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何もなくなれば「スッキリ」するか?

Posted on 2011 年 1 月 19 日2017 年 4 月 30 日 by Rashita

頭の中を全て紙に書き出す、という行為は「スッキリ」感につながる。こういう話はよく聞く。確かにそういう面はあるだろう。紙に書き出すことで脳が「これはまあ私の担当じゃないよね」と認識して、メモリが解放されるという意味合いがあるのだと言われている。これは部屋を掃除・整理したときに感じる「スッキリ」感と似たようなものだろう。

ただ、「スッキリ」には他の要素からやってくるものもある。

とあるTV番組で「もやっとボール」というのがあった。その対極が「スッキリ」だ。問題が出題されてうまく解答できないと「もやっと」。ちゃんと正解できると「スッキリ」となる。そういう感覚も理解できる。何かが分からない→分かる、という行程にも「スッキリ」という言葉が使われているわけだ。

掃除・整理のスッキリと、難しい問題が解けた時に感じるスッキリ。これらは別の物なのだろうか。それとも同一の物の違った側面なのだろうか。

わかる=整理

次は山鳥重『「わかる」とはどういうことか』よりの引用である。

わかる、というのは秩序を生む心の働きです。秩序が生まれると、心はわかった、という信号を出してくれます。つまり、わかったという感情です。その信号が出ると、心に快感、落ち着きが生まれます。

この時の感情あるいは快感が部屋を掃除した時に感じるものと似た性質を持っているからこそ、人はそれに同じ「名前」を与えているのだろう。

では、わからないとはどういう状況だろうか。

わからないとは、何か新しい問題に直面したとき、これは自分の頭にはおさまらないぞ、という感情です。心の異物感です。

「心の異物感」。この比喩でかなり収まりが付きやすくなる。

つまり、「わからない」状態は頭の中に行き場のないものが存在している状態という事だ。これがしかるべき場所に落ち着けば人は「わかる」状態に移行して、スッキリした感じを持つ。しかるべき場所にしかるべき物が置かれている状態。つまりペンはペン立てに、ゴミはゴミ箱に置かれている状態。これが「スッキリ」した状態、というわけ。

掃除や整理は物理的作用、「分かる」は心理的作用、と違いはあるものの、「しかるべき場所にしかるべき物が置かれている状態」になっているという点では共通している。

しかるべき場所

さて、やや遠回りになったが、この記事の表題についてだ。

「何もなくなれば「スッキリ」するか?」

これは、先ほどの話から考えると明らかだろう。確かに何も無くなればスッキリするに違いない。部屋の中に物が一つも無い状態も「しかるべき場所にしかるべき物が置かれている」状態である。ただその物がゼロだから、しかるべき場所も考慮する必要が無いというだけの話である。

では、この空っぽの部屋に五冊ほど本を置いてみよう。床の上に五冊の本を積み上げておく。これはちょっと気持ち悪い。「異物感」が出てくる。部屋の隅に本棚を置いて、そこにその本をしまう。「スッキリ」だ。

何が言いたいのかというと、スッキリ感のあるなしについては、物の量は関係ないという事だ。加えて言うならば、「何も無くなればスッキリするかもしれないが、スッキリするために何もかも無くす必要はない」という事だ。

当然、その部屋に置ける物の量以上の物を置いてしまえばスッキリ感からは遠ざかってしまう。「しかるべき場所」が足りない状況だからだ。そういうときは物を捨てるか、倉庫に送るしかない。

物それ自体は悪者ではない。ただ、しかるべき場所があるかどうかが問題なのだ。物が沢山あったとしても、しかるべき場所に収まっている限りは、スッキリしていられる。

心の整理

なぜこういう事を考えたのかというと、それはGTDのためである。

GTDがもたらすストレスフリーの状態というのは、まさにこの「しかるべき場所にしかるべきものが置かれている状態」なのだ。その状態が維持出来ている限り、スッキリ感を持っていられる。ただ、その対象は本や本棚ではなくて「頭の中の気になる事」である。

本が全て本棚の中に入っていれば、本の場所について心配する必要は無くなる。本が必要ならば本棚を見ればよい。でも、読み終えた本をあっちこっちに散らかしていると、本棚を探しても本が見つからないかもしれない。「本棚」が本の置き場所として機能していない、ということだ。そういう場合は、部屋中をチェックして起きっぱなしになっている__「異物感」のある__本を本棚にしまわなければいけない。部屋中をチェックして本が全て本棚に置いてあることを確認できたら、また本を探すときは本棚を見ればよい。

こうした物に対してやっている事を「頭の中の気になる事」にもやろう、というのがGTDである。

例えばコミットメントをぎりぎりまで絞った生活をしてればおそらくGTD的手法は必要無いだろう。部屋の中に物を置かなければそれだけでスッキリするのと同じ事だ。が、現代の日本ではそれは結構難しい。選択肢も行動範囲もやるべき事も多いのだ。だから、本棚やタンスを置いて、そこにしかるべき物を収納していきましょう、ということである。そして部屋の中に置ききれないものは、倉庫にでも放り込んでたまにチェックしましょうね、ということだ。

さいごに

GTDに置いて使うツールが何でも良いというのは、自分の家にどんな本棚を置いても良い、というのと同じ意味だ。もちろん部屋のサイズや大きさによって適切な本棚というのは存在するだろうが、かくあるべしと提示できる汎用性の高い答えはないだろう。ここは本質ではない。

本質は、「しかるべき場所にしかるべきものが置かれている状況」、これを作る事だ。

そのためには、最初にその場所をつくり、そこにものをしまい、そして定期的にそれが出来ているかをチェックしなければいけない。逆にそれが出来ていれば、どれだけ物があっても特に問題は無い。まあ、時間はかかるかもしれないが。

こういうメンテナンスをやりたくなければ、思い切って部屋の中にあるものを全て捨ててしまえばよい。その時はスッキリする事だろう。が、問題は「頭の中の気になる事」は日々増えていくということだ。時には一度捨てた物をまた拾ってくるなんて事もあるだろう。

あるいは捨てることすら億劫になり、その環境に慣れることで「心の異物感」が異物感として機能しなくなるかもしれない。そういうのも別に間違ってはいない。ただ、乱雑にものが溢れかえっている部屋に暮らしている人は、新しい家具を増やしたくても増やせないだろうし、自分にとって本当に必要なものが見つからず、とりあえず手を伸ばせば届く所にあるもので満足してしまうかもしれない。まあ、そういうのも人生だと割り切れば、それもまた悪くないだろう。

どちらにしても、それはその人自身が選択することだ。

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