新しいアイデアを考える方法は、さまざまあります。
その中でも簡単に使えて、なかなか強力なのが「類推」です。カタカナだとアナロジー(Analogy)。
Wikipediaで意味を引けば「特定の事物に基づく情報を、他の特定の事物へ、それらの間の何らかの類似に基づいて適用する認知過程である」とあります。よくわかりませんね。
じゃあ、実際にちょっとやってみましょう。
考えるお題は「Blogの新コンテンツ展開」。アナロジーとして持ち出すのが「音楽」です。
類似性の確認
Blogはブロガーという中の人がいて、その人が持つ情報やメッセージを他の人に向けて発信するという、一種の表現活動です。
これは音楽活動でも同じ。また、一口に「音楽」といっても中にはさまざまなジャンルが存在し、コンテンツの展開方法も多様、という点も共通しています。
「音楽」にどんなコンテンツが存在するのかを考え、その対比の中でブログの新しいコンテンツ展開を見出す、というのが今回の流れになります。
マップに書き出し
では、ざっと「音楽」について要素を書き出してみましょう。何を使ってもよいですが、今回は手描きマインドマップで簡単にやってみました。
特に「正解」はありません。その人が持つ知識や情報が多いほど、これらのマップは巨大になっていくでしょう。
これを素材にしながら、考えを進めていきます。
類推を進める
ミュージシャンがシングルの曲を発表する。これをブロガーがブログ記事を一つ書くことに対応させておきましょう。
となると、まずB面、はちょっと古いか・・・、「C/W」(カップリング)という概念が持ち上がってきます。おまけ的要素ですね。
これは「編集後記」の形で表現されている記事もあります。あるいは本題に関係ない要素を「欄外」や「コラム」の形で書いてみる、という展開方法もあります。
「アルバム」
さて、記事一つをシングルとするならば、次に出てくるのが「アルバム」の概念ですね。複数の記事をまとめたもの。例えば、一定の期間の記事をまとめた記事。あるいは特定の企画の記事をまとめた記事。こうしたものはすでに存在しています。
あるいはコンセプトアルバムのように、先にコンセプトを設定し、それに基づく記事を複数書いてみるという連載記事の形もあります。
さらに「カバー」という概念はどうでしょうか。他の人が書いた記事のテーマと同じものを自分で書いてみる。単一の記事でもできるでしょうし、連載企画のカバーなんかも考えられます。さらに「セルフカバー」なんかもありですね。1年前と同じテーマで書いてみる。すると自分の考え方や文章の紡ぎ方の変化が楽しめるかもしれません。
こうしたものはブログ記事としてまとめるだけではなく、電子書籍の形で実際の「アルバム」のような感じで展開していくことも可能でしょう。
コラボ
もう一つの方向で注目したいのが、他の人とのセッションです。
例えば音楽では「コンピレーションアルバム」なるものが存在します。あるテーマの元に複数のアーティストの楽曲を集めてアルバムにしたものです。同じように複数のブログにまたがる同一のテーマの記事をまとめる、という方法論はありでしょう。最近のキュレーションサービスを使って似たようなことが実現されている事例も見かけます。
あるいはfeat.(featuring)なんかもありますね。これはブログでは寄稿の形になるでしょうか。
またコラボレーションなんかもあります。一つの記事を50%ずつ書くというのもありでしょうし、単純に二人のブロガーが対話型でコンテンツを作る、というのもあります。
一歩進めて、有名なブロガーにプロデューサーになってもらう、みたいなこともありえるかもしれません。
他の人の記事に触発される、オマージュやインスパイアは昔から豊富ですね。
その他
ジャンルでは「Fusion」という考え方があります。複数のジャンルの融合といった感じ。
私はこの手のタイプの記事を書くのが結構好きです。ノウハウ+エッセイ、とか書評+エッセイとか、ツール+ノウハウ、とかそういう記事。テンプレが存在しないので書くのに少し苦労しますが、Going My Wayな感じがして楽しいです。
また、文章の書き方として「インプロビゼーション」という概念を持ち出すこともできそうです。といっても、このR-styleはほぼ即興的に書かれているので、いつだってアドリブという感じですが、もう一歩進めて他の人の前でブログをライブで書くというのも一つのコンテンツとしてはありかもしれません。
あるいはオーケストラのように、複数人が同時でブログを更新したり、とか。
クラシックに話を展開させれば、モチーフや通奏低音、対位法などは文章の書き方に応用できるかもしれません。
さいごに
と、「ブログ」と「音楽」のアナロジーを用いていろいろ考えてみました。書き出してみるとわかりますが、「コンテンツ展開」に限らず、さまざまなテーマに思考が広がっていきます。こういのが類推の面白いところです。
こういう風に一つの事柄をもう一つの事柄に対比していくと、概念同士の関係がすっきり理解できるというメリットもあります。
そして、もし対応しないもの__つまり、AにはあるけどBにはないもの__を見出すことができれば、それが新しいアイデアの種になりえます。
アイデアを生み出す方法はたくさんありますが、こういう類推的発想法も押さえておくとよいでしょう。
▼こんな一冊も:
アイデアのつくり方 |
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ジェームス W.ヤング 竹内 均
阪急コミュニケーションズ 1988-04-08 |
EVERNOTE「超」知的生産術 |
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![]() |
倉下忠憲
シーアンドアール研究所 2011-02-26 |
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