「タスク」の研究

仕事の渋滞に対する二つのアプローチ(5)

(1)(2)(3)(4)の続き的な感じです。

前回の「じゃあ、どういう流し方をするのか」の引きからの続き。

それについて考える前に、どういう状況がまずいのか、を考えてみる。

やってはいけないスタイル

一番まずいのは「目についたものから取りかかる」という方法。この場合「気がついたもの」とか「思い付いたもの」という表現に置き換えてもよい。

これは高速道路にどんどん車を進入させてしまうのと同じことである。結果的に何かしらの弊害が起きる。

ただし、そもそもの交通量が少ない場合はこの方法でも問題はない。やれる時間に比べてやることの量が多い場合、「目についたものから取りかかる」という手法では高い確率で「渋滞問題」を引き起こしてしまうということだ。

では、「目についたものから取りかかる」以外の手法を行えば良いわけだが、実装の方法はかなり多様である。できれば基本となる共通項を見つけ出したい。

二つの仕組みにある共通項

前回までの連載で紹介した二つの仕組み:「ランプメータリング」と「ファストパス」に共通しているものは何だろうか。

一つは、全体量の把握。そしてもう一つがフローのコントロール。この二つの仕組みが共通項と言えるだろう。

ランプメータリングは、実際に道路を走っている車の量を監視している。もちろん監視が目的ではなく、走行している車の量が多くなって来たのを感知して、進入する車を制限するのが目的だ。

ファストパスでも基本的な部分は同じである。ファストパスの指定時刻を決めるためには、今並んでいる人の数、これまでのファストパスの発券量、消化する時間、を把握することが必要だ。そして、普通の列と優先列という二つの列を作ることがフローのコントロールにあたる。

先ほど、二つの仕組みと書いたが、実際はフローをコントロールする仕組みを作るためには、全体量を把握する仕組みが必要ということだ。

私が「マスタータスクリスト」という概念で提示したものも、この「全体量を把握すること」とイコールだ。最終的にどのような形で配置するにせよ、自分がやるべきことがすべて把握出来ていなければ、形を作ることはできない。全戦力を把握せずに、戦略など立てようもない。

現実的に、道路の交通量を観測することは、そういったシステムを導入すれば簡単である。同じようにマスタータスクリストを作ることそのものは難しくない。ただ、それを作ることそのものが目的ではない。そこからフローを組み立てるのが目的になる。

フローのコントロール

今すでに存在しているタスク管理の手法は複数あるが、フローのコントロールについて注目すると、いくつかのバリエーションに分けられる。これは以前にも書いたが、タスクに何かしらのメタ情報を添付する形で実装されている。例えば「実行日時」であったり、「すべき状況」であったり、といったことだ。

これはある意味でタスクの「列」を作っている、とも言える。

ランプメータリングの仕組みでは、道路が許容できる交通量以上の車は走れないようになっている。同様に、一日で処理できるタスクの量だけを「その日のタスク」に設定する、というタスク管理の仕組みがある。

原理的に考えると、これは渋滞が発生しようがない。

これを逆から見れば、それ以外のタスクは「明日以降」という列に並ばせておき「本日分」に侵入させないというのと同じことだ。

また「時間が決まっている作業」と「時間ができた時にやる作業」という二つの列を作る、というタスク管理の手法もある。
※正確には「しばらくやらない」というもう一つの列もある。

あるいはこの中間的な方法論も考えられる。

どちらにせよ、渋滞問題に対処するために行列を作るというなにやら逆説的なアプローチがフローのコントロールになっている。

混沌と狂乱

例えばだだっぴろい広場にものすごい人数を集めておいて、「皆さん今すぐ逃げてください」と声をかけたらどうなるだろうか。しかも出口は一カ所しか無いとする。それはもう悲惨な自体になるだろう。「渋滞」なんて言葉ではまったく表現が足りていないはずだ。

誰しもが一目散に逃げだそうとするはずだし、力の強い人や、足の速い人がその恩恵にあずかれるかもしれない。

しかし、冷静に考えてみると出口が一つしかないのならば、物理的に逃げられる人にはどうしたって「順番」が存在してしまう。量子的存在でも無い限り、二人の人間が同時に出口を抜けることはできない。そして二人の人間が同時に逃げようとして出口でぶつかり、その二人だけではなく後の方にいる人にまで影響を与える、そういう混沌状況が最悪の「渋滞」状態だ。

もし、そこにいる全ての人のリストがあれば、「年齢順にならんでください〜」とか「年収順に列を作ってください〜」などと指示することができるだろう。そうして列を作り、年齢順(あるいは年収順)に一人一人出口に誘導すれば、出口が混沌とすることはない。あるいはけが人を優先することもできるだろう。
※もちろん、指示に従ってくれれば、という前提がつくが。

さいごに

本当はもうちょっと具体的な方法論について書く積もりだったが、相変わらず抽象的な話に始終してしまった。

とりあえず、タスク管理については、タスクの「列」をどのように作り、それをどう出口に向かって誘導していくか、を考えることが「渋滞問題」を避けるためには必要だ、ということを考えてみた。

忙しいからと言って闇雲に仕事をすれば問題は解決するどころか、よけいにややこしい事態になりかねない、という点は頭の地下15Fぐらいにでも保存してもらえるとよいだろう。

とりあえず、まだ続きます。

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