前回は写真で紹介した本棚。個人的には不満なところがまだまだ多いのですが、使い勝手は多少向上しました。これも少し「整理」したおかげです。
※一番大きい不満は、あの棚が前後2列になっていて、後ろの本が見えないこと。
今回は、この「整理」に至るまでの経緯を書いてみます。
大きな枠組み
まず、本棚について。
前回も書きましたが、「小説」「実用書」「趣味書」「ライトノベル」「マンガ」という大きなカテゴリーで本棚が分けてあります。
「趣味書」はカテゴリーごと(プログラミング、投資、カクテル、etc…)。残念ながらここはうまく整理できていません。というか使用頻度が高くないので、あえてそれをやろうという気持ちが湧いてこない、というのが本当の所。ポジション的には二軍的な扱いです。
「小説」は作者ごと。ラノベやマンガも同様です。
最後は「実用書」。このエントリーを書きながら「実用書」という言葉を使うかどうか悩みましたが、とりあえず伝わりやすいのでこの言葉にしておきます。
実際の所「趣味書」もカテゴリーとしては実用書に当たるわけですが、内観的カテゴライズでは、この両者は異なった存在です。「メジャー:マイナー」「カルチャー:サブカルチャー」「メイン:サブ」に近い区別が私の中にはあります。本の量自体も前者の方が相当に多いです。
第一種カテゴリー
この「実用書」を収納してある本棚が、我が家では一番「新参者」です。それぞれの棚のピッチを変更できるので、買ったばかりの時はウキウキしながら「どういうレイアウトにするか」を考えていました。
とりあえずの第一歩として、基準となる高さを考える必要があります。
そこで、「文庫本の高さ」「新書の高さ」「ハードカバー類の高さ」などに合わせて、棚を作っていくうちに、なんとなく「本のサイズ」で収納する、という流れが生まれてきました。その方が楽ですし、綺麗に高さがそろっている状態は見た目にも美しいものです。
最初はそれでも問題ありませんでした。サイズごとに揃え、一度出した本は一番右手に移動させるという「押し出しファイリング」式の収納法。理想的です。しかし、そのルールは徐々に破られていきます。
最初の一歩
例えば「知的生産」についての本。
毎週一回シゴタノ!で原稿を書いていると、参考資料が必要になる場面がたびたび出てきます。はじめから目的の本が分かっている場合であれば良いのですが、「あれだっけな」「これだっけな」と思い当たる本を引き出し、読み返していると、机の上に「参考資料マウンテン」ができあがります。
で、それを再び本棚にしまう必要があります。
知的生産本は新書サイズが多いのですが、その時「まぁ、いいか」と文庫本__例えば「思考の整理学」__なんかも一緒に並べてしまう。こういうことがじわじわ増えてくると、一つの「整理」の終わりです。でもって、新しい「整理」の始まりでもあります。
結局、「知的生産」については専用のスペースを設け、そこに関連書籍を置いておくことにしました。アクセス頻度の高いものは、手の届く位置にまとめて置いておく。よくよく考えれば机の上の整理法とまったく同じシステムですが、これも、頻繁に本を参照するようになって、はじめてその必要性に気がつきました。
新刊コーナー
次に生まれたのが、「新刊コーナー」です。
新しい本が2〜3冊だったら机の上にでも置いておけるのですが、10冊とか20冊の未読本がある場合、そういうわけにはいきません。そこで、買ったばかりの本を並べるスペース__本棚のinbox__を作りました。
※ここで「そんなに本を買わなければいいじゃん」という指摘は一切受け付けませんので、あしからず。
当然、ここもサイズは無視です。買った本をただ右から詰めていくだけの簡単なお仕事がこなされているだけになります。
衝撃をうけるほどの本棚
「知的生産コーナー」と「新刊コーナー」の二つがあって、それ以外はサイズごとに並んでいる、という状態が長く続いていました。この状態に変化を加えたい欲求が生まれたのは、東京に行ったときのことです。
詳しく書くとエッセイ一本分になるので全て省略しますが、「松丸本舗」で受けた衝撃がその拠り所になっています。「こういう本棚もありか」という衝撃です。さらに、本棚の持つ役割や魅力についても考えることが沢山でてきました。
そういう衝撃に引きずられるようにして出来たがったのか、昨日紹介した本棚です。自分が興味を持っているカテゴリーに関係ありそうな本は、ジャンルやサイズの垣根を越えて並べていく、というのが方針になっています。
まだまだ未完成ですが、本棚を見たときに感じる気持ちに変化が生じたことは確かです。「松丸本舗」風に、見出しを考えて、本棚に貼っておくのもよいかもしれません。そういう行為の先に、新しい「本棚の意味」が生まれてくるような気がしています。
さいごに
梅棹忠夫氏は『知的生産の技術』の中で、次のように書いています。
ものごとがよく整理されているというのは、みた目はともかく、必要なものが必要なときにすぐとりだせるようになっている、ということだと思う。
サイズで並んでいても、カテゴリーで並んでいても、結局の所、行き着くのはこの問いです。
「すぐに必要な本を取り出せるのか?」
これにYesと答えられるならば、その本棚は「整理」されている、と言えるでしょう。むしろ大胆に、
「整理」するとは、使い勝手を上げること。
と言い換えてもよいかもしれません。
これは本の整理だけではなく、書類やタスクの整理に関しても同じことがいえるのではないでしょうか。
▼こんな一冊も:
知的生産の技術 (岩波新書) | |
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梅棹 忠夫
岩波書店 1969-07-21 |
知の編集術 (講談社現代新書) | |
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松岡 正剛
講談社 2000-01-20 |
センセイの書斎—イラストルポ「本」のある仕事場 (河出文庫) | |
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内澤 旬子
河出書房新社 2011-01-06 |
「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書) | |
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野口 悠紀雄
中央公論社 1993-11 |
知の現場 | |
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知的生産の技術研究会
東洋経済新報社 2009-12-23 |
思考の整理学 (ちくま文庫) | |
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外山 滋比古
筑摩書房 1986-04-24 |
参考になりました。
私も「新刊コーナー」を作ってみたいと思います。