7-本の紹介

デジタルコンテンツプラットフォーム「cakes」が開始、早速購読して読んだコンテンツ

9月11日、「cakes」がオープンしました。

cakes(ケイクス) クリエイターと読者をつなぐサイト

読者は一週間150円で「cakes」の全コンテンツを読む権利を得ることができます。

全て、というのはcakesに登録している全クリエーターという意味でもありますし、最新コンテンツからバックナンバーまで全て、という意味でもあります。

150円という定額で、様々なクリエーターのコンテンツにアクセスできる、という点は、若い人ならばジャンプやマガジンなどの漫画雑誌を毎週購入している感覚をイメージすれば分かりやすいかもしれません。

もっと大ざっぱに「デジタルコンテンツ・バイキングシステム」なんて呼んでもよいかもしれません。

ともかく、”コストパフォーマンス”で考えれば、相当に「お得」なプラットフォームとは言えるでしょう。

ちなみに、クリエーターとしては、以下の方々の名前が挙がっています。
※「デジタルコンテンツの有料配信プラットフォーム cakes(ケイクス)、9月11日(火)にオープンします」より

青木理音、青山裕企、安全ちゃん、飯田和敏、家入一真、いしたにまさき、磯崎哲也、
伊藤聡、宇都宮徹壱、海猫沢めろん、大崎善生、大槻ケンヂ、岡田育、岡田斗司夫、
小田嶋隆、陰山英男、加藤レイズナ、金子平民、川上慎市郎、黒田勇樹、古賀史健、
ココロ社、近藤正高、西條剛央、坂上秋成、坂口孝則、坂之上洋子、真実一郎、橘玲、
田端信太郎、塚越健司、津田大介、ツレヅレハナコ、仲田晃司、西内啓、二村ヒトシ、
能町みね子、馬田草織、ハマザキカク、速水健朗、美少女図鑑、finalvent、
フェルディナント・ヤマグチ、深町秋生、藤沢数希、藤田大輔、藤野英人、本田透、
枡野浩一、真魚八重子、三田紀房、峰なゆか、May_Roma、茂木健一郎、山形浩生、
山本一郎、yomoyomo

興味惹かれる名前が二、三見つかるのではないでしょうか。

私は早速購読登録をして(要クレジットカード)、次の3つのコンテンツを読んでみました。

読者としてみた「cakes」

【第1回】『TN君の伝記』(なだいなだ)(新しい「古典」を読む/finalvent)

極東ブログ」のfinalventさんの連載。

私は、有料メルマガいつ始まるんだろうか、とワクテカしているぐらいのアディクティッドな読者なので、真っ先に読ませていただきました。面白かったです。

有料配信プラットフォームcakes、開始」でも触れられていますが、単に有料版の書評という感じではなく、まっすぐのびた視線を感じる記事でした。

第二回がいつなのかはわかりませんが、週一回の更新があるならば、この連載を読むためだけに150円払っても「もったいない」とは思いません。

この国で結婚をするということ 前編(ケイクスカルチャー/山本一郎)

元切込隊長こと山本一郎さんの記事。

独特の文体と視点で展開される「やまもといちろうBLOG」も面白いのですが(野球ネタは除く)、今回は自身の過去と「結婚」というテーマについてのエッセイを書かれています。わりとストレートな文章で「う〜む」と考えさせられました。

【第1回】世の中を悪い方向にいかせない(Commitment2.0——そろそろコミットしてもいいんじゃないの?/津田大介)

金髪ジャーナリスト、じゃなかった、メディア・アクティビストの津田大介さんの連載。「コミット」について正面から向き合うような連載ですね。第一回は自身の考えと著作権とのコミットについて簡単に触れられていました。

おそらく、ある時代の日本の若者は行きすぎたコミットとその挫折を目撃し、「コミットってクールじゃない」とデタッチメントな方向に流れ、次第に「どうすればコミットできるか」を忘れてしまい、その子どもである私たちやその下の世代にコミットメントがうまく「伝承」されなかったのではないかと思います。

しかし、人はコミットを求めるものです。若者に人気のある漫画の傾向からもそれは感じられます。

求めてはいるが、それをどうすれば手に入れられるかはわからない。そういう隙間に怪しいビジネスやらうさんくさい宗教やらが入り込んでくる、というのは上の連載には全然関係ない話ですね。

ともかく、いろいろ考えるきっかけをもらえそうな連載ではあります。

その他面白そうな記事はまだいくつかありましたが、読めていないので感想などはまた日を改めて。

コンテンツクリエーターとしてみた「cakes」

上は一人の読者としての感想でした。

では、コンテンツクリエーター(以下クリエーター)として見た「cakes」にどんな感想を受けたのか、もついでに書いておきましょう。

導線1:トップページ

読者はどのようにして、cakesコンテンツと出会うのでしょうか。

まず、cakesのトップページがあります。ぱっと見たところ、「表紙」のようなページですが、cakesで記事を読むうちにカスタマイズされる性質を持っているようです。
cakesの使いかた

cakesが開発した独自のアルゴリズムで、読まれた記事を分析し、あなたが読みたい記事が自動的に上位に表示されます。

この表示の仕組みには少しひねりがあります。

cakesの記事をいくつか読むと、読まれた記事の傾向が自動的に学習され、あなたの好みにあわせてピースの順番が変わります。一つひとつのピースの大きさは、記事の人気によって変わります。ピースの順番と大きさのふたつが、あなたとコンテンツの出会いを生み出します。

