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仕事の渋滞に対する二つのアプローチ(2)

Posted on 2011 年 10 月 22 日2017 年 4 月 30 日 by Rashita

※(1)の続きです。

前回は、高速道路をクローズドすることで、全体の最適化を進める「ランプメータリング」について紹介した。高速道路に進入する人に待ち時間を設けることで、全体の所要時間を減らすという仕組みだ。

今回は、もう一つの手法「ファストパス」を紹介してみる。これはまた別の方向からのアプローチになっている。

ファストパスとは?

ディズニーが2000年から導入している「優先入場予約」システムが「ファストパス」だ。『ヤバい統計学』よりファストパスの説明部分を引用しておこう。

人気アトラクションの前に着いたら、通常の「スタンバイ」の列に並んで順番を待つか、あるいはファストパスを発券し、パスに指定された時間に戻ってきて優先入場口に並ぶこともできる。ファストパスの列はスタンバイの列よりかなり速く進むため、指定時間内に並べば待ち時間は5分程度で済む。アトラクションの前にはスタンバイの予想待ち時間と、ファストパスを発券したした際の指定時間が表示されている。

これが、ファストパスの仕組みである。

イメージとしてはアトラクションの前には二つの列があり、片方は通常の「スタンバイ」、もう片方は「優先」。この優先に並ぶためには「ファストパス」を発券しておき、指定された時間に戻ってくることが条件となる。

もし、あなたが「スタンバイ」の列に並んでいるとしたら、するすると進んでいく「ファストパス」の列に憧れ(あるいは嫉妬)を感じるかもしれない。

しかしながら、ちょっと冷静に考えてみると別に感情を沸き立たせるほどのことが起きているわけではない。

ファストパスを発券した人も、実質的な意味ではアトラクションに乗るのを「待っている」のだ。

アトラクションの前に来てファストパスを発券した人は、すぐにそれに乗れるわけではない。指定された時間にもう一度やってくる必要がある。その時間はもしかしたら、そのタイミングで「スタンバイ」に並んでアトラクションに乗るのにかかる時間よりも遅いかもしれない。

違いがあるとすれば、その待ち時間を列に並んで過ごすのか、それとも別の場所で別のことをしながら過ごすのか、という違いでしかない。

しかしながら、その違いは大きい。

ファストパスの魔法

ファストパスは、施設の容量も変えていないし、人々の待ち時間そのものも短縮させていない。これが「ランプメータリング」との違いだ。ランプメータリングは実際の所要時間を減らしている。しかし、ファストパスにはそのような魔力はない。

ファストパスは、実際に待っている時間ではなく、私たちが感じる待ち時間に魔法をかける。長い行列に並んで、イライラと待つのではなく、食事を楽しんだり、周りの風景を写真で撮影したり、といった別の時間の使い方を提供する。つまり、待っているのだが、待っている感覚を発生させないという発想の転換だ。

そして利用者にはこちらのほうがウケがよいらいし。

すくなくともランプメータリングは始まったばかりの時には大いに不評を買ったようだ。信号一回につき、一台しか通れないなんて一体どんな仕組みなんだ、というわけだ。人は待たされるのが嫌いである。実際は待たされていると感じるのが嫌いである。たとえ、最終的に到着できる時間が短くなっても、待たされる嫌悪感から、その仕組みを拒否する人がでてきてもおかしくはない。

ファストパスの活用

ついでなので、『ヤバい統計学』に紹介されている「ファストパスを最大限に活用する方法」も引いておこう。

  1. グループの「ファストパス係」を決める。その人が全員分のパスポートを持ち、1日中パークを走り回って全員分のファストパスを発券して、指定時間にも気を配る。パパの出番!
  2. 常に1枚以上のファストパスを持っていること。つまり、常に少なくとも1つのアトラクションに乗る時間が決まっている。パークに入場したらまず1枚手に入れて、その後はできるかぎり多く発券しよう。

これ以外にもあと二つ紹介されているが、今回はこの二つに留めておく。

この二つ目が鍵になるだろう。「常に1枚以上のファストパスを持っていること」。つまり、何かしらの行動をしている時は、それが何かの待ち時間になっている状態を作っておく、ということだ。

これがファストパスを活用して、最大限アトラクションを楽しむためのコツになるのだろう。

例えば、1時間30分後のファストパスを持っていれば、1時間別のアトラクションの列に並び、それを楽しんだらすぐさま元のアトラクションをファストパスで楽しめる。
※もちろん、そのアトラクションに行く前には別のファストパスを発券しておくこと。

究極の遊び方

上の活用方法から考えると、「究極の効率的なまわり方」は次のようになるだろう。

つまり、朝一にパパが全アトラクションの半分を必死に回る。頑張れパパ!。で、一番最初のファストパスまでは軽く朝食。

1番目のファストパスタイムが来たら、あとはその時間に近いものからどんどん消化していく。朝一に回っているので、アトラクションごとの指定時間はそれほど大きくずれないだろう。多少間が空いたときには休憩するか写真でもとっておくとよい。逆にアトラクション間の距離が遠く、時間が短いならばダッシュで駆けつけないといけない。間に合わなそうなものや、時間がかぶってしまっているものはおとなしく諦めてしまう。どうせ一日で全部乗ることなどできないのだから。

一通り回ったら、お昼だ。家族がゆっくり食事に行っている間にパパは必死で午後の分のファストパスを発券して回る。頑張れパパ!負けるなパパ!。後は午前と同じ繰り返しだ。

このように、全てのアトラクションに「指定時間」を持ち、ファストパスからファストパスへと乗り継ぐように移動していけば、待ち時間はほとんど発生しないだろう。
※もちろん、このやり方はあくまで思考実験でしかないので、現実のディズニーランドでうまくいかないとしても私は責任が取れない。

コンテキストリスト

で、これをタスクマネジメントに置き換えるとどうなるだろうか。

これは「コンテキスト」+「次の行動」の実現とほとんど同じ仕組みであることに気がつく。ファストパスの場合はその「コンテキスト」が「指定時間」という形になっているだけだ。

ほとんど完璧なコンテキストリストを持っていると「待ち時間」は存在しなくなる。30分ほど空き時間が出来たら、その時間・その場所・その環境で出来ることをリストから探して実行する。形的には30分待っているわけだが、本人としては待ち時間ではなく、別の作業時間という形に変換されている。非常に効率的だ。

ただし、その環境を実現するためには、パパがアトラクションを回ってファストパスを発券したように、事前にタスクをコンテキスト別に割り振っておく必要がある。自分がやるべきことを全て管理して、それを適切なリストに振り分けて、コンテキストで引っ張れるからこそ、「待ち時間」が待ち時間でなくなるわけだ。

仕事の量そのものは変わっていない。しかし、行列に並んでイライラしているような感覚はずっと減るだろう。むしろ自分が状況をコントロールしている感覚が得られるかもしれない。その点が大変重要だ。

さいごに

ということろで長くなってきたので、続きはまた次回。

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