もしも、だ。もしも、何か戦隊モノ風の歌詞を作らなければいけない状況になったとしたら一体どうするだろうか。
机に座り、紙を広げ、ペンを持ちながら、何かが降ってくるのを待つ__そんなやり方では、事態はなかなか前には進まない。
かといって、事務的に「どこかで聞いたような歌詞メーカー」なんかを使っても、面白くもなんともない。
では、どうするか。
ブラックボックスたる我が脳に、いろいろな素材をつっこみ、ミキサーのようにかき混ぜ、余計なものをフィルタリングし、コップに注ぎ込む。複雑な技術も、天賦の才も必要ない。ショートカットキーもなければ、マクロも介在しない。これ以上ないぐらい愚直な方法だ。
でも、それが面白いのである。
インプット
例えば、そう例えばだが、仮にそういう状況になったとしたら、まずアクセスするのはYouTubeだ。
「戦隊 OP」あたりのキーワードで検索をかければ、バカみたいな数の動画が見つかる。これをひたすら見る。5?10?・・・いやいや、最低でも30は見ないと。「モノヅクリ」には金型が使われるが、それと同じように頭の中に金型を作らなければ、創作はなかなか進まない。
気になる曲を見つけたら、次はそれをひたすら聞き込む。リピート、リピート、リピート・・・。
あわせて、歌詞も検索する。これもネット上ですぐに見つかる。
それをテキストエディタに打ち込んでいく。コピペではなく、自分の手で打っていく。こうしていくと、おぼろげながら「それっぽさ」が見てくる。私たちが何かから感じる「それっぽさ」も当然いくつかの特徴から出来ている。どういう単語やフレーズが多いのか、言葉の使い方はどうなのか、そういったことを意識的に見ていけば、発見できるものも多い。
とりあえず、打ち終えたものはEvernoteに保存しておく。
素材を書き出す
次に待っているのは、素材の収集だ。
まず、iPadのノートアプリなんかに、専用のノートをつくり、思いつく限りのフレーズを書き出していく。その時は単語レベルだ。いきなり形には持ってけない。まずはざっくりと素材を眺める。
この作業は一日ではまず終わらない。日常に、時々浮かんでくるフレーズをとりあえず書き留めていく、そんな地味な作業である。
ある程度数が出てきたら、それを片手に置いて、「見本」__自分でテキストエディタで打ち込んだ本物の歌詞__をいじる。ようは手本の中のフレーズを自分の出したフレーズに置き換えてみる、ということだ。こういう作業をこなすと、自分では考え付かなかったような言葉の組み合わせも見つけることができる。
かたちをつくる
ここまできたら、一度全ての素材を無視して、白紙に向き合う。
紙とペンだけで、ゼロから「詩」の形で書き出してみる。この時は、全ての素材を使えなくても気にしない。とりあえず頭に浮かぶものだけで、一通り書いてみる。ぴったりする言葉が見あたらないときは、その部分を空白にしておけばよい。
もし、うまく進まないならば、素材が足りていないか、自分の中でイメージが固まりきっていないか、のどちらかだろう。そういう時は何度かリテイクが必要かもしれない。
とりあえずでも一通り出来たら、素材ノートを見返しながら、空いた部分に適切なものがないかを探していく。すでに書いたものでも、別のフレーズが「よさそう」ならばそれに置き換える。なぜ先に一通り書いてしまうかというと、そうしないと「よさそう」という感覚的な判断ができないからだ。この辺のバランスはなかなか難しい。
後は、文字数を合わせたり、タイトルを考えたりして、とりあえずは終了だ。本来は、これを口に出して、メロディーに乗せて歌ってみることで、さらに調整を加える必要があるだろう。でも、それは別のお話である。
さいごに
とまあ、「もし私が何かの歌詞を作るとしたら、こういう方法をとるだろうな」というテーマについて書いてみました。
作品の質はどうあれ、何かしらをゼロから作り上げるというのは、なかなか手間のかかる話なのです。このブログみたいに、朝起きて、エディタを開いて、適当に思いついたことをツラツラ書く、という風にはいきません。
※もちろん、金型や素材のストックをすでに持っている人にとっては別の話でしょうが。
でも、なんだかんだで、そうやってごちゃごちゃと考えるのも楽しい作業です。我が家の黒歴史ノートからは、そういう作業の足跡をたくさん見つけることができます。
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