近頃、有料メルマガがおもしろい

4月に入って、二つの有料メルマガを購読するようになりました。

これまでは、有料・無料問わず、(他人の)メルマガには興味を持っていなかったことを考えると大きな変化です。

これは、いろいろなジャンルの著者(というかコンテンツメイカー)が有料メルマガに参入してきた点が大きいと思います。つまりは、メルマガ界隈が盛り上がってきた、ということです。

その結果、「ジャーナリズムの最前線」とかにあまり興味がない私も購読したくなるようなメルマガが登場してくることになったのでしょう。ありがたいお話です。

今メルマガに注目が集まる理由

なぜ、(やや今さら感のある)メルマガ界隈が盛り上がりだしたのか。

その理由は、日本の電子書籍業界がまだまだイマイチ感があるから、ということでしょう。

個人が、自分の裁量でコンテンツを作り、読者に対価をいただく。

この目的を達成するために「電子書籍」は非常に魅力的な媒体に思えます。書籍のように「市場の原理」でコンテンツの方向性が決められる確率が低く、Blogのように無料で情報を提供するわけでもない。いいとこ取りの媒体です。

しかし、今(日本の)電子書籍業界を見渡して、個人の発信者が「よし、ここ!」と錨を降ろせるような港は残念ながら見当たりません。
※この部分の分析は本題から外れるので割愛します。

メルマガは仕組み自体は昔からあり、すでに親しみのあるものです。それに「メール」という媒体はクラウドを介することで様々な電子端末で読むことが可能です。「身近さ」という点では、今の電子書籍(の多く)よりもよっぽど本に近い感覚があるかもしれません。

また、メルマガは「双方向」である点も見逃せません。多くのメルマガでQ&Aのコーナーがありますが、それは別に「マーケティング的に有効」や「コンテンツの補充」という理由だけではなく、コンテンツメーカーの方がQを欲しているという理由もあるでしょう。

単純に、困っている人を助けたいという気持ちもあれば、「何を知りたいのかが知りたい」という気持ちもあります。適切な問いを立てることの難しさは、改めて力説するまでもありません。

ソーシャルメディアを使っている人であれば、「読者」とやり取りできることの面白さは実感しているでしょう。このやり取りが実現できるのは非常に魅力的です。

しかも有料メルマガでは、ツイッターのようなオープンなソーシャルメディアと違って、「なんだかよくわからない人」に絡まれる確率がぐぐんと下がります。というか、ほとんどないかもしれません。そういう人は分量の多い有料メルマガを購読するほどヒマではないでしょう。
※もちろん、まったくゼロではないでしょうが。

もう一点、有料メルマガのポイントを上げるとすれば、毎月収入が発生する、という点です。ジョブチェンジして、フリーランスになって実感することは「毎月、給料がもらえることのありがたさ」です。どこかの雑誌で連載を持つことができる人など限られているでしょう。でもって定期的な収入がないというのは、なかなかに不安定です。あるいは不安定な感じがします。

『ブラックスワン』の著者であるタレブは

「中毒になったら一番ひどいことになるもの三つ。ヘロイン、炭水化物、そして月給」

と皮肉な言葉を書いていますが、確かに月給には中毒性があるかもしれません。それはタバコと同じで止めてみて初めて実感できるものです。「毎月お金がもらえる」「もらえない」ということの差は、単に金額的な差ではなく、心理的に大きな差を生むのではないかという気すらしてきます。

話が脱線してきたので、簡単にまとめましょう。

  • 自分の裁量でコンテンツを作ることができ
  • 読者と対話が可能で(しかもちょっぴり閉じている)
  • 毎月、収入が発生する

というのが有料メルマガのメリットです。

広告主も、アフィリエイト用の宣伝文句も、考える必要はありません。書きたいことを書いて、それに対価を払う価値を認めた人がお金を支払う。とてもシンプルな仕組みです。物書きにとっては、一昔前の「同人誌」(著作権的にグレーなやつじゃなくて)に近い感覚があるのかもしれません。

コミットメントを背負い込む

しかし、(当たり前ですが)自分が決めた「配信周期」はきっちりと守らなければなりません。週に一回や月に三回など、メルマガによって頻度は違いますが、それを守ってナンボなのがメルマガです。特に有料ならばなおさらでしょう。

Blogは別に商品ではないので、「今日は更新やーめた」が可能ですが、メルマガでそれを続けるといろいろな「ペナルティ」が発生します。それは現実問題としてのペナルティと、信用問題としてのペナルティです。それを避けるためには、せっせこと文章を書き続ける必要があります。

私の場合であれば、週に一回の配信で、おおよそ一回分が1万文字。一日に2000字程度を5日続けて、残りの一日で「メルマガ」の形に仕上げる、という書き方をしています。これを一ヶ月続けると月に4万文字程度。3ヶ月分で一冊の本の分量になります。

メルマガなんて書くの楽だろう、と考えている人はちょっとだけこれを踏まえておいてください。一年間で4冊の本が書ける程度の文章量を書くことになるのだ、と。もちろん、一日に視点をあわせれば2000字ですし、1時間ぐらいのものです。それに「書きたいこと」を書いているので、筆もスイスイ進みます(私の場合)。

