チョットピックス(小ネタ)です。
Evernoteを使う上で「inbox」の存在は重要です。Evernoteに入ってくるノートを一度「inbox」ノートブックに入れておき、あとでまとめて振り分けるという手順がinbox方式の肝で、それを実施するといくつかのメリットが生まれます。
一つは「バッチ化」できること。似たような手順をまとめて行うことで、作業そのものを効率的に進められます。また、入れたノートを一度は見返す効果も同時に発生します。「一度見返すこと」はメモ習慣では必須です。
一日にEvernoteへ大量のノートが入ってくる場合は、「ダブルインボックス」システムをつくり、ウェブクリップとタスクなどを分ける方法が便利ですよ、というのは以前にも書きました。この辺はどんな情報をEvernoteに入れているのかによって運用方法は変わってきます。
※Evernote企画4th:第三回:現在のノートブックと運用法(下)
ゼロの力
こういう新しいシステムを導入する場合に気になるのが「負の遺産」です。
つまり、もともと既存のinboxに入っているノート群。たいてい「新しいシステムを導入しよう」と思い立つ背景は、あんまり整理できていない状況(inboxにみっちりノートが…)があるはずです。いくらインボックスを分割しても、取り回し速度の早いインボックスにノートが大量に残っているようではあまり意味がありません。
「インボックスゼロ」の概念は、ゼロにするからこそ意味があります。心理的にゼロというのは他の数字とまったく異なった力を持っています。
※確実性効果
例えば、一日30個のノートを処理したとします。このとき
inbox(30)→inbox(0)
と
inbox(1260)→inbox(1230)
を比べてみてください。どちらの方がより「スッキリ」するでしょうか。後者は全然スッキリしないかもしれません。インボックスはゼロにしてナンボなのです。
というわけで、今Evernoteのインボックスが一杯になっていて、その状況を改善したいと考えられている方は、一度リセットすることをおすすめします。
インボックスを引っ越す
具体的には、
- 新しいノートブックを作る
- 今のインボックスに入っているノートをすべてそこに移動
- 「一日に10個」や、「一週間で20個」などの目標(タスク)を設定して地道に処理
という方法をとることです。最悪3)の手順は無視してもOKです。「全ノートブックを対象に検索すれば見つかる」と開き直れば、どこにノートが入っていても検索では困りません。
もし、移動したノートを全て片付けたいと思われるならば、注意点としては「後から追加しない」という事があります。そうしないと、新しくinboxに入ってきて、片づかないものがどんどんそこに流れ込んでくる事態に陥ります。片付けても片付けても増えてくるものは、だいたい嫌気がさして距離を置いてしまうものです。
一端inboxを空にすると、一日で(あるいは一週間で)どのくらいEvernoteにノートが増えるのかが見えやすくなります。もし処理できないまま増えていく状況が確認できたならば、「必要無い情報を入れすぎている」か「Evernoteの整理に当てている時間が少ない」のどちらかであることがわかります。どちらにせよ、何かしらの見直しが必要です。こういう気づきが日常の行動を変えていく手助けになります。
さいごに
「最悪検索で探せるからいいか」の心理的境地に立つとEvernoteとの付き合い方は非常に楽になります。私の場合は、使う事が明白なノートは目印(タグ)を付けて用途別のノートブックに移動させ、そうでないノートはアーカイブ系のノートブックに適当に放り込んでいます。後者のノートはノートブックを選択して目で探すことはほぼ不可能です。
※象の墓場(3240)、スクラップ(2968)
しかしながら、目で探せるぐらいならばEvernoteを使うメリットはそれほどありません。
ある程度大雑把でもはじめる→後でその情報を検索することが多いことが分かる→それにあわせてノートブックやタグを付ける
こういう運用ができてしまうのがEvernoteの良さです。
というわけで、多すぎるinboxに嫌気がさしておられる方は、一度引っ越しされてみることをおすすめします。もちろん、イヤな感じを覚えない方はそれでも全然問題無しです。
▼こんな一冊も:
EVERNOTE「超」知的生産術 |
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倉下忠憲
シーアンドアール研究所 2011-02-26 |
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