物書き生活と道具箱

365日の書斎:#04 本棚の殻と機能

前回は、書斎の装置について書いてみました。

今回は、その装置の一つ「本棚」について考えてみます。

といっても、「本棚論」だけで相当なボリュームになりそうな予感はあります。ジワジワ進めていくことにしましょう。

本棚問題

「本棚」について考えていくと、いくつかの疑問が思い浮かびます。

「そもそも本棚とは何か?」
「本棚には何を置けばいいのか?」
「本棚にどのように置けばいいのか?」
「本棚の適切なサイズ・設計はどのようなものか?」
「っていうか、本棚ってマジ必要なの?」

ほかにもいくつかあるかもしれませんが、とりあえずはこんな感じでしょうか。

ざくっとまとめて

  • 「本棚」の定義
  • 「本棚」の設計
  • 「本棚」の運用

の3つに分類しておきましょう。

「本棚」の定義

「本棚の定義って、本を置く場所じゃないの?」

確かにそうです。それは間違っていません。でも、その考えはわりに行き止まりです。別のルートを探してみましょう。

考えてみると「本棚」という言葉は、二つに分離できます。

一つは、物理的存在、あるいは殻としての本棚。英語だとブックシェルフに該当する。
もう一つは、概念的存在、あるいは機能としての本棚。英語ではライブラリに相当する。

この二つです。

「本棚」について考えるということは、この二つについて考えるとも言えます。

殻について

どんな本棚(ブックシェルフ)を部屋に置くのか。これは難しい問題です。

一つには「物理的環境の制約」があります。それに付随して掛けられるコストの問題もあります。自由に使える部屋の大きさ(あるいは存在の有無)であったり、新しい部屋や大きい本棚(ブックシェルフ)を購入できる予算の違い、いったことは無視できません。

また、「関心度の広さ」や「作業の進め方」にも影響を受けます。私の場合は、わりと雑多な分野に興味がありますし、また過去の文献を活用して本を書くことが多いので、書籍のストックはどうしても必要になってきます。必然的に本棚は大きい方がよいわけです。

しかし、これが必ずしも万人のスタイルとして適用できるわけではないでしょう。知的労働者の仕事スタイルには画一性がありません。

殻については、個別に検討する必要があるでしょう。

機能について

殻に比べると、機能はある程度共通的な何かを見出すことができるかもしれません。

簡単に言えば、「必要な(参照したい)書籍あるいはその他の資料にアクセスできること」。これが本棚(ライブラリ)に求められている機能です。もう少し言えば、本棚の機能の一つです。

では、別の機能とは何か。

トータルの視点でみれば、本棚は「過去・現在・未来」の3つを一つの場所で管理しています。

  • 過去:読んだ本
  • 現在:使う本
  • 未来:これから読む本

こうしたものが集う場所が本棚です。

「機能」に注目すると、どうしても「使う本」に視点が向きがちですが、残りの二つにも注意を払う必要があります。

過去の「読んだ本」は、いわゆるライフログ的な役割を持ちます。これは踏み込むとややこしい話になるので今回は割愛しましょう。

未来の「これから読む本」は、内田樹先生の表現を用いれば「理想我」の表現の役割を担います。
※詳しくは『街場のメディア論』を

「いずれ読まなければならないな」と思っている本が目に触れる場所に存在することは、私たちに、あるいは私たちの精神に影響を与えます。良いのか悪いのかは判定できません。ただ、影響がある、というだけです。

こうした過去と未来の存在は、「インプットとアウトプットの間にあるごちゃごちゃした過程」において一定の役割を果たしてくれるでしょう。

しかし、これは可視化・数値化できるものではなく、従ってデータとしてはあがってきません。「〜という感じがする」ぐらいのアバウトなものです。わりと、そういうものは真っ先に切り捨てられてしまうことが多いのですが、覆水盆に返らずなこともあるので要注意です。

さいごに

今回は「本棚」の定義について、水面を撫でてみました。

機能特化の視点で捉えれば、「使う本」だけを置いておくのが効率的です。もし、スペースの関係上どうしても取捨選択しなければいけないのであれば、「使う本」以外は捨てる、あるいは別の場所に置くという選択はやむを得ないと言えるでしょう。

でも、それだけだとカラー写真をモノクロ2階調に落とし込んでしまうような危惧も存在しているのかもしれません。

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