Evernote企画6thエントリー:
第一回:アップデートで追加された機能の確認
第二回:ノートの見た目にこだわる
第三回:HTMLファイルで「リフィル」を作る
エッセイ:二種類の「ライフログ」について
Evernote公式ブログでも紹介されていますが、正式にEvernoteにノートリンク機能が装備されました。
すでに、この機能のさわりについてはいくつか書いていますし、実践例などもちょこちょこと触れています。そういった中でも言及していますが、このノートリンク機能は、Evernoteの使い方の幅を広げる、とても面白い試みです。
おそらくさまざまな「個性的使い方」がこれから出てくるでしょうが、そのたたき台になるかもしれない、使い方の例をいくつか紹介しておきましょう。
使い方に関しては、大きく分けて
- Evernote内部で使うもの
- 外部に出して使うもの
- 共有ノートブックで使うもの
の3つのパターンがあります。それぞれ見ていきましょう。
Evernote内部で使うもの
現状、一番多様な可能性が眠っているのがこのパターン。例えば、一冊の本に関するデータを一枚のノートに集約するという「読書ノート」としての使い方があります。
※参照:ノートリンク機能を使ったEvernoteでの「読書ノート」
あるいは「リフィル」の回でも紹介しましたが、一つのプロジェクトに関するノートをつくり、そこに情報を集約していくという使い方ができます。打ち合わせのメモをスキャンしたノートだったり、あるいは関係者の名刺を取り込んだノートだったりと、一つのプロジェクトに関連するノートというのは案外多いものです。
それらをまとめておけば使い勝手があがります。
これをノートのマージ機能で実現することもできますが、いくつか問題点が出てきます。
マージの問題点と変数
一つには閲覧性が落ちるという点。多くの情報を付け加えていけば、ノートはどんどん縦長になっていきます。そうすると全体の情報の概要を一目で掴まえにくくなってしまいます。
もう一つはマージしたノートの身動きが悪くなる点。
仮にAというプロジェクトにXさんという人が関係者であるとして、その人の名刺ノートをマージしてしまったら、他のプロジェクトに再びXさんが出てきた時に少々困ったことになります。一応ノートを複製してから、マージするという手段もありますが、あまりスマートな方法とは言えません。
さらにこれは情報が固定化してしまう、という別の問題を発生させます。
先ほどの例でいうと、仮にXさんの名刺ノートをコピーした上でマージしたとします。この時、仮にXさんの肩書きが変わって新しい名刺をもらったとしたら、どのように対応すればよいでしょうか。コピー元になった名刺ノートに追加したしても、プロジェクトノートにマージした方の情報は変更されません。
こういう使い勝手の悪さがあります。
ノートリンクという形式でプロジェクトノートに集約しておけば、原本のノートを修正するだけで、いつでも最新の情報にアクセスできるようになります。
これはプログラミングでいうところの「変数」のような扱いです。この変数をうまく扱うことで、情報を集約しながら、個々のデータへの変更を容易にするという環境が作れます。
ファイル容量問題
先ほどの例とはまた別の方向性からのアプローチです。
私は、Evernoteにおける月の切り替えのタイミングでアップロード容量が余っている時は、音楽ファイル(mp3)をアップするようにしています。どうせ料金は一緒なので余らせておくのはもったいないですよね。もちろん、手持ち全ての音楽ファイルなど上げきれるわけがありませんが、その時気に入っている曲をいくつかセレクトしてアップロードするようにしています。
その時問題になるのが、一枚のノートの容量です。現状の上限では、アルバムの曲全てを一枚のノートにまとめることはなかなか難しいところです。そういう時にでも、一曲につき一枚のノートにしておいて、ノートリンクでそれを集約すれば「アルバムノート」が完成します。
これもマージとは違って、曲一つ一つが独立していますので、「アルバムノート」以外にも「好みの曲ノート」といったプレイリスト的な使い方ができるようになります。
※一応書いておきますが、普段はiPodで音楽を聴いています。Evernoteで音楽を聴くのが便利、という話ではありませんのであしからず。
ノートリンクのメリット
このように情報の集約と、個別ノートの保存というのを両立させられるのがノートリンクのメリットです。
あるいは「今日の予定ノート」→「週次レビューノート」→「具体的なチェックリストノート」という風に階層を作れるのもポイントです。
