物書き生活と道具箱

365日の書斎:#01 書斎の「原風景」

さて、予告したとおり、「書斎」についての連載をはじめます。

どこから話を始めようかな、と頭をひねってみましたが、定番っぽく「書斎のはじまり」から始めてみることにしました。

書斎という旅路の出発地点のお話です。

あまりにも書斎的な

後から振り返ってみると、今の自分に深い影響を与えていたことに気がつくような風景を、「原風景」と呼んだりします。

透き通るような海の色、終わりが見えない宇宙の拡がり、仲睦まじい両親、興奮と血なまぐささが決して消えない戦場。いろいろなものがあるでしょう。そしてもちろん、押しつぶされそうな大量の本というのもその一つです。

しかし、脳内をスキャニングしてみても、自分の中には書斎の「原風景」と呼べるようなものは特に見つかりませんでした。

自分の身の回りで大量の本を読むような人もいませんでしたし、誰かの立派な書斎を見学させてもらったような経験もありません。

何か書斎に一番近いものを上げるとすれば、それは図書館ということになるでしょう。

一生かかっても読み切れないほどの本。そして、それが無料でいくらでも読める環境。

図書館に静かに立ち並ぶ本の間を歩き回ると、まるで私が「文化」から受け入れられているような気がしました。無限の可能性への扉。慈愛に満ちた抱擁。そんな感じです。

また、図書館は日常とは切り離された空間です。もし図書館で、別の公共施設で話すような声の大きさで会話してると、ジトッという目で見つめられます。だって、そこは本を読むための場所なんですから。祝福を受けた、特殊な空間。それが図書館です。

もちろん、自宅の机とは比べものにならないぐらいの__共同作業を行うための__広い机もありました。

おそらく大人__自分のための区切られた空間を所有する力を持つ人のこと__になるまでの、私にとっての書斎の役割は図書館が担ってくれていたのでしょう。

だからこそ、私は大量の本__再読されることはないだろうという本も含め__を家に保管しているのかもしれません。図書館の名残を引きずっているわけです。
※私が、とあるアルファブロガーの本棚に心惹かれる理由もこのあたりにありそうです。

しかし、図書館はあくまで図書館です。書斎的機能を持たせることはできるでしょうが、自分の書斎とは呼べません。365日、24時間利用することができないのは、今の私にとってはかなり致命的な制約です。
※とある方の本で「図書館に住んだことがある」という経験が紹介されていましたが、なかなかうらやましいですね。

図書館からの巣立ち。それが、書斎の旅の一歩目と言えるのかもしれません。

さいごに

歳を重ね、読書経験が増えるにつれ、書斎について書かれた本もいくつか読んできました。

ただ、それらの多くは文章で記述されていたり、イラストで書斎の略図が示されているだけです。
※今だったら、動画で「○○の書斎を徹底解剖!」という企画なんかもできそうですが。

一つ一つの書斎は、たしかに印象に残りましたが、原風景と呼べるほど心に焼き付けられたものはありません。それは枠のないジグソーパズルのピースのようなものです。素材にはなるかもしれないが、全体像は見えてこない。そういう感覚です。

今、私が心の中で抱いている「書斎」のイメージは、実体験とそこからのニーズによって組み立てられたものです。誰かの書斎に憧れ、それに近づこうとしているわけではありません。

肌がヒリヒリするような「こういう環境を作りたい」という実際的な要望から立ち上がる書斎像。そんな書斎の話をしていければと思います。

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