物書き生活と道具箱

意識の矛先はふらふらと揺れ動く 〜集中環境作りの第一歩〜

ライフハック心理学さんで「016 SNSを「仕事向き」の環境に変える」というエントリーが上がっていました。いろいろ思うところがあったので、ちょっと書いておきます。

一方、原稿中にTwitterやFacebookに流れてしまうというのは、たいていの場合好ましくありません。ほとんどの場合、関係ない方向へ思考が流れて行ってしまうからです。

これは非常にまずい問題です。

私は意識的にこれを避けるために、そもそもそれらのサービスを開いておかないという選択をしています。

スカイプは必要な時しか起動しませんし、FacebookもTwitterもアプリを使わずWebオンリーのみでのアクセス環境にしてあります。

こうしておけばブラウザのシャットダウンと共に、SNSに繋がるものは何も無くなります。安心の環境のできあがりです。__手元にiPhoneが無ければということですが__

コンテキスト・スイッチング

「1時間集中して作業しよう」と考えたときに、60分間フルに集中することはなかなかできません。作業しようと意気込んでみたものの、SNSに脱線してしまい、「俺って駄目なヤツだな・・・」的な感想を抱かれる方がいらっしゃるかもしれませんが、そういうのは落ち込む所ではありません。人の集中力はそんなに長く継続できるものではないのです。

何かを考えていたときに、ちょっと「詰まり」を感じたら、注意の方向性をそらしたくなります。考えている対象から意識を背けたくなるわけです。その時は「何もしない」というのがベストな選択なのでしょうが、「何もしない」ほど難しいことはありません。結果的に、目の前にある、「簡単にできること」に意識がスイッチされます。

しばらくタイムラインを眺めて、「ふっと」気がついて作業に戻る。そして、また「詰まって」きたらタイムラインへの繰り返し。やっている作業が単純作業ならば、たぶん大きな問題にはならないと思いますが、もし意識を集中して行わなければならない作業の場合、これは「認知リソース」の大いなる無駄遣いです。

暖房を10分かけてから、冷房を10分かける、そしてまた暖房を、と繰り返して部屋の温度を維持する人はいません。しかし、集中力に関してはこれと同じようなことをしてしまいがちなのが人間です。

ここから先は通れません

集中しようと思っても出来ていない現実を直視したのは、「TaskPort」というアプリを使っていたときです。前述のように集中して作業するときは、ブラウザを落として作業しています。しかしながら、タイムラインにアクセスする手段は一つではありません。そして、タチの悪いことにiPhoneからは実に簡単にツイッターを閲覧することができます。

「メールを確認しようと思ったのに、いつのまにかタイムラインを見ていた」ということはないでしょうか。私はよくあります。iPhoneのロックを解除して、「Tweetbot」アプリを起動させる動きは、熟練した鍛冶屋が打ち下ろす槌のようにスムーズです。ほとんど無意識下の行動と言ってよいでしょう。

集中して原稿を書いている最中でも、ちょっと「詰まってくると」、ついついiPhoneに手が伸びます。それは、「タイムラインを見てやるぞ!」という意識的なものではありません。つまり、意識の矛先が変わっていることに自分では気がついていないということです。

しかし、「TaskPort」で作業リストを管理していると、ロック解除したときに表れるのは、無情に時を刻むタイマーと、今自分がやろうとした作業の名前です。この時になってはじめて、「自分がいま脱線しようとしていた」ということに気がつきます。
※もちろん、作業に戻ります。

興味本位で、その回数をカウントしてみましたが、驚くほど意識が作業から逃げようとしていました。たった25分間の集中であってもです。

息抜きですが、何か?

ここで問題にしたいのは、作業が脱線してしまうことそのものではありません。そうではなくて、作業と無意識の息抜きを往復することによる認知リソースの消耗です。別に正式な実験をしたわけではありませんが、「作業中」に行ったり来たりするのは単に疲れるだけだと思います。

意識的に「今から10分はツイッターを見るぞ!」と決意して(大げさかもしれませんが)、タイムラインにうつつを抜かすのは全然OKでしょう。

人間が何か作業しているときには、短期記憶的な領域にそれに関する情報がロードされていると思います。タイムラインを眺めたり、リンク先を読んだりする行為は、その領域に別のものを持ち込むことになります。で、作業に戻れば再び短期記憶に読み込み・・・と繰り返すのは、あまりまっとうな作業の進め方ではないでしょう。

こういうのは避けたいところです。

ひき

ここで考えておきたいのは、「意識の矛先」が変わりやすいのは、欠点や弱点というよりも、ほとんど当たり前の事だということです。

ある程度作業をし続けていると、「ゾーン」に入ったような感覚で意識がまったくそれなくなる境地にたどり着くことがありますが、毎回そうなるわけでもありません。それに「ゾーン」という言葉があること自体、私たちの意識が逸れやすいことを証明しています。

ようは、自分で集中しようと思っても意識の矛先が変わってしまう、というのをある程度前提に仕組みを考えた方が良い、ということです。リチャード・セイラーが言うところの「ナッジ」に近いかもしれません。「完璧な人間」を目指すよりは、はるかに現実的な対応です。

私の場合、ブラウザを落とすことでSNSにアクセスする心理的ハードルをあげ、iPhoneをTaskportでブロックすることで、意識の逃げ道をふさぎました。

でも、これだけが解ではないでしょう。これについては次回に続きます。

▼こんなアプリも:

Tweetbot — 個性あふれるTwitterクライアント 1.4.1(¥250)App
カテゴリ: ソーシャルネットワーキング, ライフスタイル
販売元: Tapbots – Tapbots(サイズ: 9.4 MB)
全てのバージョンの評価: (156件の評価)

TaskPortPro 1.0(¥450)App
カテゴリ: 仕事効率化, ビジネス
販売元: subakolab inc. – subakolab inc.(サイズ: 3.9 MB)
全てのバージョンの評価: (3件の評価)

▼こんな一冊も:

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