4-僕らの生存戦略

「インフルエンサー」についての入口

以前紹介した『ウェブはグループで進化する』で、マルコム・グラッドウェルの『急に売れ始めるにはワケがある』が批判に上がっていた。

「インフルエンサーなんて考え方は役立たずだ」といった文脈である。

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その批判には「なるほど」と理解できる部分もあるが、『急に売れ始めるにはワケがある』を丁寧に読み込めば「インフルエンサーだけに注目すれば良い」などとは書かれていないことがわかる。

その辺に少し違和感を感じたので、この二冊本とさらにセスゴーディンの『トライブ』も視野に入れて、もう少し見通しよい形を提示したいと思い立ったのだが、あきらかにメルマガの連載にすべき分量になりそうなので、ブログでは簡単に触れるだけにしておく。

わっついんふるえんさー

まずは、『ウェブはグループで進化する』からの引用で話を始めてみよう。

ところがこの「インフルエンサー」に注目するという発想は、世界がどのように動いているかという事実よりも、どのように動いてほしいかという期待に基づいたものだ。

この場合のインフルエンサーは、「大多数の人に影響力を持っている人」という意味合いで使われている。

そういう人がいれば、マーケターはその人にアプローチすることで、大きなレバレッジをかけることができる。つまり楽に仕事がこなせる。だから、そうあってくれたらいいな、という願望に基づいた発想、ということだ。

まずここで一つ目の疑問が立ちがある。それは「影響力とは何を指すのか?」「それをどのように定義するのか?」という疑問だ。マスメディア時代の影響力と、ソーシャルメディア時代の影響力はもしかしたらその形が違うかもしれない。ここは注意深く言葉を使いたいところだ。

とりあずここではその定義にまでは触れない。次に行こう。

くおりてぃーおぶいんふるえんさー

他人よりも影響力を持つ人間が存在するのは確かだが、彼らの数は私たちが考えるよりもずっと少なく、見つけるのは非常に困難でコストもかかる。最も声が大きく、最も目立つ人間がインフルエンサーであるとは限らない。

他人よりも影響力(定義はさておき)を持つ人間は確かに存在する。この事実は無視してはいけない。ただ、そういう人はレアキャラだ、ということだ。でも、レアキャラだからといって、存在しないわけではない。

本書では「誰でもがインフルエンサーなのである」と書かれている。

つまり、ここでこうしてブログを書いている私もインフルエンサーだし、Twitterのフォロアーが1万人を超える人もインフルエンサーだし、「最も声が大きく、最も目立つ人間」がインフルエンサーかもしれないのだ。

そういう視点で見れば、5人のフォロアーを持つ人と、1万人のフォロアーを持つ人は共にインフルエンサーかもしれないが、両者を「同じ」とは決して言えないだろう。ただ、5人のフォロアーを持つ2000人にアクセスできるならば、1万人のフォロアーを持つ人にアクセスするのと「同じ」とは言えるかもしれない。むしろ前者の方が「力がある」という考え方もできるだろう。

また単純なフォロアー数だけで話が決まるわけではない。Twitterであれば、リストというものが存在している。あるいは「クラスタ」の質や種類についても考慮に入れる必要があるだろう。5個のグループに属している人でも、そのグループが似通ったものなのか、全然違うものなのかで「影響を与える範囲」というものは変わってくるだろう。

これもまた込み入った話は避けておく。

かいんずおぶぐるーぷ

ダンカン・ワッツは複数の研究を通じて、ある情報が広く伝わるかどうかを左右する最も重要な条件は、影響力を持つ人物がいるか否かではなく、影響力を受けやすい人物が十分に存在し、彼らが同じように影響を受けやすい人々とつながっているか否かであることを発見した。

上の文章から連想されるものはなんだろうか。私は「トライブ」を思い浮かべた。トライブはまさにつながりだ。基本的にはトライブの規模は小さいわけだが、方向性の近いトライブがつながりを持っていたら、情報が大きく伝わるということは十分にあり得るのではないだろうか。

この辺を掘り下げると、少し扱いづらい問題が出てくるので、ここでは華麗にスルーしておく。

さいごに

本当に簡単な話題の提示だけで、本エントリーは終了する。
※詳しい話はメルマガにて。

本書にある「誰でもがインフルエンサーなのである」という前提を受け入れたとき、企業やマーケターがどうすればいいのかという話はすでにいくつかの書籍が出ている。とても変化の早い界隈なので、実践的な内容をパクるよりは、構造そのものを理解して自分たちで戦略を立てられるようになった方がいいことは確かだ。どういう本を読むかは十分注意した方がよいだろう。

それはそれとして、私が考えたいのは「誰でもがインフルエンサー」の時代において、私たちはどう振る舞えばよいのか、という点だ。つまり、どのような発信を行い、どんなつながりを持てばいいのか、という話だ。

本書でも触れられているが、私たちは周囲の環境から影響を受ける。ということは、自分の発信が他人に影響を与えるということだし、その自分もつながっている人から影響を受けるということだ。

だから、その両方について意識を置いておくのは大切なことだと思う。

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