0-知的生産の技術

「情報に酔う」ということ

「酔う」という言葉があります。goo辞書で意味を引いてみると、

1 飲んだ酒のアルコール分が体中にまわり、正常な判断や行動がとれなくなったりする。「美酒に―・う」「―・った勢いでけんかを売る」

2 乗り物に揺られたり、人込みの熱気に当てられたりして気分が悪くなる。「船に―・う」「人に―・う」

3 そのことに心を奪われてうっとりする。また、自制心を失う。「成功に―・う」「妙技に―・う」「太平に―・う」

この3つ。酒飲みとして、一番のメカニズムは理解できるんですが、二番のメカニズムが気になりました。

セルフドクターネットというサイトで調べてみると、「乗りもの酔いのメカニズム」というページを発見。

Q.乗りもの酔いは、どうして起こるのでしょうか?

A.主な乗りもの酔いの原因として、「不快感」や「自律神経の興奮」などがあります。
脳は目の情報、耳で感じる平衡感覚、さらに身体を動かす筋肉の情報を合わせて、身体の位置を認識します。これらの情報にズレがあるとき、自律神経が興奮して、乗りもの酔いの状態となります。

これを見て、ピンッときました。最近、私が感じていたのは「情報酔い」なんだな、と。

非日常の空間

ここ一週間ネット、そしてテレビのニュースにかじりついていました。そうしないと不安を感じてしまう、という理由があったのかもしれません。

ツイッターのタイムラインはいつもの数倍の速度でつぶやきがながれ、しかもその中には様々な情報が混ざっていました。

一つの情報が流れたら、その情報の対抗情報(「それってデマだよ」)がながれ、心温まるつぶやきが流れたと思ったら、〜が不謹慎だ、というつぶやきがながれ、といった具合です。それは良い悪いは別として「いつものツイッター」ではない状況でした。これはおそらくテレビでも同様でしょう。

日常とは違う状況にになっているにも関わらず、日常と同じ(あるいはそれ以上)の感覚で接してしまえば、やはりズレが起こります。

自分の管理を超える流れ

先ほどのページの続きには興味深いことが書いてあります。

Q.自分の運転だと酔いません。どうしてですか?

A.目や耳から入ってくる情報が、脳の中で身体の位置情報と統合されないため、不快感として乗りもの酔いが起こります。自分で運転している場合は、身体の位置などが予測でき、統合をとりやすいため、酔いにくくなるといえます。
自分で運転しない場合には、右回り、左回りなどが予測できるよう、窓の外を見るようにしましょう。本を読んだり、ゲームをしていると酔いやすくなります。また、あまりに重力を感じる加速度運転などは、やめてもらうようにしましょう。

本来ツイッターのタイムラインは自分で選択して作るものです。好き人をフォローし、そうでない人をアンフォローする。見たいときに見て、見たくないときは見ない。こういうコントロールができるのがツイッターの良さです。

私は日常的にテレビを見ないのでわかりませんが、おそらくテレビもある程度はこのコントロールが効くものでしょう(好きな番組を好きなときに見る)。

しかし、地震後、タイムラインには膨大な情報が流れ、しかも自分がそれをついつい見てしまう状況が生まれていました。つまり、「自分のコントロール」から離れてしまっていた状態です。有益な情報をたくさん得る代わりに、本当に多くの情報に身をさらしていたというのが本当の所でしょう。

さいごに

私は、別にソーシャルメディアやマスメディアで情報が流されることを否定しているわけではありません。それはやはり有用なことだと思います。

ただ、タイムラインをきっちり追いかける人が、いつもと同じ感覚で接しているとしんどいかもしれないね、ということです。

林望さんの『「時間」の作用』という本には、

読み手には「読まない権利」も「途中で読むのを止める権利」もあるのです。

と書かれています。

しばらくツイッターを見るのを止めても、有用な情報は公式RTで後からも流れてくるでしょうし、誰かがまとめサイトを立ち上げてくれることもあるでしょう。本当に必要な情報以外はそれで事足りるはずです。

情報に当てられているな、と感じる方は少しだけでも距離を置いてみるのがよいのかもしれません。

▼こんな一冊も:

「時間」の作法 角川SSC新書 (角川SSC新書)
「時間」の作法  角川SSC新書 (角川SSC新書) 林 望

角川SSコミュニケーションズ 2011-03-10
売り上げランキング : 5804

Amazonで詳しく見る by G-Tools

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です