7-本の紹介

今年の、マイベスト3冊。

マイ・セレクト今年本12冊」というエントリーで少し変わった「ベストセレクション」をやりましたが、今回はそれ以外での今年一番印象に残った本。単純に「役に立った」というのではなく、あくまで印象に残ったという基準でのセレクトです。

3位

スイッチ!
スイッチ! チップ・ハース ダン・ハース 千葉敏生

早川書房 2010-08-06
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「アイデアのちから」のチップ・ハース&ダン・ハースの二作目。

心理学とか行動経済学の知見をいかに人の行動を変えるために使えばよいのか、という事です。行動経済学においては、人は非合理的な人間であると想定しています。旧来の経済学では、人は「経済人」(自らの合理性を最大限高めるように行動する人のこと)であるという前提のもとに組み立てられていますが、現実の消費活動を見ているとそういう前提が少々危ういという事が明らかになっています。

もちろんそういう消費行動は「バカなやつ」のやることではなく、脳が当たり前に機能している時に起こるバイアスの影響です。そしてそのバイアスそのものもある種の「合理性」によって生み出されているという点は覚えておいた方がよいでしょう。もし脳が本当に不合理なことばかりしかしてないのであれば、私たちはとっくの昔に死滅しているはずです。

莫大なエネルギーを消費し続けている脳にとって、そういったバイアスによる思考のショートカットというのは「合理的」と呼べることは間違いありません。

だから、人の行動を変えたいときに、「こうするのが正しい」という理屈を押しつけてもまず変化は期待できません。その人の「合理性」そのものを揺さぶる何かでないと、変化を引き起こす事はできないと思います。

で、実際にそれをどうやって揺さぶっていけばいいのかというのがこの本。ちなみにこの場合の「合理性」は金銭的合理性を包括的に含む総体としての「快の感情」という事になります。この文章、何書いてあるかさっぱりわかりませんね。

実際の本の内容はすごく平易な文章と実例の紹介ですので、ご安心を。

2位

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです
夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上 春樹

文藝春秋 2010-09-29
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村上春樹氏へのインタビュー集です。何かを語るよりも、実際に引用してその代わりにしておきます。

どんなに威勢のよい言葉も、美しい情熱溢れる言葉も、自分の身のうちからしっかり絞り出したものでないかぎり、そんなものはただの言葉に過ぎない。時代と共に過ぎ去って消えていくものです。

メールを読んでいると、あまりにも選択肢が多すぎて、自信を失っているというか、一本の方向性が見えてこなくて迷っている若い人たちがすごく多い。

とにかく冷蔵庫にあるものでなんとかする

瞬発力と持続力の有効な組み合わせによって、深みのある仕事がはじめて可能になるはずだというのが、僕の考え方です。

長編だろうが、短編だろうが、まず第一に、書くことが楽しくなければ小説なんて書けません。だから僕がまずいちばんに考えるのは、書くのが楽しいという状況に、できるだけ自分を置き続けるということですね。

続ければきりがないので、この辺にしておきます。

改めて自分が文章を書くことの理由、書き続けたいと思う理由について考えさせられました。

1位

KAGEROU
KAGEROU 齋藤 智裕

ポプラ社 2010-12-15
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おっと、まちがった。これはアマゾンランキングの一位だった。

あらためて1位

強さと脆さ
強さと脆さ ナシーム・ニコラス・タレブ 望月 衛

ダイヤモンド社 2010-11-27
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タレブの新刊。先日読み終えたばかり。はっきりいってピークエンドの法則が働いている感は否めませんが、面白かったことは事実です。『ブラックスワン』の続編として読むか、あるいは『ブラックスワン』の入門編として読むかは人それぞれです。注釈をしっかり読み込めば、『ブラックスワン』を読んでいなくても理解できる内容にはなっています。

経済や金融関係者の方は読んだ方がよいでしょうし、だからこそ読まれない方が多いかもしれません。あるいは読んでも「見て見ぬふり」するかもしれません。

というのは置いておくとしても、普通に本として面白いです。この人が書く文章のユーモアに満ちあふれた攻撃性がとても好きです。この辺は「ヤバイ経済学」の著者にも通じる所があります。経済学者を揶揄する発言としては、例えばこんな感じ。

経済学者なら、肺が二つ、腎臓が二つあるなんて非効率的だと考えるだろう。あんなに重いものを抱えて草原を渡っていくせいで払わされている代償を考えてみればいい。

最近は、ひたすら「効率」信仰が見られますが、私たち自身の体はそういった「非効率性」による保険が掛けられているわけです。それによってシステム全体としての安全性を確保しているということです。

もちろん「非効率」全てが良いというわけではありません。しかし、システム全体の安全性を無視して、部分最適を繰り返し行っていくと、ちょっと危ういことになるだろうな、という事は頭の片隅にとどめておいた方が良いでしょう。

とりあえず、示唆の多い本です。

まとめ

おそらく現在読中の「不合理だからすべてがうまくいく」もかなり上位に入ってきそうな印象です。そういえば「動的平衡」や「ネットバカ」なんかも読み終えてないです。年末年始ゆっくりできる予定もありませんが、ほそぼそと読書を進めていきたいものです。

▼こんな一冊も:

アイデアのちから
アイデアのちから チップ・ハース ダン・ハース 飯岡 美紀

日経BP社 2008-11-06
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考える人 2010年 08月号 [雑誌]
考える人 2010年 08月号 [雑誌]
新潮社 2010-07-03
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ヤバい経済学 [増補改訂版]
ヤバい経済学 [増補改訂版] スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー 望月衛

東洋経済新報社 2007-04-27
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不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」
不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」 ダン アリエリー Dan Ariely 櫻井 祐子

早川書房 2010-11-25
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動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか
動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか 福岡 伸一

木楽舎 2009-02-17
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ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること
ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること ニコラス・G・カー 篠儀直子

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