になる事」から手をつけてしまう事になる。これではバランスはとれない。
地図の例でいえば、出発地点、到着地点、途中のチェックポイントなどが明らかになっていれば、寄り道することができるのかどうかを判断することができる。もしそういう地図が無ければ、行きたくなったところに次々に向かって言ってしまう。それがどれだけ遠回りになるとしても。
そういうのは、避けたいよね、というのもタスクリストの目的である。
最後に
今のところ、一週間ごとの週次レビューでウィークリーのプランニングを行い、その日の朝に一日のタスクリストを作る、という流れは基本になっている。ウィークリーのプランニングスタイルや、デイリーのタスクリストの実装のやり方はいろいろ試して変えているが、今のところこの「基本の流れ」は変える予定はない。
逆に考えれば、なぜウィークリーのプランニングを行うかといえば、バランスのとれたデイリータスクリストを作るため、という事になる。これは上にさかのぼっても同じ事で、一ヶ月のプランニングはウィークリープランのためとも言える。結局の所、下位のために上位が存在している。そして言うまでもないが、全てのプランニングは実行するために存在している。
ほぼ日のコンテンツで「適切な大きさの問題さえ生まれれば。」というとても面白いコンテンツがあるが、まさにデイリータスクリストは「適切な大きさの問題」を生むのが目的である。結局の所、タスクリストの目的はここに還元できるような気がする。
▼こんな一冊も:
だから、「仕事がうまくいく人」の習慣―その差は、整理力・デジタル力だったのか篇 (PHP文庫) |
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ケリー グリーソン Kerry Gleeson
PHP研究所 2003-06 |
成果を5倍にする ライブハックス! (ゴマ文庫) |
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大橋悦夫
ゴマブックス 2009-03-02 |
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