【レビュー】 「考える人 2011年夏号」〜追悼特集 梅棹忠夫

特に買うつもりは無かったのですが、ぱらぱらとめくっていたら糸井重里さんのインタビューがあったのでうっかり購入してしてしまいました。

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以前この記事でも紹介した「ウメサオタダオ展」に糸井さんが訪れたときのインタビューです。これがなかなか読み応えあります。

糸井さんのお話の中から印象深いものをいくつか紹介してみます。

「見えない道具」について

つまり、車輪の発明みたいに、持って帰ったらみんなが使えるというところが梅棹さんの研究のすごみで、「モンゴルで羊を見ていた」という話も、これが分かれば他のことも分かる、というふうなツールとして見えるんです。

これとても大切なことなんじゃないかと思います。「これが分かれば他のことも分かる」というツールとしての思考法とか、情報の見方というのはきっとあります。それに対して「わかりやすいけど、これしか分からない」という行き止まりのようなものもあります。応用性や発展性があるかないか、というのは(個人的には)大きな差異に感じられます。

上の文章の少し後には、こういう言葉もあります。

これを支えているのは、興味なんでしょうね。おもしろいと思う理由は本人にもよく分からないけれども、興味とともに歩き出す。そこが格好いい。

「興味とともに歩き出す」という言い回しがグサッと刺ささりました。確かにそういう人は格好いい気がします。逆に言うと自分の興味と正面から向かい合っておらず、別のものを目指して歩いている人は・・・、まあこれはいいです。

見えない道具も見える道具もつくっていて、ほかの人に「どうぞ」と使わせてくれています。

確かに「見えない道具」は沢山受け取った気がします。例えば『知的生産の技術』で取り上げられているカードですが、あれはカードという「見える道具」よりも、その背後にある情報の扱い方という「見えない道具」の方が強い影響力があります。カードを使うことそのものに意味があるのではなく、「頭ではなく別の場所に記録しておく」「それらは分類するのではなく、配列し、そして検索する」という情報の扱い方を知ることに意味を感じます。

その情報の配列を行う主体は、個人なのか、集団なのか、それともコンピュータアルゴリズムなのかは、さまざまな広がりがあるでしょう。しかし、配列し、検索するという扱い方をすることで、一つの情報が元の文脈から切り離され、別の文脈に置かれる可能性を持ちうるという点は共通しているでしょう。

もう少し引用を続けます。

本当にいい考えというのは、大したことのないものとそっくりなんですよ。

だから、「考え」は選別せずに、ひたすら集めるのが良いです。

これに関連して、ほぼ日手帳の「きっかけ」についても書かれています。

一番のきっかけというのは、自分が海外に行った時にこれはおもしろいと思って書き付けていたことが、後から読んでもやっぱりおもしろいと分かったからです。書けば書くほど、改めて読むとおもしろいと分かったからです。

これは、ブログを書いている方、あるいはほぼ日手帳やモレスキンに日々書き連ねている方ならば、同感できるかと思います。後から読み返すと、ほんとに面白いんです。こういうの。一度おもしろさを知ってしまうと、誰に強制されるわけでもなくその行動を取ってしまうんですね。たぶん、日々の食事をiPhoneで撮影されている方なんかも同様でしょう。それをやっていない人からすると「面倒なことしているな〜」という風にみえるかもしれませんが、やっぱり本人は何かしらの「面白さ」を感じているんですね。そればかりは一度体験してみないと何とも言えないのではないかと思います。

この少し後にこう続きます。

ふとしたことで目にした光景も、言葉から受ける反応も、自分がなんでこんなことにこだわってたんだという発見も、気づけばとにかく書いた。すると、それ自体が役に立たなくても、その隣の隣には、もう宝の山が埋まっている。そんな経験がたくさんありました。

こうした「記録」を残していく行為が、全ての人に取ってプラスになるかどうかは私には断定できませんが、個人的にはとても意味あることだと感じています。もし世界線を移動して、まったく記録を残してこなかった自分と遭遇したら、全然別の人間になっているんじゃないか、という気すらします。

梅棹忠夫さんは「人生をあゆんでいくうえで、全ての経験は進歩の材料である」という言葉を残されていますが、その材料にするためにも記録を残しておくという行為には意味があるのではないでしょうか。

さいごに

と、大半インタビューの引用で構成しましたが、それ以外の「梅棹忠夫」話も「考える人」にはたくさん載っています。

興味ある方は書店でぱらぱらと立ち読みされると良いでしょう。私と同じ末路を辿るかもしれませんが。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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