つまり、

  • 上の方に表示されるほど、自分の関心度と近いコンテンツである
  • 記事の表示サイズが大きいほど、人気コンテンツ

という二つの軸が用意されているわけですね。人気の記事ほど読まれやすいが、人気の記事しか読まれないということはない、というバランスがこの仕組みにはあります。

ブックマーク系のサービスだと、瞬間的な「人気度」だけが鍵になってしまい、「自分にとっては面白いけど、世間的な人気はさほど」という記事が見つけられにくい問題がありますが、この仕組みだよ「掘り出し物」との遭遇も期待できそうです。

その点で言えば、あまり釣りっぽい記事を書く圧力は高くならないでしょう。きちんとした記事を書き続けていれば、関心のある読者が見つけてくれる可能性が期待できます。

もちろん、アルゴリズムの精度という問題はありますが、その辺は使っていくうちに見えてくるでしょう。

導線2:シェア

現代において特筆するようなことではありませんが、各記事にシェアボタン(Twitter、Facebook)が付いています。

これが導線になって、記事と新しい読者の出会いが期待できます。この辺の特徴は、ブログメディアの特徴に重なるので、詳細は割愛します。
※ちなみに購読者でない場合は、記事の最初の方だけ読めます。

cakesの読者が増え、その記事URLがバンバンツイートされるようになったら、「とりあえず購読しておこうか」という人も増えるでしょう。

また、これもあえて書くまでもないですが、記事ごとのURLがあるので、自分のブログで記事を紹介することもできます。自分のTwitterアカウントでURLを流してもいいですね。この辺の感覚もブログと同じです。
※タイトルが力を持っている点も同様です。

単純に考えて、すでにマイメディアで発信力を持っている人ほど記事が読まれる確率は高まるでしょうし、そうでない人は、今後コンテンツが増えてくれば増えてくるほど読まれにくくなってくる傾向は出てくるはずです。その辺がアルゴリズムやその他の何かで変化するのかどうかは興味があります。

まあ、発信力のない人が著者として選ばれることはあまりなさそうなので、その辺の心配は不要かもしれません。

力のあるコンテンツ

読者とクリエーターの関係について、もう少し考えてみましょう。

まず、読者が支払うのは150円という定額で、その支払先はクリエーターではなくcakesというプラットフォームに対してです。ジャンプの代金を支払うのと同じですね。

すると読者→クリエーターの関係において、金銭の直接的なフィードバックは発生しません。

しかし、読者がまったくフィードバックの材料を与えないかというと、もちろんそうではないでしょう。

まず、単純にページリンクをクリックする、という行為があります。
さらに、cakesのサイトのサイドバーにある「スター」を付ける、という行為もカウントされているでしょう。
ページの滞在時間も、そのページから他のページに移動したのかどうかも測定されているでしょう。
もちろん、どのくらいシェアされたのかも簡単に分かります。

こういった要素の「総合力」がその記事の「面白さ」として測定され、著者にフィードバックとして送られるのではないかと、個人的には考えています。現代版「読者アンケート」のようなものです。

1万アクセスを集めた!でも、誰も内容をほとんど読んでいない・・・

というコンテンツが増えまくったら、cakesとしては困るわけです。

このプラットフォームが存続していくためには

  • まず、課金する決断をしてもらう(かなり高いハードル)
  • その後、課金を継続してもらう(やや低いハードル)

の二つをクリアしなけばなりません。二つ目のハードルは、最初に比べれば低いですが、コンテンツ乱立時代において胡座をかいていられるほど簡単なものでもありません。

読み手に「このコンテンツ群を読めるならば、150円を支払おう」と思ってもらえるコンテンツをそろえ続けなければならないわけです。

しかし、この一週間150円という設定はうまいですね。ペットボトル一本とほぼ同じ、週刊漫画雑誌よりも安い、そういう値段です。しかし、一ヶ月が4週なら600円、5週なら750円と、メルマガ価格帯よりも少し安いぐらいなのです。が、かなり安く見えますね。
※ちなみに、私のメルマガは月330円と激安です。

脱線はさておいて、書き手は「お金を払ってもいい」と思われるコンテンツを生み出さなければいけません。表現を変えれば、読者が「価値」を感じるコンテンツを作らなければいけないわけです。

しかし、これは逆から見ると、アクセス数にあくせくしなくていいということでもあります(笑うところですよ)。トリッキーさは娯楽としては消費されますが、「お金を払おう」という価値にはつながりにくいので、あえてその路線を攻める必要はありません。

私も、メルマガは書きたいことをじっくり書く場として活用しています。定額制度の良さは、その辺にあります。しかも、cakesはプラットフォームに対する支払いなので、自分一人で150円の責務を背負う必要はありません。課金に値する価値の何分の一かでも担っていればいいわけです。

これは、ある意味で書きやすい場ではないかと思います。

雑誌という媒体、あるいは出版社という組織が、クリエーターを育てるインキュベーターとして機能していたように、このような定額制プラットフォームは、じっくりと書き手を育てていく役割を担うのではないでしょうか。

さいごに

だらだらと書いてみましたが、ようは

・面白いコンテンツが出てきそうなので期待!
・自分も書いてみたい!

の二つにつきます。「世界の始まりとストレンジャーサイト」とかで書かせてくれないかな。

1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です