今週はEvernoteについて集中的に書いてみようと思います。
で、例のごとく「Evernote企画」の登場です。
※これまでの企画はページ末のリンク参照。
今回の中心的なお話はEvernoteアプリのアイデアについて。運用方法についても少し触れる予定です。
さっそくの第一回は、新しいアプリのアイデアをどうやって見つけるか。これについて書いてみましょう。
アイデアシークの3つの方法
Evernoteの新しいアプリを開発する場合、どんなアプローチが考えられるでしょうか。もちろんプログラミングの素養を身につけることは必要です。環境と整えることも大切でしょう。
が、とりあえず「どんなアプリを作るのか」を見出さなければ始まりません。つまり、アイデアです。
そのアイデアは、大別して3つの方法で見つけられると思います。
- イライラキャプチャー
- 既存のアプリの分析
- アナロジー
それぞれ見ていきましょう。
イライラ・キャプチャー
Q. イライラ・キャプチャーとは何か?
A. イライラをキャプチャーすること
ようは、自分が「イライラ」を感じたことをしっかり捕まえておく、ということです。いわゆるメモですね。
Evernoteを使っていて、「ここら辺が不便だな〜」と感じたり、あるいは何かしらのアプリを使っているときに「こういう機能があったらいいな」と思ったことを逐一メモしておくわけです。それはもう嫁いびりの姑が窓のサッシをススーっとなでるように細かくメモしておくわけです。
こうしたことは神経質な人ならば全て覚えているかもしれませんが、たいていは「まあ、こんなもんだろう」と慣れてきて不便さが少しずつ薄れてきます。でも、案外新しいアプリのネタはそういうところに転がっているものです。
他人のイライラもキャプチャーする
当然、上の方法論は自分でEvernoteを使っていることが前提です。では、使っていない人はどうするか。
それは「他人のイライラをキャプチャーする」のが良いでしょう。
例えば、ツイッターやBlogでEvernoteという言葉を含むものをチェックして、そこから不満点を探る。あるいはフォーラムなんかを覗いて、どういう機能が求められているかを知る。こういうアプローチでニーズを掘り起こすわけです。わりとお気軽な方法ですね。
ただ、そういった不満点から何をピックアップするのかには一定のセンスが必要です。
二種類のユーザー
そこで踏まえておきたいのが、ユーザーにも二種類いる、という点です。
つまり、「ごく普通のユーザー」と「マニアックに使い込んでいるユーザー」の二つ。
ごく普通のユーザーの意見を取り入れるのは、カタカナ語として扱われることが多い「カイゼン」に繋がります。少しの機能付加や不全の解消、これを積み重ねて行って「よりよいアプリ」を生み出すわけです。大きく外すことはないものの、斬新さは生まれにくいアプローチと言えるでしょう。
対してマニアックに使い込んでいるユーザーの意見を抽出すると、イノベーションが生まれてくる可能性があります。「そんなこと、ちょっと誰も考えつかないよな〜」という使い方をしている人が、「そんなこと、ちょっと誰も考えつかないよな〜」というアイデアを生み出してくれるわけです。
当然、奇抜さや斬新さはあるものの、受けるかどうかはまったくもってわかりません。
ただこの点に関しては、ドラッカー教授の教えがきっと役立つでしょう。つまり、「すでに起こった未来」を探せ、です。これについては本エントリーでは立ち入りません。たぶん来週のメルマガで書くと思うので、興味のある方はメルマガの方をチェックしてみてください。
※サイドバーにあります。
既存のアプリの分析
二つ目の方法が既存アプリの分析。ごくごく当たり前に思いつくアプローチですね。
すでに存在しているアプリの傾向を探り、まだ生み出されていないアプリを見つける、という方法です。ブルーオーシャン、と呼べるかはわかりませんが、「そういうのがあったんだ!」と穴場を発見できるかもしれません。
マトリックスを使えば簡単にできますが、問題はどういう要素でアプリを分類するか、仕分けするか、です。
既存のアプリの分析は、次回エントリーで詳しく書いてみます。
アナロジー
最後の一つがアナロジーです。
アナロジー(類推)もアイデア発想の方法としては一般的と言えるでしょう。以前にこのブログでも少しだけ紹介しています。
※Blogと音楽の対比 〜類推的発想法〜
Evernoteを既存の何かに見立て、それとの対比の中で欠けている機能を求める方法です。
Evernoteの場合であれば、
- アナログノートで実行できて、Evernoteで実行できないのは何か?
- 写真アルバムで実行できて、Evenroteで実行できないのは何か?
- 情報カードで実行できて、Evernoteで実行できないのは何か?
- 名刺入れで実行できて、Evernoteで実行できないのは何か?
- 受信箱で実行できて、Evernoteで実行できないのは何か?
- 本棚で実行できて、Evernoteで実行できないのは何か?
といったことを考えます。こうした問いかけから、「新しい機能」を探します。当然、これを考えるためには、ユーザーが「どのようにEvernoteを使っているのか」をある程度知っておく必要があるでしょう。
さいごに
今回は、新しいアプリのアイデアをどのように考えたらよいのか、について書いてみました。
これは実のところ、以前紹介した「Evernote Devcup Meetup in 大阪」で、何か話さないといけないかなぁ〜と思って準備していた内容です。実際パネルディスカッションでは、あまり上記のようなことには触れなかったので、改めてエントリーとして書いてみました。
ごらんのように、ぼーっと「ひらめき」を待っているだけで新しいアプリのアイデアが降ってくることは(たぶん)ありません。雨乞いの儀式が必要です。あるいは下準備が必要です。知識や情報は、こういう時に活躍してナンボだと個人的には思います。
さて、次回は既存のアプリの分析について書いてみましょう。
▼これまでのEvernote企画:
Evernote企画:第一回:Evernoteとは何なのか?
Evernote企画2nd:第一回:inbox
Evernote企画3rd:第一回:Evernoteの運用の7原則(上)
Evernote企画4th:第一回:「補助脳」としてのEvernote
Evernote企画5th:第0回:「ノートブックリスト、共有しませんか」企画
Evernote企画6th:第一回:アップデートで追加された機能の確認
Evernote企画7th:第一回:ノート及びその整理についての復習(上)
▼こんな一冊も:
チェンジ・リーダーの条件―みずから変化をつくりだせ! (はじめて読むドラッカー (マネジメント編)) | |
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P・F. ドラッカー Peter F. Drucker 上田 惇生
ダイヤモンド社 2000-09 |
EVERNOTE「超」知的生産術 | |
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倉下忠憲
シーアンドアール研究所 2011-02-26 |
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