物書き生活と道具箱

「信頼できるシステム」にするために気をつけること

先週の「GTDにおける「信頼できるシステム」とは何を意味するのか」からの続きのエントリー。

ある種のツールと信頼関係を結ぶために気をつけることとは何かを考えてみます。

inbox

頭の中の「気になること」の入り口であるinboxですが、これについてはいくつかのポイントがありそうです。

まず、全てのinboxを把握しておくこと。そして、それを見ること。これの二つが重要です。inboxの数をあまり増やさない方が良いと言われるのもこのためです。GTDはいくつかのステップで「気になること」を処理していきます。そのため各ステップごとに時間的な隔たりが生じます。

つまり、ある時点で気になった事をinboxに放り込んで置いて、後で整理するというのはある種の「先送り」と言えます。あるいは今の時点の自分から少し先の自分への「引き継ぎ作業」と考えてもよいかもしれません。

であれば、「引き継ぎ作業」を行う際に気をつけるべき点に注意を払っておけばよいでしょう。要点は、それが次の人に必ず伝えられること、でしょう。inboxを使う場合も同様です。

気になることをinboxに一時的に放り込んで安心を感じられるのは、後でそれを必ず見返すという確信(というのは強すぎる表現ですが)があるからです。それが無いと「書き出した」ことによるスッキリ感は得られても、安心感までは得られないでしょう。

inboxの数を増やしすぎれば、見落とす可能性が忍び寄ってきます。これはinboxのチェックリストを作る事で対応できますが、ツールを切り替える時間がかかったり、そもそも面倒に感じられるデメリットが存在していることだけは把握しておいた方が良いでしょう。

ちなみに、私のメインinboxは「Gmail」「Evernote」「書類受け」この3つ。メールは全てGmailに集約していますし、Evernoteはなんだかいろんなものを入れていますし、紙の書類などは書類受けに入れるようにしています。これらは最低一日一回はチェックして空っぽになるように努めています。

チェックするのが毎日ではないサブのinboxもありますが、これは今回は割愛。それは週一回のペースでチェックしています。

何にせよ、「こういう情報はこのinboxに入っている」というのと「それを必ずチェックする」という状態と動作(習慣)が組み合わさって始めてinboxが機能していると言えるでしょう。

リマインダー

リマインダーも「先送り」の仕組みです。であれば、それが必ず届くこと。これが寛容です。例えば、電波が悪いところに頻繁にいるのに、メールによるリマンダーを使うのはかなり危うげです。そういう場合は、スマートフォン内部からのリマンダーを使った方がよいでしょう。

そもそも、電池に心配があるような環境ならば、スマートフォンすら信頼できないシステムになりうる可能性を秘めています。

そういう時は、紙の手帳や付箋などがリマインダーになりますが、これも「必ず見る」という確信に近いモノが必要です。「こういう状況ならば自分が何かあることを忘れていても目を通すだろう」という予測の上にリマインダーは成り立ちます。

逆に言えば「覚えていたら見るだろう」ではリマインダーとしては信頼できないシステムだと言えます。これはまあ当たり前の事なんですが、意識していない人もいるかもしれません。

紙の手帳に予定を書くならば、時間の空いたタイミングで手帳を見る習慣が必要ですし、そんなものが無ければ、Googleカレンダーにメールで通知してもらうしかありません。どちらにせよ、自分がどんな環境でどんな仕事の仕方をしてどんな習慣を持っているのか、を知らなければ信頼に足りうるリマインダーは構築出来ません。

リスト

リストの最大の要件は「違う文脈のものを入れない」、これにつきます。と、いうかこれ以外ありません。レビューでリストをチェックして「最新状態」にするのも文脈を保つためです。

「今日すべきこと」のリストに「今日してもしなくてもどっちでもいいんだよな」を入れたり、「今日したいこと」を入れたりすれば、それは「今日すべきこと」のリストとしては機能を失います。

プロジェクトのリストにシングルタスクが混ざっても、その逆でも同様です。

逆に言えば、リストを見たときに「それは何のリストなのか?」というのを自問する必要があるのかもしれません。

GTDには優先順位がないという話を聞きますが、実際は「プロジェクト」に認定し「次の行動」を決めている時点で優先順位が発生しています。そうでなければそれは「いつかやる・たぶんやる」に入っているはずです。

リストがうまく機能していないのならば、一つ上、さらに上ぐらいの視点から自分の優先順位を確認しなおす事が必要かもしれません。だいたい人間は、有用かつ必要だと思ったこと以外はやりたがらないものです。別にGTDはやりたくない事を成し遂げるための技術ではありません。そういう意味で、長期的にGTDを運用していく場合はプロジェクトごとの週次レビューだけではなく、もう少し長いスパン・高い視点のレビューを実行する必要があります。

備忘録ファイル

ここまで書けば、この辺の説明も特に不要ですが、一般的に備忘録ファイルと呼ばれるモノも、要するに「特定の日付で必ず目を通すもの」であれば何でもOKです。逆に言えば、ファイルを43個揃えただけではそれは機能しません。

日付に紐づけたファイルを準備する→何か日付に絡む情報が入ってくる→それを適切な備忘録ファイルに入れる→毎日その日付のファイルを確認する、という状態と行動(習慣)があって、はじめて信頼できるシステムになります。

だから、日めくりカレンダー一枚一枚にクリアファイルを貼り付けても備忘録ファイルとして機能させることができます。同様にGoogleカレンダーに「○○の書類を確認すること」と書いておいても、備忘録ファイルとほぼ同じと言えます。

要は、日付に紐づけたリマインダーとファイル保存の二つの機能を持っているのが備忘録ファイルというわけです。

さいごに

今回はGTDに使えるツールの注意点について考えてみました。単にGTDツールを導入したからといって信頼できるシステムが手に入るわけではない、というのは至極当たり前の事ですが、始める前には理解しておいた方がよいでしょう。

メモ帳を買ったとしても、持ち歩かなければ意味をなしませんし、持ち歩いても実際にメモしないと何も残りませんし、メモを書いたとしても後で見返さなければ効果を発揮しません。

つまり、単にメモ帳を持つのではなく、メモ帳を「装備」することが必要ということです。あるいは「心の中にメモ帳を持つ」と言い換えることができるかもしれません。

これは習慣というのが一つのキーワードになります。日常的に習慣になっているものをツールに使うか、新しい習慣を身につけるかの二つの方向性が考えられます。

どちらにせよ、「信頼できるシステム」というのはツールだけの話ではないというのは最低限の土台です。ある意味では、そのシステムに相対する自分というものにどうしても視線を向けざる得ない、というのがGTDの面白い所であり、面倒に感じる点なのかもしれません。
※上の部分がよく分からない人は、GTDを実践している人に、使っているツールの良さを聞いてみてください。何がどういいのか、きっと力説してくれると思います。

編集後記:
いろいろ書いてみて思うのは、GTDについて説明するのは本当に難しいということ。具体的なシステムの在り方は人それぞれです、と言ってしまえばそれまでなんですが、それだと踏み込みが足りないような気もします。

全体像から概要を説明するパターンと、実際のツールの動作から形を組み立てて行く方向があって、メルマガの方では全体像の方から切り込んでいってますのでBlogでは実際のツールの動作からいってみようかと考えています。

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3件のコメント

  1. 信頼できるシステムってツールと習慣を組み合わせる事で初めて実現するんですよね。

    私も記事を書く中でやっと気がつきました。

    明日お会いできるのを楽しみにしております^^ノシ

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