7-本の紹介

【書評】あたらしい書斎(いしたにまさき)

「書斎」という言葉を聞いて、皆さんはどんな部屋をイメージされるだろうか。

私は、小さな部屋、壁一面の本棚、広い書き物机と座り心地の良い椅子、この3つが思い浮かぶ。

おそらく「書斎」を機能的に眺めれば、この3つが備わっていれば十分と言えるだろう。つまり閉じた空間、資料置き場、作業場所、この3つだ。

では、その「書斎」の役割とはなんだろうか。あるいは現代における書斎の位置づけとはどのようなものだろうか。

考えるヒントは、本書にいろいろありそうだ。

あたらしい書斎
あたらしい書斎 いしたにまさき

インプレスジャパン 2012-09-21
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概要

章立ては以下の通り。

第1章 「あたらしい書斎」の姿をさぐる
第2章 1畳の空間とIKEA家具での書斎作り
第3章 デジタルとウェブが可能にする「開かれた書斎」
第4章 ノマドワークスタイルと「外にある書斎」
第5章 私のあたらしい書斎、究極の書斎、未来の書斎

正直に言って、私も「書斎論」について本を書きたいぐらいなのだが、仮に私が書いたとしてもこのような構成には絶対にならなかっただろう。非常に面白い構成になっている。

ある意味で書斎の話でもあるし、ある意味で書斎の話ではない。

いくつかのちらばった概念を「書斎」というキーワードで結び上げた、そんな印象が出てくる本である。

書斎の必要性

本書では、書斎を「学んだり考えたりするための場所」として扱っている。

一昔前は、そのような場所は学者先生や文豪しか必要としなかったのだろう。が、時代は変化している。

知的生産という言葉が、仕事術に入り込み、さらにはライフハックという言葉に溶け込んできた。象牙の塔から私たちの日常へとその活動領域は広がりつつあるわけだ。

それは、情報を扱う仕事が学者から知識労働者へと拡がり、さらにソーシャルメディアの普及によって、ごく普通の人でも日常的に「情報」を扱うようになっていることを意味している。

ガンダム風に言えば、私たちはそれを「強いられている」のだ。

だからこそ、銃に弾を込めるように、刀を研ぐように、鎧を磨くように、学んだり考えたりすることは欠かせない。

著者は次のように書いている。

現代のさまざまな知的産業・情報産業にたずさわる私たちにとって、仕事でアウトプットを続けると同時に、インプットとしての学びも日々継続していく必要があることは、多くの人が実感しているとおりです。

知識労働者において、自身の学びも仕事の一環である。質の高いアウトプットには、インプットが欠かせない。

それは、個人が持つブログでも同じである。

まったく同じ素材を扱ったアウトプットでも、「学んだり考えたり」してきた人とそうでない人の差は一目瞭然だ。

学んだり考えたりするための時間と場所を日常的に確保できているかどうか。それはかなり大きな要素で、簡単に埋められるものではない。

さいごに

本書が面白いのは、IKEAの家具を使っての「1畳書斎」を提案しているところだ。書斎の作り始めとしては取っつきやすいだろう。

いきなり文豪の書斎を目指しても挫折するだけである(よくあるパターン)。だいたい本がそれほどなければ、書斎はぐぐんと小さくて済むのだ。

そして、本が増えてきたら、また改めて書斎について考えればよい。自身の成長と共に書斎もまた変化していく。そういうものだろうと思う。

本書でも多少触れられているが、今後の電子書籍の普及で、書斎の「在り方」も変化するに違いない。ただ、その場所が「学んだり考えたり」するための場所であることは変わらないだろう。

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