7-本の紹介

書評 「仕事に幸せを感じる働き方」(横山信治)

私が日曜日の連載を書かせていただいている、「シゴタノ!」というウェブサイトには

「仕事を楽しくする研究日誌」

というサブタイトルがついている。「仕事を楽しくする」を略して「シゴタノ」というわけだ。もしかしたら、この「仕事」と「楽しく」という二つの言葉をつなげることに違和感を感じられる人もいるかもしれない。「仕事ってのは楽しむもんじゃない」という感じで。

おそらくその人は、本書の「仕事に幸せを感じる働き方」というタイトルにも同じような違和感を感じることだろう。たぶんその人の中には「仕事=嫌なこと」というイメージが固まっているに違いない。

で、そういう人にぜひ読んでいただきたい一冊だ。

仕事に幸せを感じる働き方
仕事に幸せを感じる働き方 横山 信治

あさ出版 2010-12-10
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永遠のようなループ

本書を読んで受ける印象は「仕事は楽しいかね?」やその続編「仕事は楽しいかね?2」あるいは「あなたが与える」に近い。これらの本は物語仕立てになっているが、本書は著者が読者にメッセージを送っている形になっている。マンツーマンのレクレチャーを受けている印象だ。

「仕事は楽しいかね?」ではマックス氏は次のように語っている。

人生とは、くだらないことが一つ
また一つと続いていくのではない。
一つのくだらないことが<何度も>繰り返されていくのだよ。

つらいことや面白くないことを発見する人は、別の場所に移動してもつらいことや面白くないことを発見する。それは同じものが姿を変えて現れているだけ。「つまらない」人生のメビウスの環から抜け出ない限りは、どこまでいってもその「つまらなさ」はあなたの影のように永遠とつきまとってきてしまう。

著者の横山氏は次のようなアドバイスをしている。

あなたにしてほしいのは「会社を変えずに考え方を変え、不満と前向きにつき合う」ことです。

不満の原因は、本当に会社にあるのだろうか。あるいは会社の実体にあるのだろうか。本当は会社の姿を映す自分の心の中にあるのではないか。まずその事をきちんと見極めた上で転職を考えた方がよい、ということだ。

「逃げ」の転職というものは、単に年収が下がるだけといったリスクが大きいとも指摘されている。

どちらにせよ、自分の不満と前向きにつきあおうとしないかぎりは、仕事や職場を変えても同じような事が<何度も>繰り返されてしまう事は間違いないだろう。

エネルギーの活用

本書の中で私が一番共感できたのは、以下の部分だ。

人を嫌いになっても、何のメリットもないということです。

これはまさしくその通りだと思う。私なんかはエネルギーの無駄遣いとすら考えている。

たいてい、自分が誰かを嫌いになれば、その誰かも自分の事を嫌いになる。嫌悪の連鎖である。もちろん自分が誰かを好きになれば、その誰かが自分を好きになってくれるとは限らない。しかし、嫌い・嫌い同士の関係よりははるかに状況は好転するだろう。

例えば、過去のエントリーで「人生をうまく生きる10のコツ」というのを書いた。これは私自身が意識していることでもある。

  1. 笑顔は人間が無料で使えるもっとも強力な武器であることを知ろう。
  2. 敵を探すより、まず味方を増やすことを考えよう。
  3. 怒りを感じたときは、なるべく口数を減らして深呼吸しよう。
  4. 他人のアドバイスはそのまま鵜呑みにしないこと。必ず自分でそしゃくする。
  5. 自分が感じた気持ちはねじ曲げたりせず、そのまま受け取ろう。
  6. 物事の価値を天秤ではかるとき、「お金」以外の物ものせてみること。
  7. ハンコを押す事は全面承認すること。十分よく考えてから。
  8. 占いは良い運勢のときだけ信じよう。
  9. 会話は反論ではなく、同意から始めること。
  10. 人生の一日、一日をあたりまえと思わないようにしよう。

この中の一つ目、二つ目あたりの「コツ」は本書にも通じるところがあると思う。

私に出来ることは・・・

本書のサブタイトルは

「変えられないことを変えようとせず、
 あなたができることをやろう」

だ。非常に当たり前の事に思えるが案外これが難しい。なぜ難しいかといえば、これは「行動」を変えることではないからだ。「考え方」「物の見方」を変える必要がある。それはとてもとても難しい事だ。でも不可能な事ではない。少なくとも「変えよう」という意志があれば、元手はほとんど必要ない。

例えば、私に「あんまりネガティブな感情もってなさそうですよね」と言われる方がいる。あるいは「ぜんぜん緊張しませんよね」とも。

私は別に感情の配線が切れているロボットではないので、ヘコんだり、悩んだり、落ち込んだり、緊張したりすることは当然ある。でも、そういう状況にはまり込んでも「何にも変わらない」ことだけは知っている。問題が起きるのは、そういう時にジタバタしてしまう事だ。人間である以上誰でも感情の揺れはある。ただそれだけのことだ。

私の中でそういうのは「変えられないこと」扱いなのだ。だからそういう状況になっても慌てない。その中で「じゃあ、今の自分ができることはなんだろうか」と問いかける。気分が乗らなくて、何もする気が起きないなら何もしない。あるいは気分転換に散歩する。なんだっていい。緊張しているときは、自分でその緊張を広げないようにする。

感情の水源を押さえ込むのではなく、出てきた水の流れを意識する。それだけで、かなり楽になる。これが「物の見方」を変える効果である。

さいごに

「今の自分ができることはなんだろうか」という問いかけはとても重要だと思う。それは仕事においても、仕事に幸せを見いだす事においても同様だ。俯瞰してみれば、これは「ライフハッカー」の精神に通じるかもしれない。変えられないものを目の前にして、何を変えていけるかという工夫を探し出す事、それがライフハッカー・マインドだと私なんかはかってに考えている。

結局の所それが「主体性」という言葉の正体ではないだろうか。

本書は「仕事」に対して自ら幸せを見いだすための心構えが詰め込まれている。成功を志す人よりも、職場の人間関係で悩んでいる人はご一読されるとよいだろう。

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