物書き生活と道具箱

「教える」時のコツみたいなもの

inspired by 「「教える」ときに肝に命じておこうと思うこと」(iPhoneと本と数学となんやかんやと)

「教える」とはなかなか難しい事ですね。人に何かを教えた経験がある人ならば実感があることだと思います。

私も前の仕事柄、人に教える事はよくありました。最初に仕事の内容を覚えてもらう新人教育や、仕事のやり方に関する質問に答えたり、身近な所では道案内といったものも「教える」という行為に含まれます。

これらの行為は、対人であるという点でルーチンに落とし込みにくい難しさがあります。紋切り型で処理できるほど簡単な事ではありません。また「教える」という言葉が意味することも多様です。まったくの素人に仕事を教えるのと、ある程度基盤があって周辺事情が分かっている人間に仕事の指示をするのとは違ったアプローチが必要です。

しかし、ある種の共通部分は存在します。そしてコツみたいなものもあります。
今回はそのコツについて考えてみたいと思います。

現在地点を「共有」する

一番重要なのはここです。教える方と教わる方の両者が現在地点を共有していなければいけません。たいてい「物の教え方が悪い」人は、この部分をおろそかにします。

例えば、誰かが地図を持ってきて「○○に行きたいんですけど」と尋ねられれば、真っ先にする事は現在地を確認する事でしょう。それなしに道案内を始める事はできません。

妙な話になりますが、適切に「教える」ためには、教える方から質問することを始めた方が効果的です。

「何がどうわかっていないのか」「問題をどのように把握しているのか」「基本的な知識の有無」

こういった情報が現在地点になります。こういった事を細かく質問できないのならば、最低限心がけるのは「相手の疑問点に敏感になる」という事です。教えたいことと違うからといって、相手の疑問を無視していてはいつまでたっても現在地点を共有することはできません。相手が迷っているならば、その場所がスタートラインになります。

自分の教えたいことを、教えたいように教えるだけではうまく伝えられないものです。

目的地と方向性を「提示」する

たどり着くべき目的地を示します。現在地点を共有しているのですから、それは方向性を提示することにもつながります。この二つは教えられる方のモチベーションに関係してきます。

読書では「はじめに」に当たる部分をじっくり読むというというスタイルがありますが、それと同じような事です。

大雑把な分量や、どういった事をやっていくのか、それを覚えると何がどうなるのか、といった事は先に示して置いた方が良いです。もちろん、事細かに説明するのは大人の仕事の教え方ではないかもしれません。

しかし、人は無意味に感じるものに積極性を出しにくいものです。実際に無意味かどうかではなくて、そう感じるかどうかがこの場合は重要なのです。何かを知っている人、つまり教える立場の人はその重要性が当たり前に感じられるので特に力説はしませんが、そこが抜け落ちていると、「教える」行為が受け止めにくくなることは確かです。

目印を「確認」する

人に道を教えられてどこかに進んでいるときに、一番感じるのは「この道であっているのだろうか」という事ではないでしょうか。そういう場合でも全行程の三分の一ぐらいの間隔で「ここまでくればこういう建物が見えます」と教えてもらっていると安心度は増します。

同じように、「教える」が終わるまでまったく目印がないというのは、教えられている方も不安になります。ある程度の間隔で相手が「理解できている」「ステップを歩めている」と実感できるフィードバックがあればより効果的に進めることができるでしょう。この「ある程度の間隔」がどのくらいなのかは、断定はできませんがあまり細かすぎても効果は薄いような気がします。

「見つめる鍋は煮えない」ではないですが、時計を見る回数が増えるほど時間の歩みは遅く感じられる、という話もあります。あまり細かすぎずかといって最後までフィードバックがまったくなし、という間のラインを見極めるしかありません。

さいごに

「教える」というのはたいてい「知識」や「経験」を有している人が、それを持たない人に行う行為です。しかしながら、「教える」という行為にも経験値がありレベルがあります。単に知識を有している=うまく教えられる、とはなりません。

逆に考えれば、最初はうまく教えられなくても、数をこなし自身の体験を経験値に転化できるならばレベルをあげていく事は可能になります。今回紹介したコツはそれをすこしだけでもスムーズに進めて行くものです。コツを知っているからといって達人になれるわけではありません。

「教える」のがうまい人は、自分の中に「教わる人」の引き出しを持っている人です。その引き出しを増やしていく事が最終的には必要になってくるのはいうまでもありません。

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