GTDにおける「信頼できるシステム」とは何を意味するのか

今回は、GTDにおける「信頼できるシステム」について考えてみたいと思います。

発端は、こちらのエントリー。
Nozbeの使い方~その11(信頼できるシステムについて)(このまま一生β版)

GTDの最初のステップとして、頭の中にある気になる事全てを信頼できシステムに預ける というものがあります。
この信頼できるシステムと言う言葉の意味する所はなかなか分かりにくく、Twitterのタイムラインでもよく議論されているのを目にします。
このシステムという言葉については、さしあたり使用するツール、道具ということで問題ないでしょう。

この「信頼できるシステム」という言葉の意味するところについて、いくつか書いてみます。

基本的に言えることは、

  • 独立した「信頼できるシステム」というものが存在しているわけではない
  • 信頼できるシステムというのは、信頼しているシステム
  • 信頼できるシステムはツール+フローで成り立っている

この3つです。この辺を寄り道して考えてみましょう。

信頼できているシステム?

実はこの辺の話題は、待合室の方で一度書きました。

信頼しうるシステムを持っているかどうか 「信頼できるシステムと手書きのリスト #gtdjp – 私的言語」を読んで」(R-style 待合室)

そこでは、こんな風に書いています。

信頼できるシステムというのは、変な言い方だが使っていて安心できるツール、と言うことだ。それに任せれば「漏れ」も「ミス」も無いよ、と思えるシステムの事だ。

これを具体例で考えてみましょう。

信頼できる日めくりカレンダー

「日めくりカレンダー」を想像してください。365日が1ページずつになっていて、一日経つごとに一枚めくっていく、古風な感じのやつです。

あなたは、毎朝起きたときにそのカレンダーをめくる習慣があるとします。あるいは2355のように、日付が変わったタイミングでめくるとしてもかまいません。どちらにせよ、日中目にするとき、そのカレンダーがその日の日付になっている、という状態を毎日維持しているということです。

そうしたとき、その日めくりカレンダーは、あなたにとって「信頼できるシステム」になります。今が2月11日として、3月4日に忘れてはいけないイベントがあれば、その日付のページに「Evernoteセミナー」と書いておけば、「忘れるかもしれない」という不安に苛まれることはないはずです。

毎日それをやっていて、そこに書いておけばかならず目にするという習慣が自分にあることが分かっていれば、その「先送り」が必ず機能するであろうことが「実感」できるわけです。

信頼できない日めくりカレンダー

では、別のバージョン。あなたは日めくりカレンダーをめくる習慣がなかったとします。一週間に4日ぐらい毎日めくって、週末にまとめて3ページぐらいめくる。こういうやり方でカレンダーを使っていたとしましょう。

その場合、このカレンダーは今日の日付を確認するツールとしても、予定を「先送り」するツールとしても信頼できるシステムとはいえません。

あるいは、一年のうち12日ぐらいページが欠落していたとすればどうでしょうか。あるいは、特殊な紙で出来ていて、書いたインクが20%ぐらいの確率で消えてしまうような場合ならどうでしょう。あるいは、鉛筆でしか書けなく、誰かがいたずらでそれを容易に書き換えられる環境だとしたら。

このどれもが信頼できるシステムとは呼べません。

ツール+フロー=信頼の醸造

これと同じような例は日常の中でも、そこらじゅうにころがっています。例えば家の「鍵」。普通の人は自分の家の鍵を「信頼」していると思います。家に帰って、鍵を取り出して解錠しようとするとき「この鍵で本当にあくのだろうか?」とは心配しないはずです。なぜ心配しないかというと、何度もその鍵でそのドアを空けている経験を持っているからです。

あるいは逆の意味での「信頼」もあるでしょう。その鍵を掛けておけば、家の中のものは安心だ、という信頼です。これも、基本的にその瞬間までは泥棒に入られていないから感じられる「信頼」です。もし、一度でも泥棒に鍵をこじ開けられた経験があるならば、同じ「鍵システム」には信頼を感じられなくなるでしょう。

トータルで言えるのは、ツール単体に信頼が内在しているわけではないということです。

基本的には、ツールとそのフローの継続が信頼を生み出します。つまり、日めくりカレンダーを誰かがリマインダーとして使いこなしていたとしても、それをそのまま自分の家に持ってきた段階では「信頼できるシステム」とは呼べない、ということです。

毎日めくって日付を更新する、そして毎日それを目にするという行動習慣とセットになってはじめて「信頼できるシステム」として日付に関するリマンダーの機能を担うことができるようになるわけです。

もちろん、ツールそのものにも日付の歯抜けがないなどの基本的な機能要件はあります、しかしながら、そういった基本的事項さえクリアしていればどのようなツールであっても「信頼できるシステム」になりうる可能性を秘めています。アナログノートでも、情報カードでも、カレンダーでも、アプリケーションでも、おなじです。

さいごに

「信頼できるシステム」という概念自体は、それほど難しいものではありません。難しいのはその維持です。

『ストレスフリーの整理術』には次のように書いてあります。

本当に信頼できる整理システムを維持していくには、折に触れてより高いレベルから自分の頭の状態やシステムを点検し、更新していかなければならない。

要点はここにあります。信頼できるシステムが先にあって、それを使えばバリバリGTDができるようになる、という考えだとある時点できっと止まってしまうと思います。そうではなくて、システムを維持している行為の中で、信頼がうまれてくるものなのです。

もちろん、すでに信頼できているツールを使ってGTDを実施することは効率的です。日めくりカレンダー、日常的に持ち歩くメモ帳、押し出し式のファイル・システム、なんだって良いのですが、「自分が普通に使っている」ツールにGTD的な機能を持たせていくというアプローチは、その他のアプローチに比べても使いやすいことは間違いありません。

毎日システム手帳を目にして、いろいろ書き込んでいる人が、あえてクラウドベースのタスク管理システムを使わなければならない理由はありません。もちろん、使ってはいけないというわけではありませんが、新しく「必ず目を通さなければならないもの」が一つ増えてしまうことは念頭に置いておいたほうがよいでしょう。

今回は、「信頼できるシステム」の言葉的な意味から考えてみました。次回(来週?)は、GTDを構成する要素を「信頼できるシステム」にするためには何を満たせば良いのかを考えてみます。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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