もし、「今日の予定ノート」に具体的なチェック項目まで全て並んでいたとしたら、そのノートを見るのはうんざりすることでしょう。状況に応じて「見る必要のあるリスト」だけを見る、という環境を作れるというのも押さえておきたいところです。
外部に出して使うもの
私はそれほど、注力していませんが、この辺にわくわくしておられる方も多いことでしょう。
ノートリンクが他のアプリケーションでも使えるようになったので、Evernoteの中の情報を活用する機会は増えてきそうです。
現状、私の環境下ではMacの「Taskpaper」というアプリが、このノートリンクを認識してくれます。あと、iCalの予定の「URL」の部分にノートリンクを入れることもできるようです。
何度か試したんですが、GoogleTask(web版)では、リンクを認識してもらえませんでした。残念です。
おそらくマインドマップ系のアプリでもURLを挿入できるものがあるので、その辺でも使えるアプリがあるはずです。
例えば、「週次レビュー」というタスクをタスク管理アプリに入れておいて、Evernoteにあるチェックリストノートへのリンクを付け加えておく。すると、タスクがリマインドされたときに、すぐにチェックリストにアクセスできる、という感じです。
進行中のプロジェクトノートとそのタスクを関連づけるという使い方もできるでしょう。
マインドマップ系ではEvernoteのノートをアウトプットの素材としてより活用しやすくなるかもしれません。このあたりも個人的には要チェックです。
共有ノートブックで使うもの
ベータ版で実験したときは、うまく動かなかったのですが、Evernote日本語ブログによると
ノートリンクは共有ノートブックでも機能するので、共有ノートブックの作成者はノートリンクを使って閲覧者を誘導することもできます。
ということができるらしいです。
単純に考えれば、「目次」が作れますね。例えば、複数のテクニックを一つ一つノートにしておき、そのリンクをトップページ的なノートに張り込んで置けば完成です。「こういう症状に困ったら→○○○○(これがノートリンク)」みたいな感じにしておけば、使い勝手の良いノートが出来そうです。
もう一つ、思い付くのが「ゲームブック」です。もしかしたら「ゲームブック」ってなんじゃらほい、という方もおられるかもしれませんので、ウィキから意味を引いておくと、
ゲームブック(Gamebook)とは、読者の選択によってストーリーの展開と結末が変わるように作られた、ゲームとして遊ばれることを目的としている本である。媒体により「アドベンチャーゲームブック」 ・「アドベンチャーブック」とも呼ばれる。
というもの。
物語が進んでいく中で、分岐点が登場し、それを読者が選択することで、物語の結末が変わっていくというゲームとして楽しめる本です。
例えば、主人公が成長していく中で結婚相手を選ぶ場面が出てきて、
- 「A:断然ビアンカです→p.143へ」
- 「B:やっぱりフローラだよね→p.162へ」
といった感じで進むページが変わってくるもの。
ノートリンクを使えば、こういう読者選択型分岐ストーリーも作れます。自分で物語を作って、「共有ノート」で他の人に楽しんでもらうという、新しいEvernoteの使い方もできますね。
また、「共有ノート」+「ノートリンク」は丹念に作り込めば、wikiのような使い方もできると思います。そういった方面も試行錯誤の余地はたくさんありそうです。
さいごに
今回は「ノートリンク機能」について、いろいろ見てきました。
正直なところ、これはかなりのインパクトを持った新機能だと考えています。Evernoteのノート数が少ないウチはあまり感じないかもしれませんが、ある程度の数になってくると、こういう「編集」的な機能の必要性は高まってくるでしょう。
この辺も、実際のニーズが感じられたところから、新しい使い方というのが注目されるようになってくるはずです。
そういう意味で、使い始め→Evernoteに情報を集め始める→かなりの量がたまる、というこの3段階目に多くの人が移行しはじめたときに、どういう使い方が見いだされてくるのか。それが非常に楽しみです。
▼関連エントリー:
- Evernoteデスクトップが大幅アップデート: WindowsとMacにノートリンク、ノートコピー機能を搭載(Evernote日本語ブログ)
- ノートリンク機能を使ったEvernoteでの「読書ノート」(シゴタノ!)
- MacのEvernote(beta版)にノートへのリンク機能が追加(R-style)
▼こんな一冊も:
EVERNOTE「超」仕事術 | |
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