心の病、30代に集中…年々、深刻化 「働き過ぎ」危険、企業の対応急務
この3年間で職場での「心の病」が増えていると感じている企業は約6割にのぼり、その多くが30代に集中していることが、財団法人「社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所」(東京都渋谷区)が行った調査で明らかになった。年々深刻になる職場での心の病について、専門家は「自己管理も必要だが、企業が現状を認識して、しっかりと対応する必要がある」と指摘している。(岸本佳子)
今の30代というのは、70年後半から80年前半にかけての生まれで、2000年ごろに就職し始めた世代である。そしてそれは日本が変化を迫られはじめた世代でもある。
過去の栄光、バブルの崩壊、失われた10年、デフレ、そして景気回復へと続いていく道のりをちょうど中間ぐらいを経験している。上の世代と下の世代の価値観がまったく変容している、そんな感じではないだろうか。
30代といえば、22歳で入社して8年以上になる。それなりの肩書きを持ち、「中間管理職」への階段を上りつつあるのだろう。不景気不景気といわれ、何事にも安心できないし、競争が厳しかった世代でもあるから、おそらく打ち解けた雰囲気も作れない。
そうして孤立していく空気の中では必然的に心の病というものが訪れてしまうのだろう。
が、企業がそれに対して適確なサポートが出来るかどうかはわからない。カウンセラーを置く、くらいしか出来ることはないのではないだろうか。しかし、自ら行く意思が無ければ末期的になるまではきっと本人すら気づかないまま事態は進行してしまう。
見渡せば程度の差はあれ、誰しもがそういった心の病の種を持っている。それは中途半端に進んでしまった社会構造の中にあってはある程度やむないことなのかもしれない。が、今の日本ではそれが当たり前であると認識されてこなかった。精神的に弱い人がかかる病気だ、そんな風に捉えられてきたのかもしれない。
が、実際そういうレベルの話ではなくなってきている。
そういうことは、どのような人でも起こりうるものだし、適切に対処すれば回復できることも多い、といったことを周知させていくことが必要なのだろう。
精神論、努力、といったものが好きな日本人は、「心の弱さ」についてもう少し謙虚になるべきであろう。