それでも、一日に一時間程度はメルマガに時間を使うことになります。逆から見れば、一日に一時間ぐらいの何かを放棄することとイコールです。

もしメルマガ(特に有料)を始める方は、「一年間の中の、一定の時間をメルマガに使うことになる」という点を十分に検討されてからの方がよいでしょう。

メルマガの提供環境

メルマガの提供の仕方は大きく分けて二つ方法があります。

一つは、メルマガサービスを利用すること。
もう一つは、独自のメルマガサービスを作ること。

メルマガサービスでは「まぐまぐ!」が有名どころです。

私のメルマガもこの「まぐまぐ!」さんから提供させていただいています。

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あと、最近私が購読し始めた

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」

も「まぐまぐ!」さんで提供されています。その他「有名人」のメルマガもさまざまラインナップされています。

「まぐまぐ!」は誰でも気楽に始められるのがポイントで、ごくごく普通のブロガーが有料メルマガを始める場合、検討するサービスの一つでしょう。

また、「夜間飛行」というメルマガサービスもあります。

津田大介のメールマガジン「メディアの現場」(公式RTでおなじみの)

やまもといちろうのメールマガジン「人間迷路」(最近購読しはじめました)

などが提供されています。このBlogをお読みの方の中にも、津田さんのメルマガは購読されている方がいらっしゃるかもしれません。

著者一覧のページをみると有名人がずらずらと並んでいます。名も無きブロガーがちょこっと参加、というわけにはいきません。ちょっとした目標地点、という感じでしょうか。

この「夜間飛行」は通常のメルマガだけではなく、ePub版も準備されています。

分量の多いメルマガは、iPhoneやiPadのiBookで読むと非常に快適です。でもってiBookで読んでいると、それが「メルマガ」であるのか「電子書籍」であるのかがだんだん曖昧になってきます。というか、「別にどっちでもいいよね」という気すらしてきます。読者にとって、そのカテゴリーがどういう名前を付けられているのかに意味はありません。

「コンテンツを読む」という体験がどのように提供されているのか、が大切です。

ePub版がダウンロードできるメルマガは、メルマガと電子書籍の狭間に位置する存在です。課金および流通をメルマガのシステムを使い、読書体験を電子書籍(iBook)でも提供する。なかなかハイブリッドなシステムではないでしょうか。

ちなみに、宣伝になりますが私のメルマガもePub版がダウンロードできるようにしてあります。MacのPagesを使えば、簡単にePub版が作成できるのです。それをDropboxのPublicフォルダに入れておいて、ダウンロードリンクをメルマガに書き込んでおく、という形で(今のところは)運営しています。

メルマガサービスのメリット

このようなメルマガサービスを使うことのメリットは、発行者はややこしいことをほとんど考えなくて良い、というところです。毎週原稿を書いて、アップすれば、後は自動的に配信されます。お金の支払いに関するシステム__ここが一番ハードルが高い__も一任できます。

その代わり、メルマガ料金の何割かはさっぴかれます。「まぐまぐ!」さんだと売上の40%。これを安いと見るのか、高いと見るのかは、上のような「運営業務」に関する手間をどのように捉えているか、ということにつきるでしょう。

※注:
発行者によっては、複数のメルマガサービスを使っている方もおられるようです。コンテンツが同じであれば、手間はそれほどかからないので、売り上げ拡大にはもってこいな手法ですね。

独自システム

こういう料金を取られるのが嫌、という場合__それ以外にも理由があるでしょうが__は、自分でメルマガのシステムを構築することもできます。まあ実際に自作しなくてもアウトソーシングを請け負ってくれるところはいくらでもあるでしょう。

例えば、

佐々木俊尚のネット未来地図レポート

なんかは、上のようなメルマガサービスは使っておられません。最近はPayPalという便利なサービスがあるので、課金関係を個人で片付けることもできます。ただ、「明日からすぐできる」というわけではありませんし、アウトソーシングにもお金はかかります。

総合的な売り上げの量を考慮して、どちらのシステムを選択するのかを決めた方がよいでしょう。

メルマガの価格

ついでなので、今回紹介したいくつかのメルマガの価格を比較してみましょう

こうして比較すると、うちのメルマガがお安く見えますね。まあ、これが言いたかっただけです。

大体の価格他は500円〜1000円あたり。この辺の中で「高い・安い」の感覚が今後生まれてくるのかもしれません。単純に文字量多ければよい、というものでもありませんし、発行部数多ければ偉い、ということにもなりませんが、やはりある程度のボリュームは欲しいところです。

あと、その関係で言うと「Blogでウケる」コンテンツと有料メルマガのコンテンツの作り方は切り分けて考えた方がよいでしょう。Blogでアクセス数を集める記事の書き方が有料メルマガでも通用する、というわけではありません。この辺を書き出すと、込み入り始めるので深入りはしませんが、「媒体」「読者」の違いは意識しておいた方がよいかと思います。

さいごに

今回はとりとめも、まとまりもまったくないままメルマガについて書いてみました。

個人でコンテンツを持っている人は、SNSサービスを活用するだけではなく、有料メルマガの展開も考えてみると良いかもしれません。これまでとは違うコンテンツの作り方を試すこともできそうです。

最後になりましたが、私の毎月の書籍代の多くが、メルマガからの収入によってまかなわれています。WRMの購読者の皆様のおかげです。ありがとうございます。

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ブラック・スワンの箴言
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