発想における「ShSf」について書いてみよう。
「ShSf」とは何か?
あの、お馴染みのメッセージだ。つまり、
「Stay hungry,Stay foolish」
だ。これは発想活動を行う上で、重要なものではないかと思う。
Stay hungry
hungryは「飢えた状態」を差す。そして、その状態をStayし続けること。
重要なのは言うまでもなくStayの方だ。
何かアイデアを出す。なかなか良さそうに見える。その時に、
「でも、もっといいアイデアはないだろうか」
「さらに、うまい表現はないだろうか」
「別の方法で、一つでも多く問題を解決することはできないだろうか」
それを考え続けること。最初に思いつくアイデアが一番良いアイデアであることもあるが、どん欲なまでにさんざんひねり出してきたアイデアにきらりと光るものが含まれていることもある。
満足はアイデアの足を止める。「こんなもんでいいか」は、発想のピリオドマークだ。
たぶん、こう言っていいだろう。イノベーションに8割原則は通用しない。
Stay foolish
foolishは「ばかもの」「愚者」を意味する。そして、その状態をStayし続けること。
わざわざ警句が紡がれているように、これは案外難しい。
- いつでも、はじめて行う人の立場に立てるかどうか。
- 新入社員の発想を偉そうに批判しないでいられるかどうか。
- 誰かが言ったアイデアを、「それ面白いですね」と喜べるかどうか。
- 自分が知らない話を聞いて、「教えてくださいよ」と尋ねられるかどうか。
政府の予算をゼロベースで考えるのはなかなか難しいかもしれないが、個人の思考だって似たようなものだ。ついつい愚者からクラスアップしてしまう。中身なんて何も変わっていないのに。
そしてアイデアの水槽は濁り始める。水の流れが止まり、酸素の供給が無くなる。水面に浮かぶのは魚の死骸ばかりだ。
もう一度書くが、これは難しい。
折に触れて、車のバックミラーをなおすように、自分の立ち位置を確認する必要があるのかもしれない。
さいごに
このエントリーは私自身への警句だ。「Stay hungry,Stay foolish」できている人はまったく気にしなくていい。ただ、忘却のゴミ箱に放り込む前に、一度鏡だけは見た方がいいかもしれない。
▼こんな一冊も:
Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術 (デジタル仕事術) |
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倉下 忠憲
技術評論社 2012-06-30 |
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