ブログ「iPhoneと本と数学となんやかんやと」さんの「最近立て続けにやらかした、3つの種類の「忘れ物」」というエントリーで、どのように忘れ物をしてしまうのか、ということが考察されていました。
今回の3つの忘れ物は、どれも職場と自宅でのもののやり取りをちゃんと行えなかったことが原因で起こっています。ちょっと考えれば防ぐ手だてのある忘れ物ばかり。でも自分がどんな忘れ方をするのか、前もって予測しておくことってなかなか難しい
確かに、事前に自分のミスを完璧に予測するのは難しいですが、一度起こしたミスを記入しておくと、かなり対策が立てやすくなることは確かです。
この辺は『人は、なぜ約束の時間に遅れるのか』あたりが参考になるかもしれません。あるいは『行動分析学入門』という本も面白いです。
さて、上のエントリーのような「問題」を見つけると、「じゃあ、自分ならどうするか」とついつい考えてしまうのが私の悪い(あるいは良い)癖です。
自宅と職場で書類を行き来させるのを忘れないようにするには、どのような方法を取ればよいでしょうか。
コンビニの書類移動
コンビニでは、店舗の売り上げデータが毎日本部に送信されています。これらは電子的なデータですが、実はそれ以外にも紙の書類などもやりとりされています。
代表的なのが、領収書。レジから出金した経費の領収書は全て本部に送ることになっています。これ以外にも店舗から本部へ送られる紙の書類というものが結構あります。
それらは、専用の「袋」があり、その袋に贈るべきものを詰め込んで、商品配送のドライバーに渡すという手順になっています。ちなみに、それは中身が空でも(そんなことはまずありませんが)ドライバーに渡すことになります。
もし、必要な時だけその袋を渡すという手順であれば、きっと「渡し忘れ」は頻繁に発生するでしょう。ルーチンワークにないことはすぐに忘却されてしまいます。たとえ、中身がからでも袋の受け渡しがルーチンに組み込まれていれば、渡し忘れの確率はぐぐんと減ります。
例えば、一週間に5回飲む必要がある薬の場合、5回飲んで2回飲まないという形にするよりは、5個の薬と2個の無害な(小麦粉でも詰めた)疑似薬を「毎日」飲む方が、忘れにくいという話もあります。
専用のファイル
上の考えを応用すると、職場と自宅間の「受け渡し」になるクリアファイル(あるいは封筒)を準備する方法を思いつきます。
職場について、自分の席に座ったら真っ先にそのファイルを出す。帰るときは、一番最後にそのファイルをカバンに入れる。家に帰ったときも、同様です。
家に言えるときに、「そういえば、あの書類持って帰らないと」と思いついたら、その瞬間に付箋にでもそれを書いて、そのファイルに貼り付けておけばOKです。逆に職場にいるときは「これ持って帰ろう」と考えた瞬間に、それをファイルに入れてしまいます。今すぐ入れられない事情があるならば、付箋で対応できます。
この場合、専用のファイルが一つの「リマインダー」になっていると言えるでしょう。
この形が実現できるならば、ややこしいことを考えなくても、職場と自宅で書類の移動を忘れることはなくなるでしょう。
一番の問題点
が、問題は、そのファイルを出したりしまったりすることそのものを忘れないか、ということです。これを習慣化できなければ、いくらファイルを準備しても意味がありません。
これは、どの程度職場と自宅で書類を行き来させるかという頻度の大きさに関わってきます。一ヶ月に一回程度しかないならば、タスク管理系やカレンダーアプリのリマインダーを使った方が手っ取り早いです。
先ほどの例ならば、週一回の薬を飲むために、週6回の偽薬を飲むのは馬鹿げているように感じるでしょう。そして「馬鹿げている」と感じることを習慣化する気持ちはあんまり湧いてきません。
ある程度頻繁に移動させるならば、カバンの中に一つ専用のファイルを置いてみてもよいでしょう。それを見れば「何かを移動させる」ということを思い出すような存在になれば、完璧です。
最初は目立つファイルを使って、カバンを開けたらそれがすぐに目に入るという状況を作ることで、ファイル運用の習慣化の手助けになるかもしれません。
さいごに
「書類の持ち帰りなんて、ちゃんと覚えてたら忘れないだろう」
という方には、上のような方法論はかなりバカらしく見えることでしょう。
でも、私は自分自身がものすごく物忘れをするという事にかけては、絶対の信頼を置いていますので、それについて対処するのは全然面倒ではありません。
単純に、どうすれば人の行動を変えられるのか、あるいは助力となるシステムを作れるのかについて考えるのが好きなだけかもしれませんが。
▼こんな一冊も:
行動分析学入門 ―ヒトの行動の思いがけない理由 (集英社新書) | |
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杉山 尚子
集英社 2005-09-16 |
人は、,なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」 (光文社新書) | |
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島宗 理
光文社 2010-08-17 |