0-知的生産の技術

創造性を促進する土台

『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』にIBMのゼネラルマネージャー、アダリオ・サンチェスの言葉が紹介されている。

スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則
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頭を働かせるしかない状況。少ないものから多くの成果を出さなければならない状況に追い込まれたとき、いつもの自分ではあり得ないほどの創造性やイノベーションが生まれるものです。

これに類することは、「創造性」について書かれた本の多くで見受けられる。

頭の尻を叩く

『アイデアのヒント』『創造性とは何か』『「超」発想法』『アイデアは考えるな』……、強くそのアイデアを求める気持ちや、ブレストでそれを出すことを求められている状況など、パターンはさまざまだが、「頭を働かせるしかない状況」が創造性のとっかかりになる、ということにはある程度普遍的な要素が見いだせる。

ケント・ルツの皮肉に満ちた次の言葉は、とても印象的だ。

人は空気がなくても数分間生きることができ、
水がなくても約二週間生きることができ、
食べ物がなくても二ヶ月ほど生きることができ、
新しい考えがなくても何年も生きることができる。

人間の脳は省エネ志向なので、必要が無ければそれほど活発には動いてくれない。働かせたければ、そうせざるを得ない状況に身を置いてみる、というのが一番だ。

毎日更新する、ということ

例えば、私は「ブログの更新はネタがなくなってからが勝負だ」というようなことをよく言う。

一応、私は毎日このブログを更新しているが、毎日更新そのものにはそれほど重きを置いていない。結果として毎日更新していることで得られているものがあることは確かだが、それは副産物的なものだ。それよりも、「毎日更新しよう」という心がけの方が自分にとっては大きな意味を持っている。

毎日更新していくということは、毎日「頭を働かせるしかない状況」に身を置くということだ。結果的に出てくるエントリーの質はまちまちだが、一日のうち、1時間程度は「頭を働かせる」タイムになっている。つまり、ブログの更新を創造力のトレーニング的に捉えている、とも言えるだろう。

もちろん、「ブログ」という存在の捉え方は人それぞれだ。どんなスタイルのブログであっても、それら一つ一つが「正解」である。小さいながらも一人の物書きとして、私がブログをどのように捉えているか、というのが今の話である。

なんにせよ、アイデアパーソンになりたければ、アイデアを出さざるを得ない環境に身を置くことだ。何かについて考えたいと思っているならば、それをテーマにしたブログを開設しても良いだろう。結局の所、これらは全てツールであり、何かしらの目的に応じて使っていくものだ。

もう一つの条件

では、そういう環境に身を置けば、それで準備万端かというと、おそらくそうではない。もう一つ、気をつけておくことがある。それを自己啓発的に表現すれば、「自分を信じること」、もう少し表現を変えれば、「アイデアがそこにあると信じること」だ。そこ、とは具体的な場所を指しているわけではない。

次の二つは、『アイデアのヒント』からの引用だ。

答えが存在するかどうか自信がないと、その答えを探し出すのは非常に難しくなりかねない。たくさん答えがあることがわかっているとき、そのうちの一つや二つ見つけるのは簡単なことだ。

「アイデアなんて考えつくはずがない」と自分に言い聞かせているうちは、アイデアは絶対に浮かぶはずがないのだ。

「唯一絶対の正解」を求め出すと、とたんに迷路にはまり込む。正解 or Not、というアプローチではアイデアの種は急に臆病になる。でも、「しりとり」ならどうだろうか。思い浮かぶ言葉はいくつも出てくるだろう。アイデアというのは、そういう類のものだ。

また、「私はしりとりなんてできっこありません」とか「ま、で始まる言葉なんて思い付きもしません」などと言っている人がいたら、しりとりがスムーズに進むこともない。そういうことを一度頭からすっかり追い出してしまい、まで始まる言葉ぐらい何か思い付くだろう、というある種楽観的な姿勢が必要だ。

思いつく言葉は、マティーニとかマグナ・カルタとか罷り通るとか、そういう格好いい__かどうかは分からないが__言葉ではないかもしれない。薪とかまつぼっくりとかまんだらけとか、そういうありふれた__かどうかも分からないが__言葉かもしれない。でも、何かしらは出てくるものだ。それが出発点になる。

さいごに

まとめてみると、つぎのようになる。

  • まず、頭を働かせるしかない状況に身を置く。
  • そして、自分でもなんとかなると信じる。

この二つ。

とてもシンプルだが、もしかしたら後者のハードルが人によっては高いのかもしれない。特に、周りの環境が「おまえなんて無理だ」みたいな視線で満ちあふれている人にとっては、よりその傾向は強まるだろう。

でもまあ、案外なんとかなるものだ、と書くことしか、私にはできないのだが。

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